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2022年下期に訪れたお高めレストランの記録

評価の目安
★3.0 行くほどではなかった
★3.5 行ってよかった
★4.0 満足した
★4.5 繰り返し通いたい

目安としてドリンクなしで1人10,000円以上の飲食店を対象とする。

ドリンクとその代金は記載しない。


2022/7/12 Cuisine EST キュイジーヌ エスト(豊島区)★3.9

ジャンル:イタリアン
ディナー Cieloコース(税込11,000円)+ピスタチオリゾットのオプション(税込1,320円)

妻とホテルメトロポリタンに宿泊したので、同ホテル内のイタリアンを。
美味しかった。
きちんと値段なりの素材を使って、バランス良く美味しく、少々のエンタメ性も持たせながら、決して無駄にはこりすぎていない調理で、よかった。
プリモピアットにあたるピスタチオリゾットはお米の香り食感とも良い感じで、小さなピスタチオの食感も面白く、紫キャベツがあることで味わいも単調にならずとても良い。
セコンドピアットにあたる牛サーロインのビステッカは炭の香りとぎゅっと引き締まったお肉でBBQ感があってこれも美味しい。
こりすぎず美味しく重くない、とても良い感じのイタリアンでした。やっぱりフレンチよりはイタリアンの方が好きだな。


2022/7/14 鮨 みずかみ(千代田区)★4.1

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(枝豆+握り13貫+お椀+玉子+たまり漬け+水菓子)(税込18,000円)

3回目の来店。一人で。
満足。
ミル貝、帆立、車海老が特に美味しかった。
今回は光り物を抜かずにそのままオーダーしたんだけど、やっぱりコハダは苦手みたい。アジは美味しかった。


2022/7/19 天風良 にい留(愛知県名古屋市)★4.88

ジャンル:天ぷら
ランチ おまかせ(税込28,000円)+交通費約30,000円

食べログで全国No.1。日本一美味しいと言われる天ぷら店の一つ。
OMAKASEで奇跡的に予約が取れたので、同業者の友人Tと来店。

優勝です。
天ぷらランキング1位が入れ替わりました。
ここが天ぷら世界一のお店です。

いや僕もね、名店と言われる天ぷらのお店にはそこそこ行ってるわけですよ。
天ぷらという料理の頂上がこの辺にあるなってイメージがあるわけ。
その頂上が100としたら、97や98に達してる超スゴいお店に出会うこともあるし、85や90くらいの値段の割にたいしたことないなってお店に出会うこともある。
まあ基本は自分が一番美味しいと思うお店に繰り返し通うんだけど、それでも並行して、もっと美味しいお店、99や100のお店に出会うかもって思いながら新しいお店も訪れるわけ。

でね、今回のお店ね。

120でした。

天ぷらという料理が達することができるレベルを超えてました。

天ぷらって、「素材感」「旨味」「みずみずしさ」の3要素をどう出していくかの料理だと思うんだよね。そしてこの3つは同時には成り立たない。
例えば、「旨味」を出そうとしっかり脱水をすると、水分が減っちゃうから当然に「みずみずしさ」は失われるし、味のバランスの変化や食感の変化によって「素材感」も失われる。
これはもう天ぷらという料理の宿命としてしょうがない。

もちろん、この合計値を高めるため職人の皆さんは必死に努力してる。でも3つすべてを最高にするのは原理的に不可能だから、3つのどれを強調してバランスを取るのかが、職人さんによって色やこだわりが出るところなんだよね。
「旨味」を強調するのが「みかわ 是山居」さんだし、「素材感」を強調するのが「てんぷら 近藤」さんだし、「みずみずしさ」を強調するのが「天政」さん。

それがね、この「にい留」さん、3つすべてが最高なの。

まあ正確に言うと、「旨味」の強さだけは「みかわ 是山居」さんの方が上だと思う。
けど僕が思うに「みかわ 是山居」さんの「旨味」って強すぎるんだよね。僕なんかが食べると強すぎて喉がイガイガしちゃう。
例えばなんだけど、塩味が強すぎたらしょっぱいって思うし、甘みが強すぎたら甘すぎるってみんな思うでしょ。旨味にもちょうどいいラインっていうのがあるんだよ。
もちろんそれは個人個人によって違うものだから、あのくらい強い旨味がどストライクの人もたくさんいると思うんだけど、僕にとっては強すぎるし、おそらくこの「にい留」さんも、旨味のちょうどいいラインはそこじゃないって思ったんだと思うんだよね。

「素材感」「旨味」「みずみずしさ」のすべてを、自分が思う最高に仕上げた。不可能なはずの合計値を実現しながら、完璧なバランスまで成立させた。それが「にい留」さんの天ぷらだと思う。

‥‥と前置きが長くなったけど、各天ぷらの詳細に入ります。

前菜の銀杏(天ぷらではない):熱した油で火入れして塩をかけた銀杏。今まで食べたどの銀杏とも比べ物にならないほど美味しい。銀杏の豊かな香り、本来であれば固いはずが柔らかで、でも柔らかすぎない心地よい歯ざわり、とうもろこしのような甘みと味だった。

海老の頭:スナック感が強いことが多いエビの頭のはずが、くっきりした香りとしっかりしたエビの味がすごい。

海老:海老って正直トップクラスの天ぷら屋さんだったらそうそう変わらないのよ。どこも似た感じ。でもここは違いが明らかに分かる。衣の舌触り、とろけ方から違うし、海老の味、香り、食感が、ただただ質が高い。分かる人なら、これを食べるだけで、ただごとではない何かが起きているのが分かる。

イカ:レアなはずなのにでも実は火入れされていて、極上の柔らかい食感がありながら、味も最強。今までに食べたイカの中でぶっちぎりに美味い。

オクラ:口に入れた瞬間からオクラの豊かな香りがする。オクラという食材を最も美味しく食べる方法は天ぷらだ、素材を活かすという意味の答えがこれなのだと見せつけられる天ぷら。

キス:このお店の天つゆはちょっと変わっていて、主張がほとんどなく、主に大根の辛味を楽しむかのような設計になっているんだけど、その理由が分かる天ぷら。
キスは淡白である。天ぷらの中で最も淡白な食材だといっていい。なので、キスの天ぷらは基本的に塩で素材の「味を強調する」よりも、天つゆで「味を足す」ことで美味しく頂けるようになっていることが多い。ところがここのキスは違う。しっかりとキスの味がするのだ。このお店の天ぷらはすべて「味を足す」必要がなく、「味を強調する」ことで美味しくなる天ぷらだ。天ぷらを足し算ではなく掛け算で味わえ。そんなメッセージを送ってくる天ぷら。

ズッキーニ:しっかりと味が強調され脱水されているはずなのに、とんでもなく水分が多い天ぷら。本当に気をつけないと火傷するほどあふれる水分が含まれている。脱水とみずみずしさの保持という矛盾が両立しているのがウチの天ぷらだ、と語りかけてくる天ぷら。

とうもろこし:とうもろこしの天ぷらは、水分を飛ばしてカリッとしたスナックに仕上がるもの。そんな常識を完全にひっくり返した天ぷら。天ぷらにしたらなくなるはずの柔らかな繊維をそのまま残しながら、とうもろこしの味と甘みをしっかりと強調している。素材を完全に生かしたままただただ美味しくすることができるのだ、と語りかけてくる天ぷら。

はも:やわらかく、まるでレアのような食感と見た目でありながら、しっかり火入れして味が強調された、矛盾しているとしか思えない天ぷら。

ミョウガ:ミョウガがミョウガたる部分を徹底して強調してくる。天ぷらは食材がその食材であることをここまで強く強調し、その魅力を引き出すことができるのだと突きつけてくる天ぷら。

牡蠣:牡蠣独特の嫌味が完全に抜かれ、しいたけのような、ただただ肉厚で素材の美味しさだけがとんでもない豊かさで表現されている天ぷら。

鮎:鮎の天ぷらとは思えない。鮎は天ぷらにすると苦味が強調されるため、苦味を楽しむものだとも言われる。ところがここの鮎は全然違う。頭をかじる一口目から苦甘い? ただ苦味と甘みがそこにあるのではなく、なんだか苦さを甘さと誤認しているような…。わけがわからない、頭が混乱する天ぷら。二口目で腹→尻尾と食べ進めていくと、もう身の甘さだけをくっきり感じる。本当に意味がわからない。

万願寺唐辛子:万願寺唐辛子ではない何か。万願寺唐辛子ではありえない肉々しさと、万願寺唐辛子ではありえない甘みを持つ天ぷら。

ナス:とんでもなくみずみずしくて甘い。

ウニと海苔の天ぷら:ウニの天ぷらと見せかけて実は海苔の天ぷらという、脇役が主役を食ったかのような天ぷら。海苔の独特のスナック感と肉厚さに豊かな香りと味。そこにウニというソースがかかっている、というイメージ。

アナゴ:アナゴは皮に味と嫌味がある。したがって、皮を使って嫌味が出ることを許容しアナゴの味をしっかり出すか、皮を強調せずアナゴの味は控えることで嫌味を出さず淡白なまま出すかの二択である。でもここの天ぷらはなぜかアナゴの皮が持つアナゴ自体の味をしっかり出しつつ、レアの美味しさと食感を出しながらも、天ぷらの火入れによって身の旨さを引き出し、なおかつ全く嫌味がない、ありえない天ぷらになっている。

締めのほうじ茶:美味しすぎて笑ってしまった。なんでこんな締めのお茶までこんなに気合い入ってるの(笑)。
締めの味噌汁:これも笑っちゃうほど美味い。
締めの天丼・天バラのご飯:いや美味しいよ。しっかり旨味があって美味しいご飯なんだけど‥‥、これさあ、めちゃくちゃ炊くの難しいでしょ。一粒一粒の炊きあがりが違うもん。めちゃくちゃ炊くのが難しい米だよこれ。これを一粒一粒美味しく炊こうと思ったら、とんでもなく繊細な水加減と炊き方が要求されるよ。いくら「美味しいから」ってこんな怖いお米をお店で出そうとするなんて‥‥。もうこのご飯を一口食べるだけで、食に対する異常な意識の高さとこだわりが分かる。


最強の天ぷら。
もう頭一つどころか何馬身も抜きん出てダントツに美味しい天ぷらでした。

★5.0でなく★4.88だったのは、量が多すぎて満腹超えちゃったのと、このご主人だったら天ぷらにもっと先があると思わせてくれたから。
あと、あえて一つ不満点を挙げるとしたら、天ぷらを置くお皿がないせいで、塩の皿とかに食材の汁がたれてしまって、びしゃびしゃになってしまうことかな。

2023年に東京の麻布台プロジェクトに移転予定ということなので、東京でもっと気軽に食べられるようになることを期待してます。


2022/7/20 鉄板焼 濠(千代田区)★4.1

ジャンル:鉄板焼き
ディナー 滄 ~そう~のコース(税込27,830円)

妻と二人で。
うん、都内の鉄板焼きだったらここをリピートってことでいいんじゃいかなと思う、満足な料理だった。

とりわけ牛ステーキが完璧で、脂の甘み、肉の味、食感、舌触りとも、ここが最高だと思った。
特に妻はいつもウェルダンでお願いするので、どうしても焼かれ過ぎてパサつきが出たり肉の味が落ちたりしてしまうんだけど、ここの焼き方は完璧で、全くパサツキがなくなおかつ最後までしっかり火が入っていて、ピカイチの焼き方だった。

ガーリックライスは椎茸が入っていて生姜が添えてある、っていうちょっと変わったものだったんだけど、これも美味しかった。

欠点を挙げるなら、焼き野菜は焼き重視で蒸さないやり方なので、しっかりうまく蒸してくるお店に比べるとちょっと劣るかなと思った。

とにかくお肉の焼き方が素晴らしかったので、焼き手の方(山田一郎さん)に名刺をもらって、次回から指名することにした。


2022/7/21 鮨 みずかみ(千代田区)★4.15

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(枝豆+握り13貫+お椀+玉子+たまり漬け+水菓子)(税込18,000円)

4回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ、コハダ抜き。
なんか今までで一番美味しかったな。3日連続で高級なお店行くことになっちゃったから身体の方が拒否して美味しく頂けないかと心配してたんだけど、逆に美味しかったわ。
今日は特に中トロとイサキが美味しかった。車海老、いわし、シマアジもできがよかった。


2022/7/28 鮨 一條(中央区)★3.7

ジャンル:鮨
ランチ おまかせ(握り11貫+お椀+玉子+干瓢巻き)(税込11,000円)

寿司チャレンジその4。友人Tと。わさび少なめ→途中からわさび抜き。終盤はシャリ少なめ。
価格的にもまあこんなもんかなという感じ。
トロとはまぐりが美味しかったかな。
コハダはやっぱりすごく苦手で、もうこれを口に入れた瞬間、身体が拒否して食欲ストップで何も入らない感じになっちゃったし、いつまでも飲み込めなくてつらかった。ちゃんと抜きにした方がいいな。酸味の強さと生臭さがダメなんだと思う。


2022/8/4 鮨 みずかみ(千代田区)★4.17

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(枝豆+握り13貫+お椀+玉子+たまり漬け+水菓子)(税込18,000円)

5回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ、コハダ抜き。
今回初めて大将が握ってくれた。僕が選んでるのは一番お安いコースだし、他にももっとお高いコースの人達もいたのに申し訳ない。
やっぱり大将が握る方が精密さというか丁寧さというか、違うなー。
明らかに違うのはシャリとネタの位置関係。大将はわざと正中を外して、シャリの位置をお客さん側に偏らせてる。こうなってると、シャリとネタが混ざる部分が先に口に入って、ネタだけの部分が後から口に入るから、味が 薄い→濃い の順で推移して、味わいやすい。僕はシャリ少なめでお願いしてるから、なおさら違いが顕著。なるほど。
それに前回から扱いが格上げになったのか、やっぱりネタのレベルがグッと上がってると思う。
今日は特にホッキガイとイサキが抜群に美味しかった。


2022/8/10 天政 丸ビル店(千代田区)★4.2

ジャンル:天ぷら
ディナー 夏の天婦羅コース(税込17,600円)+かつお+ホタテ

6回目の来店。妻と。揚げ手は鈴木鉄也さん。
今回もまあまあ満足だけど、他の2人に比べてやや粗いような感じがした。
特にキスやアナゴにいつもよりクセがあったり、コーンに若干の焦げがあったり、全体に衣がやや厚かったりした気がする。

でもまあ先日にい留に行ったときの感じがまだ残ってて、どうしても他の天ぷらは雑に思えてしまうところもあったかもしれない。


2022/8/31 天風良 にい留(愛知県名古屋市)★4.8

ジャンル:天ぷら
ランチ おまかせ(税込28,000円)+交通費約30,000円

先月に引き続き。今回は妻と。
本来は四半期に1回しか予約できないんだけど、前回は僕のアカウント、今回は妻のアカウントでの予約なので。

はい最高。
もう美味しすぎて美味しすぎて「美味すぎだろ」って何回も笑っちゃった。

全部最高だったからいくら語っても語り足りないけど、今回は銀杏が天ぷらで出てきたのが嬉しかった。妻は銀杏が大好きなので、この最高の銀杏を食べてもらえたのがよかった。

前回なかったものとしては、ゲソ、インゲン、新小芋、椎茸。
いやほんと最高だった。
なぜこんなにも美味しいのか、他の天ぷら屋とまるで比較にならないレベルなのか、相変わらずわけが分からない。

★が前回4.88から今回4.8に下がっているのは、天ぷら自体の違いではなく、今回妻が食べられない牡蠣を2人分食べちゃったことでただでさえ食べきれないほどの分量が更に増えちゃって、満腹すぎてつらくなっちゃったから。
この★は料理そのものを評価しているのではなく、自分自身の「体験」に点数を付けているから。

10月には来店の権利が復活するのでまたぜひ行きたい。


2022/9/8 鮨 みずかみ(千代田区)★4.13

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(嶽きみ+握り13貫+お椀+玉子+たまり漬け+水菓子)(税込18,000円)

6回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ。今回も大将。
コハダ抜きが伝わってなかった。あっちも常連だと思って聞くの忘れてたみたい。失敗。
でもホッキガイ、あなご、中トロが特に美味しかった。
名物のかつおも初めて食べられてよかったな。


2022/9/14 旬遊紀(目黒区)★3.7

ジャンル:中華・中国料理
ディナー ディナーコース(税込9,900円)+担々麺に変更(税込880円)

2日後の9/16が結婚式を挙げてちょうど10年の記念日なので、式を挙げた雅叙園東京(当時は目黒雅叙園)で中華を妻と。

オーソドックスな中華で味も不満なく。
高級中華に定番のフカヒレと北京ダックも出てきたしこんなものかなと。

10年ぶりに訪れた雅叙園で、二人で懐かしいねと言いながらご飯を食べるのもいいものでした。
また5年後くらいに来ようかな。


2022/9/22 鮨 みずかみ(千代田区)★4.12

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(枝豆+握り13貫+お椀+玉子+たまり漬け+水菓子)(税込18,000円)

7回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ。今回は板前さん。
今回もコハダ抜きじゃなかったけど、なんか慣れてきたからこれはこれでいいか。
中トロとイワシが特に美味しかった。


2022/9/26 天政 丸ビル店(千代田区)★4.2

ジャンル:天ぷら
ランチ 秋の天婦羅コース(税込8,800円)+松茸天茶に変更(税込1,100円)+天然香茸+ホタテ

7回目の来店。不動産仲間の食事会。揚げ手は鈴木鉄也さん。
満足。
栗やしめじや香茸も初めてでよかった。


2022/9/29 鮨 みずかみ(千代田区)★4.18

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(枝豆+握り13貫+お椀+玉子+たまり漬け+水菓子)(税込18,000円)

8回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ。今回は大将。
前よりももっとコハダに慣れてきた感。
初めてのさんまも良かったし、ホッキガイ、車海老、中トロも今回良かった。

しかし前回大将じゃない板前さんのお寿司を食べたから改めて思うけど、明らかに大将と板前さんで使ってるネタのレベルが違うな。繰り返し通っているとはいえ、安い方のコースなのに大将が握ってくださってありがたい。
今度不動産仲間の食事会でお邪魔するときはおつまみ付きのコースでお願いするから、シャリを減らして食べ切れるようだったら、その次からはおつまみ付きコースにしようかな。(そのときまではあえておつまみ付きコースを食べず、仲間と共にそのコースを初めて食べる感動を分かち合いたい)

そういえば、今日も途中からわさびで舌先がしびれてる感覚があって、思ったんだけど。
痛覚の敏感さ(=辛味の感じやすさ)に個人差があるのは当然だけど、それでけじゃなく実際にしびれが起きてるわけだから、、僕は単純に感覚が敏感っていうだけの話じゃなく、ダメージを受けやすい舌なのかなあ。
まあそうだと分かったところで、わさびを少なめにしてもらうくらいしかやることはないから、考察に意味はないんだけど。


2022/10/6 鮨 みずかみ(千代田区)★4.12

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(茄子の揚げ浸し+握り14貫+お椀+玉子+たまり漬け+水菓子)(税込18,000円)

9回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ。今回は板前さん。

いわしとさんまが特に美味しかった。
コハダもあんまり舌に当てずに酢を感じない食べ方にした方が美味しく感じると気がついた。


2022/10/9 天風良 にい留(愛知県名古屋市)★4.8

ジャンル:天ぷら
ディナー おまかせ(税込45,000円)

妻と。3回目の来店。
もともと一泊二日の名古屋旅行を予定していたところ、ちょうどよく予約できた。

ランチが天ぷらオンリーなのに対して、ディナーは冒頭におつまみがあるんだけど、おつまみもとんでもなくレベルが高くて素晴らしかった。
僕が今まで食べた料理の中で最も調理のレベルが高いっていうくらいすごかったですよ。

天ぷらも最高の一言だったんだけど、やっぱりおつまみなしのランチの方がいいかな。美味しいんだけど、それでお腹いっぱいになっちゃうし、今回も終盤本当に限界を超えてたから。

この、あまりに量が多いのがにい留さんの唯一にして最大特大の欠点。冷や汗かいて食事中にトイレに駆け込んだ上、むこう数日間もお腹の調子が悪くなっちゃうくらいの量が出てくるのがつらい。
寿司みたいにシャリを減らしたりできないし、持ち帰りをお願いするのも…。
量が多いというその一点だけで満足度が3割くらい減っちゃうのが本当にもったいない。妻も同意見とのことで、これならはるかにランクが落ちる他の天ぷら屋さんで食べた方が良いって言うくらい。

にい留さんは移転準備のため、営業するのは12月まで。再開は9月。
それまでに自分のアカウントでもう一回は行けるけど、どうしよう、誰かとまた行こうかな。


2022/10/13 (店名は記載しない)(中央区)★3.95

ジャンル:寿司
ディナー おまかせ(おつまみ+握り+他)(税込40,000〜50,000円)

寿司チャレンジその5。もともと他人ひとに勧められていたのと、友人Tに誘われて。ミシュラン星付き、食べログ上位の、超有名店。
まあ美味しいものもあったけど、全体的にそれほどでもなく、お店の雰囲気もいまひとつで、リピートすることはないなという感じ。
5万という値段も値段なので、それに見合った価値が提供できているかコメントしていきますよ。

まずおつまみ。
ねえなんでこのおつまみを出してるの? 一つ一つのおつまみをどうして提供するのかきちんと説明できる?
正直、いかにも「所詮」寿司屋が作ったおつまみって感じで、「さすが」寿司屋が作ったおつまみ、って言えるものが一つもないんだよね。
こんな食材でいいか、こんな調理でいいか、寿司屋のつまみなんてこんなもんだよな、っていう声が聞こえてくる。
お寿司屋さんがおつまみを作るなら、「さすが寿司職人! これはお寿司っていう調理法を深く理解してるからできるんだろうな」とか「美味しい! 確かにこれはお寿司じゃできない。だからおつまみとして提供してくれたんだな」って思わせてほしいんだよ。「さすが」か「確かに」なんだよ。食べていて、そういう感情が生まれてこない。
食材と真剣に向き合っている気がしない。
もう一度聞くよ。なんでこのおつまみを出してるの? このおつまみは俺のエゴで作り上げた品だ、魂を込めた作品だ、俺自身だ、って胸を張って言える?

肝心のお寿司は‥‥最初3品は相性が良くなくて、もう食べられないかもっていうくらいイマイチだったけど、その後なんとか最後まで食べられはしたので全体としてはまあまあ。
トロ、あなご、玉子は美味しかったかな。
トロはさすが良いネタ使ってるし、アナゴは絶品だし、玉子も見事の一言。
特にアナゴは、口蓋から鼻に抜ける、味・甘み・食感が一級品のカスタードクリームのようで、とろけるような玉子感があってとても美味しかった。

そういえば軍艦巻きの海苔が硬くて味が平坦でピンと来なかったんだけど、こういうもの?
軍艦巻きって、ネタとシャリと海苔の3つが溶け合って渾然一体となった味を楽しむもんだと思ってたんだけど、ここの海苔はなんか工業製品みたいにのっぺりしていて味が溶け合ってこない。東京湾のだって言ってたけど…。
これだと海苔がただの邪魔者になってない?
寿司経験値が低くて分からないんだけど、これはこれでアリなものなの? それとも単にデキが悪いだけ?

あとはお店の雰囲気として、当日の客層と大将の接客がイマイチだった。
自分たち以外に10人お客さんがいたんだけど、この10人が10人全員、他のお店じゃこんな下品な人を見かけることないな、っていうレベルの質の低さでビックリしちゃった。
大将は、お客さんへのおもてなしの心、新規さんへの配慮、スタッフへの敬意が欠けているように感じる。お寿司の提供ははいはい置いとくよポイッて感じだし、とりあえず常連だけ相手にしとこうって感じだし、スタッフには常に感じが悪い。
いや、気持ちを表に表現するのが下手な人っていうのはいるよ。職人さんだから、接客の技術がそれほどでもなくてもしょうがないとは思う。でも下手でもさ、気持ちがあれば、お客さんはある程度気持ちよく過ごせるものだよ。
お客さんに美味しいものを出すだけじゃなく気持ちよく食べてもらおう、よく来てくれているお客さんを大切にするのはもちろん大事だけど今日初めて来たお客さんも引け目を感じず気分良く過ごしてもらえるようにしよう、たとえスタッフに厳しくするとしてもお客さんを不愉快にさせるようなコミュニケーションはしないようにしよう。そういう気持ちがあるかどうかは伝わるものだよ。
申し訳ないけど、ここの大将はそういった気持ちが欠けているように見えて、感じ悪いなって僕は思った。
こういう気持ちや態度を感じ取れないような、平気でいられるような、鈍感な人たちばっかりが常連で残るから、こんな客層なのかもしれない。

多くの人に評価され、成功した結果、おごりたかぶり、目の前のことに全力を尽くそうという気持ちも、明日はもっと進歩しようという気概も失ってしまったのかなって思っちゃったよ。

銀座という世界最高の場所で、寿司という料理界最強のジャンルで、最上位クラスの評価を得て、最高峰の価格で提供される料理と接客が、こんなものだなんて、正直失望したよ。


2022/10/18 てんぷら 天白(千葉県千葉市)★4.4

ジャンル:天ぷら
ランチ おまかせ(税込13,200円)

友人Tが美味しいというウワサを聞きつけてきたので一緒に。
うん、確かに美味しい。低温で揚げた天ぷららしい味わい。食材の味や香りがしっかり残ってる。かといって、近藤のように素材ままってわけじゃなく、天ぷららしい変化はきちんとある。

たまたまなのか、食材の選び方がすごくにい留さんに近い。
でももうちょっと素朴な食材を選んでる感じかな。

味でいうと、僕がこれまで食べた「東京の」どの天ぷら屋さんよりも美味しい。にい留さんと比べるとかなりレベルは落ちるけど、今のところ全国2位かな。
特に海老は驚いた。海老ってどこもあんまり変わらないものだけど、柔らかさ、肉肉しさ、味の出方が見事。他と全然違う。
ナスもこんなに柔らかくてふわふわしてるの初めて食べた。面白ーい。

でもなー。電車移動だけで1時間以上かかるからな。
10分前には入店しろっていう指示があるから、ちょうど2時間前くらいに出ないといけない。往復4時間弱。

僕にとって天ぷら店の発掘っていうのは「ディナーで妻と二人で食べるお店」の発掘なんだけど、美味しいとはいっても往復4時間かけてでも行こうって声をかけられるほどの美味しさではないかもしれない。
にい留は5時間かけてでも行こうって言えるくらい美味しいけど、ここはそこまでではなかった。


2022/10/24 鮨 みずかみ(千代田区)★4.13

ジャンル:寿司
ランチ 昼のおつまみと握りのおまかせ(茄子の揚げ浸し+おつまみ5品+握り10貫+お椀+玉子+沢庵+水菓子)(税込28,000円)

10回目の来店。不動産仲間の食事会。今回も板前さん。いつもは一人の職人さんが4人を相手にするんだけど、今回は特別に5人まとめて同じ板前さんで握ってくれたみたい。
美味しかったー。おつまみありだったけど、いつも以上にシャリを減らしてもらってなんとか。お腹いっぱい。


2022/10/26 天政 丸ビル店(千代田区)★4.2

ジャンル:天ぷら
ディナー 秋の天婦羅コース(税込17,600円)+松茸天茶に変更(税込1,100円)

8回目の来店。妻と。揚げ手は野中さん。
今回も満足。


2022/11/4 鮨 みずかみ(千代田区)★4.2

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(茄子の揚げ浸し+握り12貫+お椀+玉子+沢庵+水菓子)(税込20,000円)+追加シャコ(税込1,700円)

11回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ。今回は大将の水上さん。
今日も大満足。
ホッキガイと車海老がいつも以上に美味しかった。特に車海老はミソのまろやかな香りと甘味がこれまでにない感じ。
追加させてもらったシャコもすごく美味しかった。ふわふわ柔らかくて、ニツメの甘さのあとにシャコの確かな味と風味が素晴らしい。


2022/11/10 鮨 みずかみ(千代田区)★4.15

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(シルクスイートとひじき+握り12貫+お椀+玉子+沢庵+水菓子)(税込20,000円)+追加大トロ(税込2,200円)

12回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ、コハダ抜き。今回は板前の根崎さん。
今回からまたコハダ抜きでお願いした。やっぱりこの方がいいな。みずかみさんのコハダは他と比べて抜群に美味しいんだけど、それでもどうしても酢の酸味と生魚感が苦手だから。体験がグッと良くなった。
それと、大トロを初めて食べてたけど、脂っぽくてイマイチ。正直中トロの方が美味しいと思った。次回追加はまた違うものにしよう。
栃木県出身として、そのうち干瓢巻きも食べたいところ(他の握りよりボリュームがあるので、余裕があるときに)。


2022/11/17 鮨 みずかみ(千代田区)★4.15

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(ひじきと鳴門金時+握り13貫+お椀+玉子+沢庵+水菓子)(税込20,000円)

13回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ。今回も板前の根崎さん。
コハダに加えてシメサバも苦手だったわ。
単純にお酢が苦手なのもあるし、生魚感が強調されるのが苦手。

今回特に美味しかったのは、車海老とさんまと穴子。
車海老は茹でたてのぷりぷり感とミソのしっかりした香りで、今までで一番だった。
穴子はいつも美味しいけど、今回は段違いの美味しさ。ふわふわした食感、香り、後味が素晴らしい。聞いてみたら、たまーにしか入ってこないスペシャルなんだそう。いやー美味しかった。

あと、車海老について聞いてみたら、11月に入ったあたりから一気にミソが香るようになったのは、仕入れ先が長崎の養殖に変わったからだそう。
時期によって変えてるのね。


2022/11/25 江戸前晋作(中央区)★4.3

ジャンル:天ぷら
ディナー おまかせコース(税込23,200円)+〆のかき揚げの天丼(税込1,600円)

OMAKASEで奇跡的に予約が取れて一人で来店。
まず結論からいうと、都内で一番美味しい天ぷら屋さんだと思う。満足。
でも、トップ2のにい留さんや天白さんと比べると明確に劣るので、マイランキングでは全国3位。
あと色んな要素(後述)を考えると、妻を伴ってのリピートはしないという結論に至った。

特に美味しかった天ぷらは、車海老、キタアカリ、天丼かな。
海老だけでいえば、トップ2とも戦える、素晴らしい美味しさ。
キタアカリはじっくり火入れすることでできた、やわらかな食感とホクホクな甘みが面白かった。
天丼は全体のバランスが素晴らしい。
他は‥‥、トップ2とさえ比較しなければ素晴らしいの一言なんだけど、トップ2と比較してしまうと、やはり食材の味の引き出しが圧倒的に弱いと感じる。特にキスやアナゴといった淡白な食材ではそれが顕著。
アナゴの骨切りに失敗してるやつがあったのもちょっとだけ気になったかな。

とはいえ、江戸前晋作さんはトップ2のステージに踏み込みつつある感じ。
他のすべての天ぷら屋さんはこの先どれだけ研鑽を積んでも決してその領域には到達することがないなって食べてて分かるんだけど、江戸前晋作さんは到達しそうな感じがする。そこに至れる方向を向いていて、それだけのポテンシャルも持っていて、十二分にすさまじい努力をしている感じ。
食べていて、もっと美味いものを作ろう、もっとチャレンジしてやろう、っていう意思を強く感じるのもとても気持ち良い。なんか片足上げて今まさに踏み込もうとしてるイメージが浮かぶくらい。すごいよね。

前も書いた通り、僕にとって天ぷら店の発掘っていうのは「ディナーで妻と二人で食べるお店」の発掘なんだけど、そうとらえたときに下記の課題があったのが、リピートすまいと考えた理由
・妻が苦手な食材が多いが、事前に食材が提示されないので避けられなそう
・量が多い(僕も少食だけど妻はもっと少食)
・飲めるソフトドリンクがない
・おしぼりの匂いが強い

このお店ね、ソフトドリンクがウーロン茶と炭酸水しかないのよ。
ウーロン茶 → カフェインが入っていて眠れなくなる
炭酸水 → 炭酸でお腹がいっぱいになってしまう
だから、僕はどっちも注文できないの。
でも、こういうお店で何も飲み物注文しないわけにいかないでしょ?
だから天ぷら食べられないよりはマシだと思ってウーロン茶頼んだんだけど、案の定眠れなくなっちゃって、翌日はめちゃくちゃ寝不足だった。
食べに行くたびにつらい思いするなんて、ありえんじゃないですか。

それと、細かいことなんだけど、おしぼりに強めの香り付けがされてるのがちょっとね。
手に匂いがついちゃうから、天ぷら食べるときにちょっと邪魔しちゃうんだよね。
や、天ぷらそのものの味に比べればたいした話じゃないんだけど、どうしても気になっちゃう。
ちょっとした不満。

そんなわけで、大変素晴らしいお店ではあるもののリピートはせず。
でも、行く前からこのお店は本当に良いお店だと直感で感じていたので、それが自分の舌できちんと確かめられて満足。
今一番行ってみたいお店だったから。
ごちそうさまでした。


2022/11/30 Bon.nu ボニュ(渋谷区)★4.8

ジャンル:なし(公式にはフランス料理と仮称しているが、実際にはフランス料理ではない)
ディナー コース(税込49,800円)

宝くじに当たった2億円を使って20,000軒以上を食べ歩いた、神の舌を持つと言われる来栖けい氏のレストラン。妻と二人で。
いやーすごかったですわ。大満足。

最初のサラダを食べた時点でわけが分からず、続くパンで目を見開き、その次のスープで度肝を抜かれ、本当に最後まで感動しっぱなしだった。

一品目はハーブを使った葉物野菜のサラダだったんだけど、こういうサラダってさ、葉物のえぐみとか苦味とかクセがあるわけ。普通はね。
でもそれがないんだよ。全然ないの。
なおかつ、葉そのものが持つ味や美味しさがちゃんと感じられるの。
ドレッシングも意味が分からなくてさ。ドレッシングって塩味や酸味があるから、素材とどれだけからんでいるかで味にバラツキができるものなんだよね。
だから、ドレッシングが多めについちゃった部分は「あ、ちょっとこれは付けすぎたな」って過剰に感じられてイマイチだし、逆にドレッシングが少なすぎると「あ、これは物足りない。うまくからまなかったな」って不足な感じでイマイチになる。かといって、徹底的にかき混ぜればいいってもんでもない。
なぜなら、原理原則として、均一なものっていうのは美味しくないから。平坦で単調なものは美味しくない。だから、ドレッシングを美味しくからませるには、程よい不均一を残してかき混ぜないといけない。でも不均一だと過剰や不足が生じるというジレンマがある。
なので、サラダを食べるときは、ドレッシングと素材がどのくらい混ざったら美味しいか、少しずつ味見をして、うまくかき混ぜ調整しながら食べると、比較的美味しく食べやすい。
ところが、ここのドレッシングは不均一を残しても、なぜか過剰も不足も発生しないんだよ。どこを食べても塩味も酸味も過剰でなく、かといって不足でもない。均一すぎるわけでもなく、でもどこを食べても本当にちょうど良いバランスになっている。だからといって、ドレッシング自体に味がないわけでもない。
なぜこんなことになるのか意味が分からない。

次に出てきた食パンもすごい。
こういうお店でバゲットじゃなく食パンが出てくるのも変わってるけど、食べればその理由が分かる。
美味しい食パン、特に近年高級食パンとしてもてはやされる食パンっていうのは、どんなものか相場が決まっていて、だいたいバターや生クリーム、そうでなければミルクを大量にどかどか入れてるんだよね。だから味や香りが豊かで、美味しく感じられる。反面、日常的に食べるには飽きやすいという欠点がある。それに、バターや生クリームが大量に入ってるパンなんて身体にもそういいもんじゃない。
じゃあここの食パンはどうか。
小麦粉。
バターは感じられず、生クリームも感じられず、ミルクすら入っていないように感じられる。
ただただ小麦粉。
小麦粉の味しかしないなんて言ったら、素朴で貧相なパンをイメージしてしまうかもしれないけど、全くそんなことはない。
もし自分がパン職人でこんなに美味しいパンを食べたら絶望してしまうかもしれないと思うほど、圧倒的に美味しい。
パンとは何か。バターを食べるものか? 生クリームを楽しむものか? ミルクを味わうものなのか? 違う。パンの主役は小麦粉だ。ならばそれ以外はいらない。小麦粉と砂糖と塩と水さえあれば美味しい食パンは作れる。これこそが"本物の"パンなのだ。
そんなメッセージを感じる、至高のパンだと思った。

パンの焼き方にも一工夫してある。食パンをこう、立てた状態をイメージしてほしいんだけど、このときに上となる側ははっきり焦げ(完全に黒い「焦げ」そのもの)るほどしっかり焼いてあり、逆に下側は白くて焦げ目すらない。そんなふうに傾斜をつけた焼き方になっている。
食パンの下側の白い部分や、真ん中あたりの適度に焦げ目のついた部分が美味しいのは当然だけど、なんと上端の真っ黒な「焦げ」そのものの部分まで美味しい。
焦げを食べたとき、何か幼い頃が思い出されるような、原始的とも懐古的ともいえるような、人が人である限り美味しいと感じざるをえない何かがそこにある。
このパン美味しいでしょ。でもね、実はこんな焼き方をするのが一番なんですよ。ほらこれなら全部味わえるでしょ。この焦げもね美味しいんですよ。ふふふ。
そう聞こえてくる。

食パンには付け合せのバターがあり、これもまたものすごく美味しい。
バターを口にいれたときのなめらかさや清涼さが素晴らしく、特に後味では極上のミルクを飲んだかのような口溶けと香りの良さを感じられる。
美味しいバターや美味しい牛乳というのは、つまるところ脂肪分が多いものだ。人の身体は脂を求めており、脂が多ければ人は美味しく感じるからだ。だから、高級なバターや牛乳は必ず脂肪分が多い。
ところがこのバターの極上さは脂肪分の豊富さによるものではない。それどころかこのバターは決して脂肪分が多い方ではない。だから重くなく、なめらかで、清涼で、さっぱりしていて、それなのに美味しい。なんでこうなるの?

続くスープはオマール海老のビスク。(といってもビスクの調理方法とは全く異なる)
最高級のオマール海老が抽出されたスープは、圧倒的に香り高く、並外れて濃厚な味で、笑ってしまうほど美味しく、海老の姿が思い浮かぶほどに存在感がありながら、極めて軽くスッと消えていく。
海老を最も美味しく食べる方法は、寿司でもなく、天ぷらでもなく、鉄板焼でもなく、スープだったのか、と思い知らされる。
意味がわからない。
調理方法は包み隠さず教えてくれるんだけど、やっぱりはてなマークが頭に浮かんでしまってわけがわからない。

まだまだ語りたいんだけど、さすがに料理一つ一つについて最後まで語ると長くなりすぎるのでこの辺で。
最後まで驚かされっぱなし、感動しどおしだった。


コースが進むとオーナーである来栖けい氏はこう語ってくれる。
「美味しい料理を作るなんて簡単。足りないものを補うよう組み合わせればいいだけ」
「目の前のお皿を美味しくさせることが第一優先じゃない。素材の持っているものを伝えきることの方が優先順位が上」
「美味しいは最低条件。その先の話」

食材を組み合わせず、常に食材単体で、調味料すら最小限で、その食材を本当に引き出した本物の一品を作る。

素材を活かすと言われる日本料理ですら、出汁で旨味を加えたり、醤油やみりんといった調味料を加えるのが当たり前な中、食材単体にほぼ塩と水だけで食材の味と香りを最大限に引き出し、「その先」の料理を実現しているのは、圧巻という他ない。
唯一無二のレストラン。


ちなみに今回は入門編とのこと。
最初の来店のときはみんなほぼ同じコースになるんだけど、次回からは来店回数と季節に応じて、内容が変わるらしい。
コースを見たとき、季節に依存している食材がすごく少なかったので、次回来たときに代わり映えしないんじゃなかろうかと心配だったんだけど、そういうことなのね。
安心しました。

いやーそれにしても、来店前は一人5万円ってお高いお店だよなと思ったけど、この料理なら納得ですわ。
これが2万とかだったらどう考えたっておかしいもの。

絶対また来ます。


※参考1
食パンはBon.nuさん自家製ではなく東浦和の風見鶏さんというパン屋さんの「塩トースト」(人気なので売り切れ必至。予約可)

※参考2
今回は冒頭の料理しか紹介しなかったので、もしネタバレしてもいいのなら、IKKO'S FILMSさんの動画が分かりやすいです


2022/12/8 鮨 みずかみ(千代田区)★4.15

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(ひじきと鳴門金時+握り13貫+お椀+玉子+沢庵+水菓子)(税込20,000円)+シャコ(税込1,700円)

14回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ、コハダ抜き。今回も板前の根崎さん。
満足。
中トロ、車海老、あなごが特に美味しかった。
水菓子のルレクチェも今日がピークのタイミングで追熟されていて素晴らしかった。

大将の水上さんに美味しい天ぷら屋さん教わったから、今度そこにも行ってみようっと。


2022/12/14 蕎麦おさめ(港区)★3.5

ジャンル:蕎麦
ランチ おまかせコース(税込9,350円)

妻と一緒に美味しい蕎麦屋さん探しの旅。
ミシュランビブグルマン。アメックス KIWAMI50
決してまずいわけではないけど、あえてもう一度来るほどの美味しさではないという感じ。
蕎麦がきを思わせるもちもちした食感と香りが感じられる蕎麦や、どっしりと重さを感じる蕎麦など、特徴的な蕎麦がまあまあの味。

食の話じゃないんだけど、ここは外かと思うほど店内がめちゃくちゃに寒くて、コートを来てないといられないほどだったので、そういう意味でももう来たくないなって思ってしまった。


2022/12/15 鮨 みずかみ(千代田区)★4.15

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(ひじきと鳴門金時+握り13貫+お椀+玉子+沢庵+水菓子)(税込20,000円)+干瓢巻き(税込600円)

15回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ、コハダ抜き。今回も板前の根崎さん。
ねんがんの かんぴょうまきを たべたぞ!
さすが美味しかった。栃木県産なのは当然として、下都賀郡(つまりおそらく壬生町か野木町のもの)なのねー。自分の出身の下野市じゃなかったのは少し残念だけど(笑)。でも、念願の栃木県産干瓢巻きを食べられたのは嬉しかった。
あと今回始めてのマカジキもなかなか。
今日他に良かったものとしては、ホッキガイと車海老、シメサバかなー。
それと、今日の赤身(だったか中トロだったか)は骨の風味が感じられて良かった。


2022/12/22 鮨 みずかみ(千代田区)★4.15

ジャンル:寿司
ランチ 昼の握りのみのおまかせ(鳴門金時とかつお菜と厚揚げ+握り13貫+お椀+玉子+沢庵+水菓子)(税込20,000円)+赤貝(税込2,200円)

16回目の来店。一人で。わさび少なめ、シャリ少なめ、コハダ抜き。今回も板前の根崎さん。
ミル貝とはまぐりと赤貝は初めて。
はまぐりはまあ悪くないけど、真ん中くらいかなー。赤貝は平均よりやや劣るくらい? ミル貝は水の匂いが強くて正直かなり苦手だった。
今日美味しかったのは、ぷるぷる感のあったホッキガイ、ミソがいつも以上に甘く香った車海老と、味が濃厚だった穴子かな。

帰るときに大将のみずかみさんが言ってたんだけど、今年後半の来店頻度はぼくが一番だってー。
7〜12月の来店回数は14回だから、月平均2.3回と思うと、それほどでもないな?
来年はもっと増やす予定なんだけど‥‥ご迷惑でないならいいか。

【追記】
ミル貝、7/14に食べてたわ。
美味しいって書いてあるから、モノの状態が大きく違ったってこと? そんなに違うことある? それか、当時は生じゃなかったか。


2022/12/25 天政 丸ビル店(千代田区)★4.2

ジャンル:天ぷら
ディナー 冬の天婦羅コース(税込17,600円)+セイコガニ+そらまめ+さつまいも

9回目の来店。妻と。揚げ手は鈴木鉄也さん。
今回も満足。
椎茸と天バラが美味しかった。


高くはないお店のメモ

2022/8/3 手打蕎麦 ふじや(新宿区)★3.6

ジャンル:そば
ランチ 大海老と季節野菜の天もり(税込1,680円)
食べログ★3.40 Googleクチコミ★4.4

妻と一緒に2回目。
前回と違って美味しくなかった。平凡。
蕎麦がやや茹ですぎで固く、みずみずしさもなく、蕎麦の香りも物足りない。しかも、もったりとした重さもある。
季節の影響はあるにしても、バラツキの大きいお店なのね。
わざわざ新宿まで来る価値はないという感じなのでもう行かないかな。


2022/8/14 希須林(長野県軽井沢町)★3.9

ジャンル:中華・中国料理
ランチ Kikurin's Lunch 麻婆豆腐(税込1,480円)

妻と旅行で。
美味しかったー。
まず最初に出てきたご飯の輝きからして間違いないなって思ったんだけど、実際ご飯のクオリティは文句なしで、お吸い物も美味しくて完璧。
何よりメインの麻婆豆腐が美味しかった。山椒しっかりで辛味が強めの麻婆豆腐。塩気やニラの香りなど、全体に控えめの味付けなんだけど、すごく好みのバランスでとてもよかった。大満足。
青山と赤坂にもお店があるらしいので、そっちも行ってみたいな。


2022/12/11 希須林 青山(港区)★3.5

ジャンル:中華・中国料理
ランチ 土鍋の "痺れる" 麻婆豆腐(税込1,580円)+ご飯(税込250円)

ってことで青山の方の希須林にも妻と二人で行ってみました。
うーん‥‥や、まずくはないんだけど、麻婆豆腐のレシピが軽井沢のお店と違っていて、そんなに良くもなかった。
基本的には似たレシピで山椒も香るんだけど、こっちは砂糖と甜麺醤がかなり多めなレシピっぽい。特に砂糖の甘みが強く舌に残る。
軽井沢の方は純粋に辛みを感じる麻婆豆腐なのに対して、こっちは甘さの方が前面に出ていて、後から辛みもついてくる感じ。
麻婆豆腐に限らず、甘みが強いのがそんなに好きじゃない(妻の手料理はだいたいの場合、砂糖の量を本来のレシピの半分にしているくらい)ので、これはちょっと甘みが強すぎるように感じてしまうかな。


2022/12/21 パン工房 風見鶏(埼玉県さいたま市)★3.5

ジャンル:パン
テイクアウト バターベーグルチョコチップ、シンフォニー

Bon.nu(ボニュ)で食べてとんでもなく美味しかった食パンの仕入先のパン屋さん。
‥‥なんだけど、今回買ってみたパンは、特別美味しいってわけでもなかった。
自宅の近くにあれば、たまに買うパン屋さんの一つには入る気はするけど、1時間近くかけて行くほどのお店ではないと思った。

ちなみに、たくさんの種類の食パンを扱っているので分かりにくいんだけど、Bon.nu(ボニュ)に出しているのは「塩トースト」とのこと。
人気の食パンで、早い時間に売り切れてしまうけど、予約が可能ということなので、気が向いたら予約して買いにいくかどうか。
Bon.nu(ボニュ)に行けば食べられるからな‥‥。


天ぷら屋さんランキング

1位 天風良 にい留(愛知県名古屋市)★4.8~4.9

絶対王者。ぶっちぎりの全国一位。
他の天ぷら屋さんとは別次元で美味しいお店。
にい留を大谷翔平だとすると、ミシュラン星付きクラスのお店は高校野球だといえる。
「にい留の天ぷら」と「ミシュラン星付きの天ぷら」の落差は、「2万円の天ぷら」と「2千円の天ぷら」くらいあると思ってよい。
ここの天ぷらを食べて、驚き、震え、感動しないのであれば、もうお前は砂でも食ってろ。

※東京への移転のため2023年1月より休業。営業再開は早くて2023年9月らしいです。


2位 てんぷら 天白(千葉県千葉市)★4.4

にい留以外で唯一別次元に足を踏み入れている天ぷら屋さん。
ミシュラン星付きのお店が高校野球であり、にい留は大谷翔平だとすると、天白は平凡なプロ野球選手。
にい留と比べてしまうと後方にいるといわざるをえないが、天ぷらによって素材の味を引き出すその腕は本当に見事で、にい留以外のお店よりは間違いなく上の世界にいる。
ただ、季節感を重視した素朴で変わり種の野菜を多く出すので、天ぷらを食べ慣れていなかったり、舌が鈍感だったりすると、その実力のほどを見極めるのは難しいかもしれない。

ちなみに2023年1月から、おまかせ税込13,200円→18,700円に値上げ予定。
それでも安すぎなくらいだと思う。


3位 江戸前晋作(東京都中央区)★4.3

おそらく都内で最も美味しい天ぷら屋さん。
にい留や天白のように別次元に住んではいないが、その次元に踏み出しつつあるように感じられる。
食べていて、非常に研究熱心で常に挑戦しているのが感じられるので、目の前の美味しさを堪能するだけでなく、今後の成長も見たくなる、そんな素敵なお店。


番外 天政 丸ビル店(東京都千代田区)★4.3

天ぷら自体の全体的なレベルはミシュラン一つ星の平均程度で、客観的な評価としては★4.1あたりが妥当。
みずみずしさを強調しているところや、量が少なめなのが好み。コース全体のバランスも良いので、気に入って繰り返し通っているお店。


その他

てんぷら 近藤(東京都中央区)★4.2
ミシュラン2つ星の超有名老舗店。2019年「現代の名工」。素材感の強い天ぷらが特徴だが、だからこそ物足りないと感じる人もいるかも。

みかわ 是山居(東京都江東区)★4.2
元ミシュラン星獲得店で超有名老舗店。2021年「現代の名工」。徹底した脱水で旨味を引き出すのが特徴。旨味が強すぎてバランスを欠いているように感じられるのと、来店時に一品だけあからさまに手を抜いていたので、個人的にはあんまり。

くすのき(東京都新宿区)★4.2
食べログで都内の天ぷら2位の有名店。席が6席のみ、手づかみで提供、生と天ぷらの2パターンで提供、大将がめちゃくちゃ説明してくれる、と食べロガーが喜びそうな要素が満載。多彩な調理法の天ぷらが楽しめるが、5万円の価値があるかと言われると‥‥。

てんぷらと和食 山の上(東京都千代田区)★4.1
しっとりとした天ぷらだが、油がお腹に残る感がある。ソフトドリンクのレベルはずば抜けて高い。

天ぷら 銀屋(東京都港区)★4.0
ミシュラン2つ星。厚めの衣でどっしりした天ぷらと、天つゆらしい顔をしていない天つゆが特徴。変わった天ぷらを出すせいかミシュランの評価は高いが、単純な美味しさで見ると正直星なしでもおかしくないと思う。

てんぷら 深町(東京都中央区)★3.9
ミシュラン1つ星。スタンダードな構成で、可もなく不可もない天ぷら。

天婦羅 みやしろ(東京都目黒区)★3.9
ミシュラン1つ星。全体にややトリッキーでいかにもミシュランウケしそうなお店。トマトが入った変わり種の天バラが名物。


来店履歴

寿司 16回(3店)
天ぷら 9回(4店)
鉄板焼 1回(1店)
中国・中華 1回(1店)
イタリアン 1回(1店)
蕎麦 1回(1店)
ジャンルなし 1回(1店)

以上 30回(12店)


コメント

日本一美味い天ぷら屋さんにい留さんと、唯一無二のレストランBon.nuさんの発掘、そして鮨 みずかみさんの定着と、2022年下期は大豊作の半年だった。

妻とは毎月1回お高いお店に行くようにしているのだけど、来年からは天政さんを3ヶ月周期、Bon.nuさんも同じく3ヶ月周期にして、残るもう1月を自由枠として新しいお店を発掘する形にしていく予定。

鮨 みずかみさんは、「基本的に毎週行くが、その週に別のお高いお店に行く予定がある場合は予約しない」(=月2.5回くらい来店)というルールでお邪魔していたんだけど、来年は単純に「基本的に毎週行く。ただし別のお高いお店に行った翌日はできるだけ避ける」(=月4回くらい来店)というルールでちょっと試してみたいと思う。
満足度に問題なければ、そのルールで継続するつもり。
毎週だと飽きるようであれば、月1回はお休み(=月3回くらい来店)にしてもいいしね。


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