影響されやすい性格なのかもしれない
男の子3人で、アメリカと日本の違いや、生の英会話なんかを紹介する『Kevin's English Room』というYouTubeチャンネルがお気に入りなんだけど、最近、アメリカのファストフードを取り上げた回を見た。
アメリカ本場のハンバーガーや、タコスを試食してみる、という企画なんだけど、この中で『Papa John's』 というピザ屋さんの、ピザというか、そのピザにつけるディッピングソースを大絶賛していた。
このチャンネルでは、この時みたいに、『日本のドーナツvsアメリカのドーナツ』みたいな感じの特集が多い。
私にとっては、日本のものはそもそも手に入らないし、アメリカのチェーンだって、よほど大手じゃないとカナダには入ってこないから、「いいなあ、日本はこんなにいろんなものがあって。アメリカのチェーンも、中規模のやつはいろいろ独自性があって楽しそう」と、いつも、あれこれ味を想像しながら、腹を空かせていた。
だからこの『Papa John's』 も、アメリカのピザ屋さんだから、カナダにはないんだろうな、と思いつつ、Googleで検索すると、なんと家から車で10分のところにあることが発覚。
ぜんぜん知らなかった。
お店の見た目が、いわゆるピザのチェーン店によくありがちな配色の店舗なので、他のピザチェーンと、ごっちゃになってたんだと思う。
「あの3人が絶賛していた、ピザ&ディッピングソースが食べられる!」
もう、こうなったら、いてもたってもいられない。
早速、オンラインでオーダー。
「ディッピングソース、1個じゃたりねー」って言ってたから、追加でもう一個注文しといた。
タイミングよく娘も帰ってきた。
「今日の夕飯なーにー?」
私は、ダイニングテーブルに置かれている、どでかいダンボールのピザ箱を指差した。
「あれ? どうしたの? いつものと違うじゃん」
さっそく、蓋を開ける。
匂いに釣られたのか、息子もやってきた。
そこで、簡単に事の経緯を話す。
「と言う訳で、ディッピングソースもちゃんと追加しときましたー!」
娘がこぼさないように、最新の注意を払ってディッピングソースの蓋を開け、まず匂いをかいでみる。
「ガーリックバターの匂いがする」
そうそうそう。
動画でもそう言ってた。
でも、ガーリックバターじゃ、ないんだなあ。
まず、娘がピザの先端をつけて、パクリといった。
ワクワクでリアクションを待つ私。
が、首を傾げながら、「うーん」とか言っちゃってる。
あれ?
そこで、私も、自分のピザで試してみる。
うーん。
確かに、うーん、な感じ。
なんか、ガーリックバターを薄くのばして、よくわからん化学調味料を混ぜた感じ。全体的にぼんやりしている。
「これなら、ガーリックバターの方が良くない?」
確かに。
「ってか、ピザにさらにガーリックバターってのも、どうかと思うけど」
確かに。
息子に至っては、私たちのリアクションを見て、
「俺、ソースいらね」
とか言って、そのままパクついていた。
いや、ピザ自体はおいしかった。
私たちの基準が、ドミノピザだから、まあ、なんだけど、ドミノピザより生地がもちもちしてて、そこがよかった。
結局、張り切って追加した分のディッピングソースは使わずじまい。
「でもね、私は好きよ、そういうの」
と、娘が半笑いで私に言う。
「なにが?」
「なんていうか、そういう、YouTube見ました。食べたくなりました。早速、注文しました。って言う、単純というか、影響されやすいママがさ(笑)」
......ああ、なんか娘が大人になってる。
若干、上から目線なのに、悔しいが、言ってることは正しい。
こんな場面で、娘の成長を感じるとは。
*
しかし、あの動画の男の子たちは絶賛してたんだよな。
同じような企画でも、口に合わない時はちゃんとそう言ってるから、きっと本心から、美味しいと思っていると思うし、実際にあのディッピングソースのネットでの評判もいい。
まあ、うちにはあわなかったってことだ。
ま、こういうことはままある。
前に、お伊勢うどんをお土産にいただいたことがあるのだけど、讃岐うどん派の私にはイマイチだった。
そして、私は九州で育ったので、あの甘いお醤油も大丈夫なんだけど、友人たちは、受けつけられん、と騒いでいた。
まあ、味の好みは人それぞれ。
そうやって考えると、日本人は海外のお菓子が苦手な人が多いのに、なんで、日本のお菓子は海外で人気なんだろう。
こっちの甘さ度合いで育ったら、日本のお菓子は甘みが全然たりないのではないのだろうか?
疑問だ。
〜終わり