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春の訪れは副産物がついてくる

「花粉による気管支喘息とアルコールアレルギーだとだと思います。お薬出しておきますね。」

流行している新型にウイルスの影響で、勤務先では検温が必須になったが、僕は測るたびに連日37.0〜37.8を叩き出した。薬の副作用かとも考えたが、自宅や外出先では微熱なんてものは一切出したことがない。もちろん風邪のような症状はないし、至って健康である。かかりつけの心療内科の主治医はこれを「心因性の発熱」と診断した。今では脇で測る体温計は使わないようにして、非接触の体温計で36.0台を出すようにしている(これも如何なものかと思う)が、主治医は「非接触の体温計よりも脇で測る体温計の方が正確だから君はやっぱり微熱なんだと思う」と言われた。

休日出勤が目立ち始めた11月下旬頃から、何だか夜になると息が苦しくなり始めた。朝や出勤途中も息が苦しい日もあり、若干ほどに気になってはいたが、心療内科で出されている副作用ではなさそうで、特に生活に支障はなかったので放置していた。ここ最近、その息苦しさが顕著になり、おまけにアルコールを摂取すると身体に発疹が出てきて痒みを伴うようになってきた。手指消毒で使うアルコールは特に問題がなかったし、今までだって何度もお酒を呑んでもそんなことはなかったのに、気のせいだと思っていたが、ちょっと見過ごせなくなってきた。

かかりつけの内科に行くと、主治医に冒頭の台詞を言われた。

以前のアレルギー検査ではスギとヒノキのアレルギー反応はバッチリ出ていたものの、一般的な花粉症の症状は見られなかったし、気管支喘息なんて風邪で発症するくらいだった。完全に盲点だった。アルコールはもう飲まない方が良いと言われ、殆ど吸う機会はないが、気管支喘息ともなればタバコは大敵だろう。お酒は好きだったし、仕事から帰ってきてYoutubeを見ながら飲むお酒は最高だったのに、それでも身体が痒くて寝られない夜を過ごすよりかは、まだマシなのかもしれない。何とも、不便な大人の身体になってしまった。

仕事で悩んで落ち込んで、僕の仕事のやり方が間違っているように思え、何もかもに自信を失くしたその日、何となく毎日少しだけやりとりをする人間に、僕の仕事の状況をそれとなく聞いてみた、その相手は僕の不安を抹殺するかのような返信をしてくれて、優しさで溢れた問いかけをしてくれて、それを見た僕は、ほんの僅かに声が出た。それは現実を突きつける刃のような鋭利さがあったけれど、僕を震い立たせることに十分だった。

僕の考えていることは正論だったとしても、それを貫き通すことは、暴力だと思っていた、僕は、間違っていると思っていた。それは僕の美徳と正義の独りよがりかもしれない。それは僕の若さ故の過ちかもしれない。だけど今、僕の突き刺す意見が暴力ではなく、間違っていないということが確かなら、僕はそれを武器にする。諦められない今のうちに、「熱い」「若い」と嘲笑されるうちに、奔走しておく。どうせ変えられない現実に絶望して、いつかこの世界を去るだろうから。それまで、もう少しだけ。

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