有給にしますか?育児休業にしますか?育休を取るときの注意点
昨今の流れに乗り 「育休を取るぞ!!」 と意気込んだは良いが、どうやって取ろうか? となっている方の参考になれば幸いです。
計画を立てる
育休(育児休暇 or 育児休業)を取得することを決めたら育児休業給付について計画を立てます。
この計画を立てるとは「給付金を貰うかどうかを計画する」ということです。「給付金が貰えるのであれば、貰った方が良いのでは?」となりますが、一概にそうも言えないのが現状です。
個人的結論は「最大限有給を活用する」です。
育児休業を取って育児休業給付を貰う?
そもそも育児休業給付とは国の制度です。この制度の主旨としては「育児のために休業するから、収入がなくなる分を補填してあげる」というものになります。非常にありがたい話ですが、どの程度の補填があるかというのが肝です。
厚生労働省の育児休業給付ページより
父親の場合、給付金の種類は正確には二種類あります。
出生時育児休業給付金
育児休業給付金
それぞれ一定の要件を満たす必要があります。厚生労働省の資料を参照します。
育児休業給付の内容と支給申請手続(令和5年8月1日改訂版)[2.9MB]
出生時育児休業給付金
子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
被保険者である必要があります。
合計4週間以内の取得期間になります。
休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの 基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
普通に働いている場合は適合します。
休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間) 以下であること。
基本的に休業なので働くな。ということです。
子の出生日※1から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、 その労働契約の期間※2が満了することが明らかでないこと。
※1 出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日
※2 労働契約が更新される場合は更新後のもの産後育休を取得してそのまま転職するなよ。ということです。
育児休業給付金
1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(2回 まで分割取得可)。
被保険者である必要があります。
対象の子が一歳になる前までに取得しなさい。ということです。
休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの 基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
普通に働いている分には適合します。
一支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下で あること。
休業中は基本的に働くなよ。ということです。
養育する子が1歳6か月に達する日までの間※1に、その労働契約の期間※2が満了する ことが明らかでないこと。
※1 保育所等で保育の実施が行われないなどの理由で、子が1歳6か月に達する日後の期間にも 育児休業を取得する場合には、2歳に達する日までの間
※2 労働契約が更新される場合は更新後のもの育休明けに転職する予定が決まっていてはダメ。ということ。(明らかでなければ(=書面などで示されていなければ)いいので、予期せぬ転職はOK)
育児休業給付はいくら貰えるのか?
67%程度がもらえます。
育児休業給付を使用することで、休業となるため会社からの給料はもらえないことになります。
では、貰える金額はいくらなのか?
厚生労働省の資料では以下のとおりです。
支給額は 以下のとおりです。
即ち、給料の 67% しか支給されません。
この裏には「社会保険料の免除」があります。
厚生労働省の 「育児休業等期間中の社会保険料 (健康保険・厚生年金保険)の免除」にはこの様に記載されています。
そのため、支給金額はもともとの給与より少ないけれど、社会保険料を払わなくていいので トントン とまではいかないが、実際の手取りには影響しづらいよ。という設定になっていると考えると良いと思います。
実はもう一点気にしておかないといけないことがあります。
支給金額には上限額があります。
これは 賃金(額面)の上限額が 462,900 円に対して 67% をかけた金額が 310,143 円 (手取り)であるということです。
即ち、現在のあなたの額面給料が 462,900 円を超えるのであれば、いくら額面給料が高くても 31万円程度しかもらえないと言うことです。
この点は非常によく考える必要があります。
ボーナスはどうなる?
賞与は一般的には年二回若しくは年一回 支給されるもの です。
大体の企業ではこの賞与の計算の際には月給の何ヶ月分という計算がされますが、そのベースには何ヶ月働いたか?が効いてきます。
働いた月に関わらず賞与が同額もらえる企業は稀中の稀でしょう。
そう考えると、育児休業は休業なので働いていません。つまり、その働いていない分は賞与の計算には含まれません。こう考えると 育児休業を取得するということは、月給の67% は保証されるが、ボーナスは補填されず、月給分の上限もあるということです。
そもそも育児休業とは?
ここまでの話に鑑みると、育児休業を取得することは収入面でのデメリットがあると考えてしまうのが普通です。
育児休業を前向きに捉えるために、育児休業とは?を考えてみます。
普段は仕事をしている方が 育児に専念する時間を確保するために 仕事をしない 状態です。
ここでは 育児に専念する時間を確保する が 目的であり、仕事をしない が方法です。良くある方法が目的にならないように注意をする必要があります。つまり、育児休業を取得すること自体が目的とならないようにしないといけません。
育児に専念する時間を確保する が 目的である以上、方法はいくらでもあるわけです。そのため、方法の一つとして「仕事をしない」があるわけです。
「仕事をしない」の選択肢の一つとして 「有給を使う」を考えましょう。
有給を使う
有給はどの程度使えるのでしょうか。
育休を取得する計画を立てる中で、自身の有給がどの程度残っているかを確認しましょう。
有給とは
労働基準法39条 で年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
どの程度有給があるかは社内のシステムで簡単に調べられるはずです。
逆に自分の有給の残り(繰り越し含む)を把握していないとしたら、社会人として非常にまずいので必ず年に数回は確認しておきましょう。
有給は以下の通り、労働者の権利であり、その施行は労働者が決めることができます。育休を取得することを決めたら、すぐに上長に予定として伝えましょう。この場合会社は拒否することはできません。「業務多忙だから」という理由では変更を言い渡す事はできません。
有給の繰越し
日本における有給の取得状況は、厚生労働省の報告書「令和5年就労条件総合調査の概況」に出ています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaikyou.pdf
これを読み解くに、令和に入ってから有給取得率(= 取得日数計/付与日数計 x 100%)は50%後半から60%代に伸びています。皆有給を出来るだけ取るようになってきたということです。
逆に言うと、平均的な取得率からいくと せいぜい60% 程度しか取得していないと言うことです。
6.5 年以上 働いていると(= 22歳から 働いていて 28歳ぐらい)年に20日付与されていて、平均が 6割取得なので、単純計算で 8日/年 は残っている計算になります。
3年分でいくと、24日 程度は残っています。おそらく多くの人は もっと残っているでしょう。数年立つと繰越分は消えてしまうというルールもありますが、それでも20日程度の残りがあると考えられます。
そして、これは昨年度までの残りです。新年度になると更に20日付与されます。つまり、手持ちで40日程度の有給があるわけです。
一ヶ月休みを取るのに必要な有給日数
一ヶ月は30日です。毎週土曜と日曜(= 2日 x 4週 = 8日)があります。祝日もあります。(祝日がない月もありますが)
言わずもがなですが、一ヶ月の休みを取るのに必要な有給日数は 20日あれば十分です。
よって、40日程度の有給があれば、2ヶ月の休みが取れます。3ヶ月の育休を取得するとしても、2ヶ月は給与満額+ボーナスに加算される休みを取ることができます。
最大限に有給を取得しましょう。
有給を使い切っても良いのか?
最大限に有給を取得する。と言っても、その年度と繰越し分を全部使い切ってしまっても良いのでしょうか?
個人的な結論としては、使い切っても良いと思っています。
有給が無いのに休むとどうなるのか?
単純に 欠勤となります。
欠勤 = 給与が支払われない休み です。
至極普通のことです。ただし、前向きに考えると 育休が終わって、その後休みが必要な状況はどんな状況でしょうか?
自身の体調不良
私用がある
子どもや家族の体調不良
忌引
などがあると思います。
これらは 基本的に 特別休暇で対応できます。
特別休暇とは?
特別休暇は 会社が独自に定めている休暇です。会社の創立記念日であったり、それぞれ特別な事由に対しての休暇のことです。
そのため、慶忌休暇や、病気休暇、リフレッシュ休暇、看護休暇などがあります。これらは有給とは全く別の扱いになります。
有給を全て消化し尽くしても、これらの特別休暇を使用することで大概の対応はすることが可能です。
特殊な事由での休暇
もし、育休を取得した同じ年度に家族で旅行に行きたい。というのであれば、その分の有給を計画的に残しておくのも手だと思います。
また、育児休業は分割して取ることが出来るので、一週間育児休業を再度取るというのも手法としては問題ありません。
これらの制度を理解し、損の無いように有給と特別休暇を活用して育休を取得することが大事です。
個人的見解
私の場合は、6ヶ月間の育休を取得しました。
持論の通り、有給を全て使い切り、残りの期間を育児休業としました。
これにより、給与は最大限確保し、長期の育休を取得できたと思いますのでこの方法をお勧めします。
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