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「公約で選ぶ」のって全然良いことじゃなくない?っていう話

こんなポストを拝見しました。

「きちんと主要候補者の公約を読んで石丸伸二に投票した」
「選挙後の石丸伸二への批判がひどすぎる。人格否定はおかしいと思う」
「石丸に投票した自分を否定されるのもうんざり」
「もう投票に行きたくない」

そんな話です。


このエピソードには様々な論点が含まれています。

「公約を読んで投票先を選ぶという行為の妥当性(候補者への人格否定の正当性)の問題」
「選択に対する否定を自分への否定だと感じてしまうことの問題」
「たとえ過程が誠実であろうと結果が伴わなければ、否定されることは社会において往々にしてあるという問題」


今回はこういった論点の中で

「公約を読んで投票先を選ぶという行為の妥当性(候補者への人格否定の正当性)の問題」

にフォーカスして話していきたいと思います。


まあ結論から言ってしまうとこれなんですが。

もうちょっとゆっくり解説していきたいと思います。


「公約で選べ」ってよく言われるけど‥‥

先に取り上げた白崎ミュウさんのポストでもそうですが、「公約で選べ」ってよく言われますよね。

利害関係がどうだとか、この人が票を取りそうだからだとか、そういったことに影響されるのはよくない。
公約だけで選ぶことこそが、正しい姿だ。
そう言われることが多いはずです。

学校でもそう習うし、テレビでもそう言われてるし、今回インフルエンサーもそういった発言をしていましたよね。

でもそれは違うよな、というのが私の考えです。


約束を守らないAさんと、約束を守るBさん

ここで例を出します。

あなたの友人のAさん。

Aさんとはたまに飲みに行くのですが、いつも「財布を忘れた」といって、お金を払ってくれません。
帰り際に「次は払うわ」とは言ってくれますが、払ってくれたためしは一度もありません。

そんなAさんが今日も「次はまとめてオレが払うわ」と言ってきました。
あなたはどのくらい期待しますか?
飲み代は金額でいうと5,000円くらいです。


さて、次にもう一人の友人Bさん。

彼とは、ときどきランチにいったりカフェでお茶したりする仲です。
いつもはワリカンなのですが、あるとき自分が昇進したことをLINEで伝えると、Aさんはこう返してくれました。

「マジか! 次のメシはオレが奢るわ! お祝いな!!」

このBさんにあなたはどのくらい期待しますか?
ちなみにランチ代は1,000円前後です。


それぞれの約束を「公約」に置き換えると、Aさんは5,000円、Bさんは1,000円です。
「公約」で選ぶならAさんですよね?

でも、ほとんどの皆さんはBさんの方にしか期待しないはずです。

なぜならAさんは公約を守ってくれそうもないけど、Bさんならきっと公約をやり遂げてくれそうだから。


なので、「公約」だけで選ぶのは正しくない。

「公約 x 実現性」で選ぶのがあるべき姿。

これが私の考えです。


石丸伸二さんへの人格否定って‥‥

さて、今回の石丸さんの話題に戻りましょう。

彼はテレビでの態度が話題になり、「石丸構文」という不名誉な形で揶揄されるようになりました。

これはいわば人格否定といえます。

「人格否定はよくないことだ」ってよく言いますよね。
だからこうして揶揄するのは、よくないことだと。

そう考えるかもしれません。
でも違います。


なぜなら、政治家にとっての「人格」とは、「実現性」の一要素に他ならないからです。


もちろん「人格」のすべてが「実現性」に影響を与えるわけではないです。

たとえば「猫に優しい」という人格であろうがなかろうが「実現性」にはほとんど影響を与えないでしょう。

一方で、「他人の言うことを汲み取れない」「都合の悪い指摘を受けたら逃げ回って答えない」といった人格は、公約の「実現性」にいかにも影響を与えそうです。
政治とはコミュニケーションですし、逃げの姿勢は有権者への不誠実さへと直結するからです。


だから、政治家の人格について語ることは、むしろ重要なことなんですね。


石丸伸二さんの「人格」「実現性」はどうだったのか?

せっかくなので、今回話題となった、石丸伸二さんを例題にして「人格」「実現性」を検討してみましょう。


安芸高田市での市議との舌戦

YouTubeやTikTokで、肯定的な文脈で取り上げられることの多かった、市議会での舌戦。誰かが誰かを負かすのは見ていて痛快かもしれませんが、これは「実現性」の観点から見るとマイナスポイントでしょう。

なぜなら、地方議会というのは「首長」と「議会」の二代表制であり、両者の方向性を一致させていくことでしか議案を通し、行政を前進させる方法はないからです。
議会との対立が多く議案を通せない首長とはつまり無能であることに他なりません。


こうした事例については、下記「取材不足」さんのチャンネルで多くの具体例が挙げられています。


法の軽視、倫理観の低さ

石丸伸二さんは今回の選挙戦の中で数多くの公職選挙法違反を指摘されていました。

①7/10発売の自分の書籍を選挙期間中に電子書籍で発売!
未成年を政治活動に参加させた?
③クラウドソーシングで街頭演説の参加者を動員?
④安芸高田市と東京NBC会員の連携メディアで援護射撃?
⑤有料のインターネット広告
⑥選挙前に確認団体が活動
⑦事前にビラ配布疑惑
⑧ウグイス「投票は禁句よ~」

特に未成年者の選挙利用(公職選挙法第137条の2)は誰の目から見ても倫理観に欠けた、ひどいものでしたでしょうし

実際、現役の国会議員の公設秘書(参議院議員 浜田聡事務所公設秘書の村上ゆかりさん)も、「遵法精神はカケラもない」と発言されていました。

選挙後、つい昨日のライブ動画(つまり選挙後ではありますが)でも、最高裁で負けた件についてすら非を認めようとしない姿勢が話題になりました。


こういった事実から、石丸伸二さんは遵法精神や倫理観が低いことが推察できるでしょう。

「法律」は、現代社会において、ほんんど誰もが当然に守るものです。ましてや、裁判所の出した結果にすら頭を垂れず従わない人というのは、本当にごくごく一部でしょう。

逆に、選挙における「公約」は、実際のところ、多くの政治家がろくに守らないのが実態です。

みんなが守る「法律」すら守れない人間が、みんなが守らない「公約」を守ることなんてあるでしょうか?


虚言癖

漫画賢者を自称し、スピーチでも取り上げ、通して読んだと自称する『鬼滅の刃』について質問されたとき、「一度読めば誰でも答えられるような質問」に全く答えられなかった石丸伸二さん。


なぜか漫画の蔵書数が急激に増えたり減ったりする石丸伸二さん。

暇空茜氏指摘の通り、虚言癖をお持ちのように見えます。

もし虚言癖であれば、公約を守るわけがないのはいうまでもないでしょう。


実績

では、そんな石丸伸二さんは安芸高田市長時代、どれだけのことをやり遂げたのか。

私はどれだけ探しても見つけられなかったのですが、幸いにも、都知事選前のネット演説でご本人が語ってらっしゃいました。

これによると、「YouTubeの登録者数が増えた」ことが安芸高田市長時代の実績とのことです。


安芸高田市が豊かになったわけでも、安全になったわけでもなく「YouTubeの登録者数が増えた」ことが、ご自身の語る一番の功績ということのようです。


ちなみにYouTubeの登録者数はお金で買うことができます。

※これは「安芸高田市のYouTubeチャンネルの登録者数が金で買われたものだ」という意味ではなく、チャンネル登録者数というのはそれほど空虚なものだ、という意味です。


また、これも選挙後の情報で恐縮ですが

石丸伸二さんが市長を退いた、安芸高田市では、その後の選挙で反石丸を掲げた藤本悦志さんが当選したとのことです。

これが、石丸伸二さんの成した実績に対し、安芸高田市民が下した判断ということでしょう。


石丸伸二さんまとめ

以上を踏まえると、石丸伸二さんは「人格」面から見て、公約の「実現性」は低いように見えますし、安芸高田市での実績でもそのことが証明されているというのが、私の見方です。

「実現性」の面からみて、やはり石丸伸二さんはあまり良い投票先ではなかったのかなと思います。


まとめ

・選挙で考えるべきは「公約」だけじゃなく、「公約 x 実現性」だよね

・政治家の「人格」は「実現性」の一要素だから、政治家の「人格」について語るのは必要なことだよね

・実際、今回批判されている石丸伸二さんの「人格」を見ると「実現性」は低かったように見えるし、実績からも証明されているように見えるよね。だからやっぱり、あまり良い投票先でなかったのは確かかもね。


今回は以上です。


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