対話と発達段階
対話とはなにか
交渉:どちらが正しいか勝敗をつける
対話:お互いの意見に聴き入る
創発:新しい意味や文化を生み出す
なぜ対話するのか
第一層においては「モノ:外的な認知」に関する内容、対となる第三層では「コト:内的な認識」に関する内容が扱われる。
その橋渡しとなる第二層においては、「モノ」と「コト」の分離と統合が課題となる。
第一層の「交渉」では意味を戦わせること、第三層の「創発」は新たな意味を生み出すことが目的となる。戦わせるでもなく、生み出すでもなく、意味の「理解」と「交換」が対話の要素となる。
さらに言い方を変えると、第一層は「力」、第三層は「愛」がコミュニケーションを司る。第二層はそれらが拮抗する場となる。
分離の過程では、それが進むにつれて複雑化することにより多様性が生まれる。一方で、複雑さがある一定のレベルに達すると、自己組織化が始まり、統合へ向かう。
対話においては、話すことにより自らのもつ「意味」または「文化」を他者に提供し、聴くことによって異なる「意味(文化)」と接触する。その違いが、新しい意味や文化を生み出す源となる。
対話が必要なケース
ファシリテーションは万能でない。段階や状況に応じて、コミュニケーションの形は自然と変化する。
第一層における意味を増やすためにはインストラクションが効果的であり、第三層の創発では自律学習が中心となる。それぞれの層でファシリテーションを行っても、期待できる結果は得られないだろう。
ファシリテーションが必要とされるのは「維持のための変化」や「進化のための現状把握」といった「今ここ」に関するテーマを扱う状況が中心となる。
コミュニケーションの段階
各段階におけるコミュニケーションのテーマは以下のように考えられる。
人称はネットワークの複雑さをあらわす。
主体化:理解すること(インプット)ができる
客体化:言語化すること(アウトプット)ができる
また発達を考えた場合、対話はある程度の知識が身についた青年期後期からが望ましい。それ以前の段階で対話的に取り組む場合、明確なテーマ設定やインストラクションが必要となるだろう。
第三層では対話することが前提となり、その範囲が人間だけではなく有機体から宇宙あるいはシステムとのつながりが含まれる。徐々に内的対話の方向へと進むが、自立学習によって無限に意味の差を受け取ることとなるため、「答え」からはより遠ざかることとなる。
対話に臨むための意識
意見を合わせるのではなく、意見を場に出すのみ。
・好奇心のままに、率直に発言すること。
・真摯に、ただ聴くこと。冷静に、分析的に。
・積極的に質問すること。相手に話す機会をつくるきっかけに。
・全体に向けて話すこと。個人的な内容は誰も求めていない。
・自らの思考や感想を観察し、「意味の差」に気づくこと。
ファシリテーターに求められるスキル
・話してもらえるような状況を作り、それを聴いてもらえるような状況を作る。
・「交渉」や「創発」のような話し合いとならないように、メンバーの意識レベルをコントロールする。
・意味の橋渡し(解釈)をするための理解力と相応の知識。
・個のためではなく、全体のために働く。
おまけ
それぞれの段階においては下記の視点に主観が位置すると考えられる。
なお、低次意識では不完全な認識(わかったつもり)であり、高次意識における観察者(自分の言葉で表現できる)とは大きく異なる。
グリーン:個
イエロー-ティール:集団(家族・組織)
オレンジ-ターコイズ:社会・世界
アンバー-インディゴ:システム(生態系・宇宙)
レッド-ヴァイオレット:時空(集合的無意識)
マゼンタ-ウルトラヴァイオレット:全次元