London Fashion Week Mens 17AW

年始仕事開始の時期に会社のお休みを頂き、ライターの方でLondon Fashion Week Mensに初潜入。(最近は基本的に平日会社、出勤前後の朝夜&土日にライターなどファッションの仕事をしています)

東コレより比にならない程入場に色々申請が必要なので、行く前に登録&インビリクエストなどバタバタ。東コレでは必要のない「編集長からのcommissioning letter(この人は弊社雑誌で働いているよという証拠)」や「クレジット掲載したPDF」など色々と証拠が必要&それによって届くインビも異なってくるので、出国前の早めの準備は欠かせないです。

今回は、Phoebe Englishman / XANDER ZHOU / Liam Hodges / Allex Mullins / FashionEast / COTTWEILER / J.W.Anderson / KTZ / kiko kostadinovを観てきました。

J.W.Anderson, Craig Green後のメンズコレクションの勢いは、まだまだ続いているのか不確かでしたが、完全に若手勢の勢いは加速中&中堅・大御所は安定時期に突入。若手全体的に「イギリスの労働階級=パンク(ある意味ヴィヴィアンウエストウッド)」の現代版としてブランドそれぞれのワークウェアを展開していたように思えます。

全体的な感想としては、

①先ほども述べたように、ロンドンではパンク精神・労働階級=ストリートカルチャーの文脈は変わらず続いている。

②「ロンドンらしいファッション」=「サビルロウからのクラフトマンシップ精神×パンク精神・ストリートカルチャーのミックス」

 その中でもロンドンのメンズウェアで若手勢に多大な影響を与えているのは、Craig Green。

③JWAのやっぱり変わってるストリートな変態ぽさ

+初耳情報としては、

④チーム、学校、工場など若手ブランドを支えるいくつかの条件

が挙げられます。

現地の友達曰くもう少しイギリス人のブランドが増えてもいいのにね、とのことで世界的にジワジワ出てきてる中国人ブランドがどこまで登りつめてくるかも予想が付かないなと思ったり。

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①永遠のロンドンマインド

話し方一つとっても階級が分かる程、ロンドンは階級社会ですが、その歴史的背景をファッションで昇華したのがヴィヴィアンウエストウッド。やっぱりファッションウィーク中でも老若男女問わず愛されトリを務めるのに相応しい存在です。日本で言えば、ギャルソンのような存在でロンドンでの多大な影響力を持つ彼女のスタイルは、今でも様々なブランドの根底にエッセンスとして含まれているように感じます。例えば、いまや綺麗さっぱり美しい�クリエイティブを生み出すJ.W.Andersonが、初期の頃はヴィヴィアンウエストウッドそのままというような服を作っていたり。Meadham Kirchoffのラストコレクションやロンドンの80~90年代を象徴すべき瞬間には、やはりパンクファッションは登場します。

一方で日本でいうバブル時代のように、現代においてパンクファッションそのまま持ってくるのは、あまり需要がなく街中でもパンクファッション人口は居ないに等しい状況です。そういった時に現代における若い子のストリートウェアというと、だいたいはニット帽+シンプルなトップス+スキニーパンツ+スニーカーだったりします。同時にそれが若い子にとってのリアリティ、ストリートカルチャーでもあります。

その背景を踏まえた上で、今回のメンズウェアに出ていたブランドを全体的に見てみると「ワークウェア・スポーツウェア」が「現代の労働者階級・ストリートカルチャー」として表現されていたように感じます。


例えば、COTTWEILERは数シーズン前のプレゼンテーションから機能性の高い服作りで、前回はリュックサックやバックを作っているC6と今回はパリでリーボックとのコラボを発表。 kikoも上質な生地で機能性のある服を展開。J.W.Anderson, Craig Greenがデビューしてきた頃と異なり、最近のメンズウェアはストリートファッションとしてもリアリティのあるブランドが多く出てきているように思いました。ロンドンの若手で注目を集め盛り上がるメンツの中には、ショーでのパフォーマンス力が面白い所もあるのですが、そのような一過性の盛り上がりではなく、ちゃんと売れる服でありロンドンのリアリティを反映できたブランドが増えたかなと思います。


②ミックスカルチャー/Craig Greenの存在

ロンドンのファッションウィークでは、コレクションの判断基準としてShowstudioのディスカッションやロンドンの友達の口から出るようにいかに「That is London(ロンドンらしい)」という雰囲気も大事にされます。ニューヨーク、パリ、ミラノとは異なるスタイルは、上記で述べたパンク精神も含みながら、伝統的なクラフトマンシップ精神も持ち合わせていること。例えば、今回のMANに登場したJeffreyは、パンク丸出しな感じで翌日DSMに置かれる程巨大なオブジェも登場。若手ブランドのデビューは大概JWA, Craigからもわかるようにブランド全体の世界観を見せるためのユニークで少し大げさな(当の本人たちはそう思ってないこともある)サプライズも多々ある。そこから生き残りをかけられるかが、もちろん早めのチームメンバー構成もしかりですが、デビューした時に二番煎じ感否めないのは2シーズン目で居なくなるのが通常だったり。なので、かなりオリジナリティも大切。
jeffreyは今回面白いねという評価で温かく見守られていたので、次シーズンからのディレクションが気になる所。

*Jeffreyのオブジェは翌日すぐにDSM玄関にてお出迎えキャラに

とはいえ、デビューの盛り上がり方としてはこのくらいのサプライズはむしろ歓迎されるようです。
FASHION EASTはプレゼンテーションなので更に自由な表現で、selftide横のコンクリート打ちっ放しの会場で開催。ミュージカル風にするあたりとてもロンドンらしかったり。

あとは、日本では中々単価も高いことからCraig Greenの存在が語られることは少ないですが、確実にロンドンの若手たちはJWAよりCraig GreenからDNAを引き継いでいるなあと感じました。Craig Green自体、禅というコンセプトを基に着々とシーズンをこなしてきましたが、最初の木材を使ったインスタレーションを辞めた理由は、ちゃんと服にフォーカスを当てたい、人に見て欲しいからとのことでそれ以来特にド派手なオブジェ制作は行わなくなりました。実際日本で着ている人に中々出会わないですが、ロンドン会場では多々遭遇。若手も彼が過去シーズンで行っていたような、顔を覆うマスク、少しドレープが効いたフォルム、あくまでもストリートウェアだけれど上品に見えるような素材使いであったり。

様々な要素で、「ああこれCraig Greenのエッセンス受け継いでるなあ」」と。なので、意外とジェンダーレス代表格のJ.W.Andersonの二番煎じはおらず(数シーズン前のNEWGENとかにはいたような気がするし、いてもオリジナリティにかけるとおもうけど)その2つをミックスした若手。個人的には、ロンドンのメンズらしいコレクション、女性とは異なりスポーツウェアや機能性を重視したコレクションが多々あったように思えます。

https://www.instagram.com/p/BO7ukQfBbcx/?taken-by=yoshiko0306&hl=ja


③JWAのやっぱり変わってるストリートな変態ぽさ

コレクション期間中はショー以外にもショップ巡りなども。リニューアルしたDover Street Marketは、セントラルから少しアクセスが良くなり、以前と変わらずフロアごとでテイストが異なってました。

既にgoshaのストックかなり少なくなってて話題通り‥。そして1Fで先ほど述べたJeffreyのオブジェが。DSMに限らず、セントラルにあるTOPSHOPもコレクション期間中は、ウィンドウディスプレイでLondon Mens Fashion Weekのダイジェスト映像を流したり、コレクション会場だけ隔離されている雰囲気ではないです。(TOPSHOPがスポンサーを下りた後はどうなるのか気になる所ではありますが)路面店を出したSimone Rochaは、少しセントラルの騒がしい通りを抜けた小道に、CELINE,MARNIなどと並び落ち着いたストリートに。前になにかのインタビューでお客様の年代と値段感が釣り合ってないと言ってたけれど、完全に路面店は大人の女性でも入りやすい場所に。この時期はセールを行ってみるみたいなので、来年は絶対ショッピングもしたい。。。


打って変わって、J.W.Andersonショー開催日の夜には、ACE hotel横のJ.W.Anderson Workshopにてイベントがお披露目。The xxの最新MVを手がけ、miu miuキャンペーンなど大御所なので説明不要なAl との作品を展示。度々ヌードや男性器などをモチーフに使ったり、文脈として取り入れてますが、Simone Rochaと異なり、LOEWEの座を獲得してもマインドはゲットーエリアのショーディッチにあるんだなあと。ご本人も居たものの、かなりアットホーム感漂うレセプションでした。

https://www.instagram.com/p/BPABs7wBm2h/?taken-by=yoshiko0306&hl=ja

同じエリアでは、若手注目株のLiam Hodgesのパーティも。以前は、モダンな本屋だった場所にできた割りかし新しいクラブ”Kamio”にて。途中まで現地の友達が頑張ってくれたものの、顔パス状態のエントランスにも関わらず、10~20代前半のLiamキッズたちが交渉しては追い返されたり。ロンドンはやはりナイトバスがあるので、一か八かで夜遊びできる感じがいいですね。


④若手ブランドを支えるいくつかの条件

FASHION EAST, NEWGEN、GQなど若手ブランドをサポートするスキームがあることは周知の通りですが、今回行ってみて現地のスタイリストアシスタントの友達や実際に若手ブランドのインターンを行った友達から色々制作面や環境面で支えがあることも知りました。

kiko kostadinovは、12月にMAKINTOSHのクリエイティブディレクターに就任したことでも注目を集めていますが、kikoでインターンしていた友達曰く、先シーズンくらいまでアトリエで�全て生産していたそうです。その状況下で救世主になったのがやっぱりMAKINTOSH。とはいえ、学生の頃からSTUSSYのオフィシャルコラボにて少しずつ彼自身の存在を広め、学費も工面していたそうだから、もともとビジネスマインドはある人なんじゃないのかな。

また、LVMH後の熱気が続くWales Bonnerは、現在LOEWEと同じ工場で生産しているそう。また、デニムのFaustineと同様に、彼女たちはual内にあるアトリエを使用しているそうで、いまフラット含めスペースを確保するのが困難な状況下に最適なサポートだと思ってます。

他にも若手ブランドと老舗ブランドのコラボレーションアイテムも現地の人にとっては普通というか、若手ブランドを様々な面からサポートすることには前向きだなと感じます。COTTWEILERは、C6、リーボックとコラボレーションを行うことで、いままで以上に小物などアイテム展開数が増え、Liam Hodgesは、老舗の帽子屋「christyhats」とのコラボ。

https://www.instagram.com/p/BO-_x-jB7ca/?taken-by=yoshiko0306&hl=ja


FASHION EASTなどへのノミネートは、かなり時期に寄るらしいけど難易度は高いから、その中でCOTTWEILERのように紆余曲折しながらも生き延びれる、ちゃんと愛されているブランドが生き残れる環境がそこにはあるのかなと思いました。

*liam hodgesは既に服飾学生、メディア、バイヤーなどで会場がギュウギュウな程注目株

とにかく最初にロンドンファッションウィークを訪れた時と変わらず、メンズブランドもショーに来ている人、ブランドを支えるチームのアットホームな雰囲気を強く感じて。だからこそ本当はブランド立ち上げてから日が長いCOTT WEILERもずっと愛されているし、若手の大胆なパフォーマンスにも笑い、自由なMartine Roseには「やっぱり最高」と言い、服飾学生やストリートキッズが押しかけるブランドもあり、総合的な力の強さを感じました。

*余談
DSMでは話題沸騰のvetementsコラボアイテムが。で、まさかのmakintosh路面店もジャック。

あとは、会場で持ってけ泥棒状態のGQ magはスポンサーとあって、本誌の中でもちゃんとnewgen勢から大御所ブランドまで紹介。初見の人でも分かりやすいQ&Aにて紹介してる。日本のおじさん向けだけな手法早く辞めて知的な方向に行けばいいのにと思ったり。


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