2016年総まとめ(ざっくり)

あっという間に今年も終わり、特に昨年なのか今年に起きたことなのか記憶が曖昧になっていてそろそろそういう年頃かなと思ってます。

今年は、デジタル×ファッションの案件が多く、やはり近未来的な案件が多かったです。その中でもやはり課題になるのは、いかに消費者との溝が埋められる新しい切り口かつユーザーフレンドリーであるかどうか。

百貨店や店の場合は、来る対象者のデジタルへのリテラシーがマチマチなので高感度すぎても中途半端でも分かりにくくなったり。とにかく巷では「分かりやすさ」が急速に推奨されるようになって、違和感ばかり感じました(だからインフルエンサーも分かりやすいの対象だった)

というわけで、さらっと

・2016年ざっくり振り返り

・2016年写真家とかクリエイター振り返り

・2016年から2017年にかけて気になる人

を記録しておこうかなと。


2016年ざっくり振り返り

ざっくりとはどこまで、という範囲ですが、私が興味のある分野でのざっくりにしておこうと思います。(かなり話が飛んだりもどったりしそう)

世界の大きな流れとして、政治ではトランプ、ファッションではVETEMENTS、展覧会では解体工事前後のビル貸切、商業施設ではやたらとデジタル等とにかくみんな何か勢いのある、迫力のある、「私たちのこと次の次元に引っ張っててくれるわよね」という存在がやたら目立ったように思えます。小さい所で言えば、VETEMENTS以降東コレでもKOCHEを筆頭にやたらヒカリエ以外の場所でやったブランドは反骨的な意味も含めてかっこいいと評価されているような流れがあったり。9.11以降の保守的な時代も時が経てば、強い力で時代を一新させてくれる(期待も込みで)アグレッシブさが重要に。

ファッションでは、世界をも巻き込んで注目を集めたVETEMENTS, GUCCIの両者は、異なる価格帯とバックグラウンドにしてもやはり共通項は複数あったり。両者に共通しているのは、①コンセプトを象徴する分かりやすいアイコン(シグニチャー)、②カルト要素、③そばで支えるCEOの存在
の3点があると思っています。

まずはVETEMENTSに限らず、アンダーグラウンドの系譜をひいたHood By Airにも共通しますが、本来の一般的にタブーなコンセプトはさておき「HBA」のロゴアイテムが飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を集めたこと。つまり、消費者に浸透する方法として、まず複製しやすいアイコンで人気を集め、みんなを引き寄せることという土台を初期に作れたブランドだと思ってます。

途中ブランドを休止したもののブランドを立ち上げて、10年経った今彼もそこらへんはちゃんとマーチャンダイジングとしても考えているらしくQUOTATION FASHION ISSUEでは「ユニフォームは毎日着るもの、素材でいうとデニムとキャンバスなどを、中心としていて、スーツなどもこのカテゴリーに入る。クラシックはロゴのアイテムを中心にきたシーズンレスで展開するもの、そしてレジェンドはハイエンドなライン。テーラードのコートとかブーツとか、ワンドローブの中で何年も大事に着てもらいたいような高価格帯の商品をメインにしている。」とブランドのアイテム展開における3つの柱を語っていたり。

それらの系譜を引いて、なおマルジェラの力を借りて勢いをつけたVETEMENTSは、言わずもがなLottaのスタイリング込みで裾の長いトップスや奇妙なシルエットで、デビュー後のシーズンではブランドのどこもかしこもその流行りに乗っかりこんなに流されるものかと驚いた人も多いのでは。Gosha Rubchinskyもハイウエストパンツやロシア国旗柄の配色などをシグニチャー(ボトムアップとして使い)売り上げをうなぎ登りで増加させた末に、DSMではフロア面積が増えるほどに注目だけではなく実際に売れるブランドになったそう。

そりゃシグニチャーアイテムやアイコンなど確立させるのは当たり前だろう、何をこの場を借りて色々書いているんだと思われそうですが、分かりにくいコンセプトを持ち込むブランドや反対にトレンドばかりに左右されがちな未成熟なブランドが、結構シグニチャーアイテムを持ってないことに今回のvetements旋風で気づいてしまったりしました。特にロンドンでも若手が出てきた時も、その後ビジネス的にロングランできるか否かはここにも掛かっているような気がしてます。もちろんそれ以外も必要なことは多々あるけれど。(とはいえ、日本のファッション消費を支える中間層ーそこそこファッションを楽しむ人たちにとっては、上質とされているブランドでトレンドぽい服を買えることはただの一石二鳥だったりする)

GUCCIの場合は、以前のスタイルとは一新してミッケーレのバックグラウンドから生まれる風変わりなヴィンテージ思考がブランドの雰囲気として一気に注目を集めることとなりましたが、結局就任したからと言ってすぐに大胆な売り上げ増進は実はなかったみたいです。GUCCIは、VETEMENTSのように一からシグニチャーを作るというより、既存のブランドが守ってきた核を踏襲しなければいけず、ミッケーレへの変換期はお店の内装やアイテムの並び等多少困ったそう。そこは、最終的にハイブランドならみんな持っているブランドロゴをGUCCIGHOSTことtroubleandrewに一新させる方法やブランド全体として地道に方向転換していき、やっとストリートの方向に振り切れたのかなと思います。(GUCCI4ROOMSには、それでも既存客の富裕層カップルが来場し「これがコンテンポラリーアートかしら」なんて言ってました)

また、資金があるのでVETEMENTSとは異なり、イベントやキャンペーンも周期を持って行うことが可能ですが、GUCCIGRAM, GUCCI4ROOMなどうまくブランド全体のコンセプトや方向性を打ち出せているような。彼らが挙げているアーティストたちが、アートとして相応しいかどうかは賛否両論ありそうですが、そもそもブランドのアイコンをパクってグラフィティとして消化していたアーティストを逆にコレクションに起用してしまう勢いは今までのGUCCIでは考えられなかったかなと思います。

(比較して話題に挙げるとしたら、資本のあるバーバリーはデジタルコマースに特化しているブランディングを築き勿論ショー会場もゴージャスですが、一方でクリエイティブの力が弱いよね、というのは少し話題になってました。)

消費者にとって分かりやすいそのブランドの象徴的なものを提示するだけなら、�昔に流行った服のシルエットをアレンジするだけでもユニークに仕上がりそうですが、今回の世界のムード全体をがらりと変えた理由の1つには、彼らの「カルト」的な雰囲気、VETEMENTS、 Goshaに関しては公に出る前から宗教的な熱狂があったこと。これらが最終的に彼ら独自のコミュニティ、謎に包まれた雰囲気を作り出したのではないかなとも思います。

HBAのPornHubとのコラボにしても、VETEMENTSやGoshaを取り巻くコミュニティにしてもメディアが注目する前から既に知らない所で根強いファンと不思議な熱狂と期待がいつでも入り混じっていて。それはまるで大人は知らないけど若者だけが熱狂しているアンダーグランドなイベント(そしてそこでは類は共を呼ぶ的な感じで友達ができることも織り込み済み)があるような感覚に近いかと。

GUCCIは彼らほどのカルトさは無かったですが、Petra Collinsなど若い女の子たちのコミュニティを根源に、A MAGAZINEではTaviちゃんのコラムもあったり。やはりどこかコミュニティを拠点に派生していることは共通しているかなと感じました。

このカルトムードの余波は、Alexander McQueen やMarc Jacobs J.W.Andersonのキャンペーンにも現れているのも感じたり。

そして今までの斬新なことを発表してきたブランドと大きく異なるのは、初期の頃から気の合うCEOがいたこと。British Fashion Awardsでも選ばれていたように、vetementsは弟、GUCCIは元ボッテガのマルコ、GoshaはDSMのエイドリアン。度々CEOとデザイナーの対談によるインタビューが多々出てきましたが、結局お金の主導権を持つ彼らにデザイナーからすると意気投合しないと説得させないと新しいことが出来ない部分もあり、Show Studioでも彼らの関係性はよく話題に上ってました。やはり若手が飛躍するには周りにいい駒も必要。


2016年写真など振り返り

ブランドの話は細かく突けばキリがないので、一旦ここらへんで、ブランド以外にも今年はインディペンデントなマガジンが多々創刊されたり、今まで注目を集めてなかったアンダーグランドな雑誌も日本でフューチャーされたりと、なんだかんだ紙の力は未だに強いのかどうか。若い雑誌のほとんどは、バックに協力的なスタイリストやフォトグラファーをつけ ー例えばRe-EditionはLottaとHarleyを味方につけてる様子?内部の編集もしてる?ー 若い編集長であろうとZINEのように一過性で終わるような雑誌は出てきてないなと感じました。


フォトグラファーで言えば、昨年に続きJamie Hawkswroth, Harley Weirなど最早中堅系は(特にHarleyは)広告や雑誌を総なめ。BO NINGENを起用したマックイーンのキャンペーンは本当に素敵。2人は昔にドキュメンタリー写真を撮っていたこともあったりして、昨年から今年にかけてはリアリティのある写真が流行ったなと思いました。(supremeやgosha rubchinskyのストリート写真的な要素も含めて)

ショーで言えば、CHANELが2manydjs×クロエセヴィニーコラボの音楽をかけたことは個人的に激アツ。https://m.youtube.com/watch?v=OW07pvev4Ts
http://www.youtube.com/watch?v=XIyv-PqlM_E

他には、Hood By AirがPornHubやゲイバーでプールも使ってvetementsより深いコミュニティを持っていたり。vetementsでモデルキャスティングの重要さも議論されましたが、HBAでは弱冠20歳のWalter Pearceが話題に。撮りためているモデルの顔はやはり既存のただマネキンのように綺麗だけではないユニークな面々が。

KENZOも桃太郎のテーマではSTREET編集部がキャスティングで入っていたようで、益々土着型のストリートの流れは続きそう。

https://vimeo.com/169828755

そして今年はとにかくブランドのブックが出版された年。主にIDEAから出版され、ここでもGUCCIやvetementsは抜かりなく自分たちのコンセプトを伝える術として発売、そして即完売のニュース。メゾン系もやたらと展覧会を開催するなど、ショーでも体感が大事と言われてる中、資金があるブランドはそこを抜けて他適切な場所で展覧会を行うことで、さらに一般の人へ広まるような仕掛け作りになったかと思いました。

2017年注目

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