みんながどういうこと考えて成長や研究決めてるの教えてほしい を教える前に

ミコ(・∀・)ウリさんのこのつぶやきをきっかけに、多くの人が騒乱イバラシティの成長や研究の考え方を書いています。どの記事もとても面白いので、楽しく読んでいるとともに、私もしばしばリツイートしています。

この流れに乗って、私もひとつ書いてみようかな……と思ったのですが、その前に、むしろどうやって「強いスキル」「弱いスキル」を見分けているのか、強いスキルと弱いスキルは何によって決まるのか、その考え方を書いてみようかなと思いました。

なぜか。成長というのは基本的に強いスキルを取るものであり、研究というのは強いスキルを研究するものだからです。であるからこそ、そこには「弱いスキルを取らないようにする」「弱いスキルを研究しないようにする」という選好が働いているはずです。その選好が働くためには、強いスキルと弱いスキルを見分けなくてはいけません。そして、見分けるためには、強いスキルと弱いスキルを比較する基準がなくてはいけません。

まず、スキルとはなんでしょうか。

話を簡単にするために、ここでは、アクティブスキルに限定して考えます。アクティブスキルとはなにか。アクティブスキルとは……行動です。戦闘中に取る1行動を占有するものがアクティブスキルです。この1行動は、どんなキャラでも同じです。強いキャラも弱いキャラも、1行動に2つのアクティブスキルを使うことはできません。アクティブスキルの特徴は、この排他性です。排他性があるために、アクティブスキルは、常に最も効果的なものを使うことが望まれます。

では、効果的なアクティブスキルとはなんでしょうか? それは、最も効果的にHPに干渉するスキルです。

1000ダメージを出す攻撃Aと500ダメージを出す攻撃Bであれば、どちらのほうが効果的でしょうか。これは、明確に、攻撃Aです。

では、1000ダメージを出す攻撃Aと、2000回復する回復Aとであれば、どちらか。これは、回復Aです。

いま、あえて攻撃と回復を比べました。これは、攻撃と回復は、HPの変化量においては等価だということです。こんな感じで、スキル同士の性能は比べ合うことができます。

AT増スキルやDF増スキルといったものをどう評価するかはまたちょっと話が複雑になってくるので、ここでは割愛します。

さて……イバラシティでは初期スキルが強い、ということが言われ続けています。これはどういうことかというと、まあそのまま、初期スキルの出すダメージ量・回復量を大きく更新するスキルがあまりない(あってもすぐ研究される)ということを意味しています。そして、それにくわえて、初期スキルの出すダメージ量が、HPに対して大きかったんですね……。

で、大事なのは、初期スキルのうちブレイクヒールの非対称性です。ブレイクは1000ダメージくらい出るスキル。ヒールはMHP^0.8×0.5を基準に、HLとDFで+10〜20%くらい回復量が出る、というスキルでした。MHP4000で+20%なら、ヒールの回復量は456です。そして、このふたつのスキルの消費SPは同じです。

つまり、イバラシティでは基礎回復スキルであるヒールの回復量が、基礎スキルであるブレイクに比べてかなり低かったんですね。

そんなの知ってるよ、と多くの人が思うかもしれないんですが、これってけっこう重要なことで、「元気なうちはダメージを出して、HPが減ってきたらヒールで回復しよう」という、スキルの効果の文章を見たところから想像できる自然な行動をとっていると、ブレイクのダメージに比べてはるかに回復量の低いヒールを使うことによって、自然に押し負けてしまうということがしばしば起こるわけです(これを、行動の重みの違いとか、強い行動弱い行動の違い、と言ったりします。戦闘設定とは、いかに強い行動をとり、弱い行動をとらないか、という選択が問われるわけです)。

もちろん、今はMHPが膨大になったことによって、ヒールの回復量とブレイクの威力はかなり近づきました(これはこれで問題なのですが……)。ここで挙げたイメージの問題自体は、今はちょっと遠いものです。

この話が何を意味しているかというと……そのスキルが強いか弱いかは、説明に書かれている事柄ではなく実際に結果を見てみなければわからない。そして、「ものさしになるダメージ量」に対して、そのスキルが出す値が大きいか小さいかを見ることによって、はじめてそのスキルが強いか弱いかがわかる、ということです。

これはすごく不便なことです。わざわざ結果を見に行くのは大変です。ふるいゲームでは、情報サイトというものがあって、スキル威力をけっこう人が比較して記載したりしていました。これが係数2で、これが係数4で、これが係数8で……みたいな一覧がありました。しかしこれは、まとめるのもサイトを管理するのも大きな労力を必要とするので(そもそもりすゲーはスキルの数が多すぎるんです)、いつしか廃れていき……人々は、噂話と限られた知見によってスキルの強い弱いを見極めるようになりました。

いま、スキルの威力について知る方法は、そのスキルが使われた現場を見に行くことと、人から聞くことです。そして、そのスキルが本当に強いか弱いか気になったら、そこにダメージ量のものさしを当ててみることです。これは、すごく楽しいものの、けっこう面倒な作業です(なにせ、スキルの数が多すぎるので)。この面倒さは、ゲームの入口をとても狭くします。これがどうにかならないかな……ということは、考えるのですが、けっこう難しいです。

最後に、いま強いと言われている五月雨の何が強いのかを簡単に書きます。五月雨は、【スキル使用後】に発動し、EP4で、3回殴るスキルです。ダメージは合計で1000〜1200くらい出ます。発動率は25%くらい。これは、つまり、【スキル使用後】にスキルのダメージを+250〜300するスキルと考えることができます。で、これはパッシブスキルなので、EPが同じくらいのスキルと比較することになります……攻撃のダメージを上げるスキルならEP5の攻勢とか、EP4の魔力凝縮とかですね。そして、攻勢や魔力凝縮に、スキル威力をそれだけ上げる性能はありません……スキル一撃1000ダメージで戦うとして、25〜30%上がってることになりますからね(と、簡単に言いましたが、攻勢や魔力凝縮で何%くらいダメージが上がるかというのはけっこう調べるのが難しい事柄です。私も具体的に何%上がるのかは把握していません。ただ、25〜30%上がるということはない、と考えているわけです)。それにくわえて、五月雨は回復スキルからも飛び出すし、攻勢や魔力凝縮のようなデメリットもない。つまり、五月雨はそれさえ持っていればいいというスキルではありませんが、ほかのスキルに比べてかなり強いスキルです。

パッシブスキルはこのように、同じ働きをするスキルとの比較で性能を考えることができます……とはいえ、パッシブスキルは特殊なタイミングのものもあるので、数値量だけで評価することが難しかったりもします。例えば【戦闘離脱前】に攻撃するスキルは、戦闘離脱前に1回だけダメージを発生させるスキルですが、これは【戦闘離脱前】というタイミング自体が大きな意味を持っているので、効果量の重みづけが変わってきます。これは、簡単に言うと、HPを8000から10000に回復させる行動と、-1500から100に回復させる行動では、回復量は前者のほうが上でも、行動としては後者のほうが重要な場合が多いということです。このように、スキルを発動させるタイミングを調整することで行動の重みをコントロールすることが、戦闘設定の要点です。で、この具体的な戦闘設定に落とし込む過程を通して、また、強いスキル、弱いスキルというものの評価が変わってくる……戦闘設定に落とし込みやすいスキル、落とし込みにくいスキルというものが出てくるのですが、それはまたかなり複雑な話になってしまうので、記事を改めて書く……書くかな? 書かないかも知れませんが、とりあえずはここで筆を措こうかと思います。

で、こういうことから、成長や研究を決めていくわけです。長い導入だった。

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