GUCCI INTERVIEW IN System magazine

System magazineのISSUE 7でのMarco Bizzari × Alessandro Michele対談。毎度英語を読み直して面倒くさいのと、意外と正直に本音で二人の会話が垣間みえて面白いので、日々の隙間時間で更新していきます。


◆グッチに長年いたそうだけど、実際にMarco Bizzariに会ったのはいつ頃?会ってなにを感じた?

当時グッチはもはや魂のこもっていない存在になり、もちろんブランドが上質であることは知っていたけど、世界でとても影響力のあるブランドの一つだとは思ってなかったです。たとえどんなにバックの売り上げが安定してよかったとしても。Marcoが打ち合わせを設けてくれた時は、グッチを辞めようと思ってました。他のブランドと契約を結んでいたなんてことは言いたくないですが、多かれ少なかれそのような状況でした。そして既にブランドの外側に一歩踏み入れ始めていたので、別に彼に会うことや自分自身をプレゼンテーションすることに特にプレッシャーを感じなかったですね。

◆最初の打ち合わせはどのような感じでしたか?

彼は僕が長いことグッチにいたから話したかったんだと思います。実際社内のプロセスやデザインチームの原動力、Florenceの工場など色々知っていました。ローマの僕の自宅で会って、すぐにMarcoはとても良い人であり、教養・好奇心もあり、オープンマインドだということに気がつきました。ごく自然と、僕たちはブランドや会社、将来のヴィジョン、自分自身の考え、などをコーヒーを飲みながら話始めて、いつの間にか3時間から4時間へ5時間へと話は止まらなかったです。

◆最初の打ち合わせからなにを得ましたか?

Marcoはクリエイティビティを尊敬し、クリエイティブな人も尊敬していることに気がつきました。彼はアパレル会社のパワー(源)は、クリエイティビティにあることをちゃんと把握してました。だから僕たちがファッションについて話している時に、よく彼は謙虚にも「僕は知らないなあ、知らないよ」と言っていたのですが、実際はファッションについてよく知っているし、なにが必要かよく理解していたと思います。

◆そしてグッチがなるべき姿について話しあったわけですね?

うーん、正直にいうと、僕のヴィジョンは美の点において、様々なことを融合する方法について、とても複雑でした。僕自身イタリア人というところから、イタリアにとても影響されすぎていた気がしていたんです。なぜならロンドンに住んでいたこともあって、僕の価値観もとても変化したからです。Marcoは、こういうところに魅力を感じてくれたんだと思います。僕たちはブランドに対して全く同じようなヴィジョンを持っていたけれど、まさか彼が僕をクリエイティブディレクターにするなんて考えてもなかったですね。

◆彼の大胆不敵な決断に対してどう考えてますか?

彼はとても賢いと思ってます。なぜなら、僕は長年グッチのためにただただ働き続けていたMr.Nobodyな人間でしたから。もっとおままごとみたいな気持ちになれたらとタフに感じることもあります。最初のメンズショーのあと、Marcoに僕は「君は本当にクレイジーだ。」と言いました。そして僕のボーイフレンドには「たぶん明日にはグッチは僕を解雇するよ。」と不安な想いを伝えてましたが、結局見てのとおり、僕はなにも失わなかったし、もし君がさらにクリエイティブになりたいとしたら、別にポジション(肩書き)についてなんて考える必要もないと思います。

◆ブランドへの提案は前任者とはかなり異なり、仕事場の環境もそういう点においては、息苦しいかと思いますが。

そうだね。とても違うよ。先ほど言ったように、もう自分の心が崩壊しそうだったから辞める寸前だったんだよね。パッションをもとに始めることは、日常的な仕事にもつながり、自分自身も考え始めることにもなります。「もうこれ以上ファッションで働きたくない、ただただ息苦しくなるだけだ。」

◆グッチに関わらず、一般的な意味である意味業界の症候群を感じることは?

1990年代から最近まで。ファッションはより製品指向になってしまったように思えるんです。その代わり、クリエイティビティは完全に死んでしまいました。モノを売るトリックであるだけだとお客様は気づくようになってしまいました。いつも自分自身をファッションに対して幸せな奴隷だと呼んでいます。でも、ファッションはもはや信用ならないので、もう十分なんです。いつも変わり続けなければいけないという意識は、毎月異なるバック、コートをリリースするセールスの動きを具現化させます。毎月なにか新しいものを買うのがおしゃれなんですか?それはファッションではなく、ただの奴隷です。もし純粋になにか美しいものがあったとしても、そういう人は美しさを投げ捨てて新しいものに移り変わってしまうのです。

◆ジェンダー、シーズン、ヴィンテージと近未来を掛け合わしているかどうかは別として、あなたは流動的かつ脈略があり曖昧な新しいセンスをグッチに吹き込みましたよね。新しいフィロソフィーは基盤としてありますか?

こういうことはあまり計画的に考えてないんですよね。もっとロマンチシズムを表現すること、現代社会においてユニークになること、単純に自由な発想であることです。私の仕事の源は、こういう多様性をまとめあげること、こういう脈略からダイアログを作り上げる度胸にあると思います。私の仕事の仕方は、色々なものを詰め込んで、化学反応を作り上げることです。そういう様々な欠片を拾い上げることは、一見なにも起こさないのですが、新しい切り口でまとめられるとも思うのです。モダンで美しいものに。



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