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熊野三山を巡った旅の話

はじめに

 ただ仕事をするだけの平日と怠惰に過ごすだけの休日のループ、新年度をキッカケに再認してしまう自分の行き先への翳り、敬える周囲と不確かな自己評価、変わり続ける世界と自分。ただ漫然と日々を過ごしているだけなのに精神は摩耗していく。打開するには非日常な体験を経験する他ない。
 という訳でGWに旅行へ行ってきた。一人旅である。

計画

 旅行自体は数年前から行きたいなと漠然と思っていたのだけど今まで実行に移してはいなかった。でもこのGWという名の大型連休はチャンスと感じて結果として一人旅を実行した。
 実際に行こう行けるかと諸々を調べ始めたのはGW初日4/29のことである。目的地、天気、交通手段、宿泊施設を検索して検討した。目的地は結構遠くて宿泊数は1泊2日よりも2泊3日の方が余裕があって良さそうと判断した。天気は5/2から数日良い天気で問題なし。ということで5/1から5/3の2泊3日の旅行が決定した。
 交通手段とか宿泊施設というかどこを拠点とするかは結構悩んだ。というのも土地勘が全くないからである。あとコレが楽っている明確なルートが存在しなかった。今回の目的地は熊野三山で周辺には電車の駅があって、那智勝浦や新宮あたりが拠点とするに良さそうな地区だった。その辺りへは当然電車で行くわけだが、そこまでのルートは複数あった。
 ルート1.飛行機:羽田などから南紀白浜空港へ行って電車に乗る
 ルート2.新幹線1:新大阪まで行って特別急行くろしおに乗る
 ルート3.新幹線2:名古屋まで行って特別急行南紀に乗る
はじめは新大阪あたりまで行けば行けるのかなとルート2を検討していた。でもやたら時間がかかるな他のルートないのと探して飛行機もあるんだとルート1に辿り着いた。でも飛行機は嫌だなと更にルートを探してルート3を発見した。これも時間がかなりかかる。でも東京から向かうならこれが一番素直な道筋だなと思って、実際にはルート3を採用した。
 特別特急南紀は那智勝浦駅まで行くけど今回の拠点は新宮駅にした。理由はよく覚えていない。ホテルの関係だったのかもしれないし、できるだけ移動時間を無くしたかったのかもしれない。でもこれは正しい選択だったと言える。熊野三山を全てめぐる上で最適な拠点だった。
 ホテルは直前の予約のせいかあまり候補がなく、適当なビジネスホテルを予約した。かなり安いところ。一人だし食事は周辺のお店で食べればいいと思ったしホテルでは寝るだけなのでこれでいいかと思っていた。もっと情報検索力があればもっと良いホテルが見つかったのかもしれないけど、まあとりあえず不満はなかった。値段相応のホテルだった。
 因みに移動時間は東京→名古屋で1時間30分くらいで名古屋→新宮で3時間30分くらいと合計5~6時間もかかる。一日の半分は移動。ずっと乗車で積読消化の時間となった。

熊野古道 大門坂

 熊野三山をめぐる旅。今回は結局はそういう旅であったが、本来の目的というか当初の目的は熊野古道の大門坂だった。あの景色、世界観を五感で感じるのが一番の目的だった。
 最優先目的地点ということで本格的に観光開始となった二日目の午前から真っ先に向かった。拠点の新宮駅からきのくに線で那智駅へ、そこから熊野古道が熊野那智大社まで続いているので歩いてみた。目的の大門坂および那智大社まで時間にして一時間超。

那智駅から熊野那智大社への道中で度々見かける熊野古道看板

 那智駅から大門坂までの熊野古道は和歌山県道46号沿いにあるというか県道と所々融合している。なのでコンクリートで舗装された道路と一部の山道で構成されていた。

熊野古道看板とgoogle mapを頼りに辿り着いた山道

 山道の部分は尼将軍参道碑へ至る道だった。中には道なき道なところもあって正直とてもワクワクした。誰もいない山道をひとりでただ歩くというのは何かが起こるかもしれないというワクワク感に包まれてだいぶ楽しい。というかこの道中はコンクリートの道を含めて歩いている観光客は誰一人いなかった。普通はバスで大門坂まで直行するようだ。

一時間の行歩の末に辿り着いた大門坂

 一時間ほどいい天気の中でノンストップに歩き続けると観光客の方々と合流した。そう大門坂に到着したのである。大門坂近くにバス停があり、多くの観光客がここから熊野古道散策へ突入していた。

大門坂の入口とも言える鳥居と赤い橋

 俗世と神域の境と言える鳥居と赤い橋を通るとほどなくして緩やかな石の階段と杉木立が我々を迎えてくれる。杉木立に囲まれた環境は正に俗世からはかけ離れていて歩みを進めるほどに別世界へ進んでいくような気分になってくる。他の観光客がいなかったらその感覚に真に陥っていただろう。

大門坂の道中
[シンデレラガール]高垣楓

 大門坂の道中である杉木立の中の石階段はモバマスに登場するSR[シンデレラガール]高垣楓の中にも登場して、神秘的とも言える大門坂の雰囲気と高垣楓は非常に溶け合っている。ここは高垣楓にとって馴染み深い地元のようであり坂道のことを思い出すこともあったそうな。神秘的、新緑といったワードが高垣楓に似合うのは和歌山の自然が彼女の地元だからなのかもしれない。また、近くには温泉もあって温泉好きのルーツはここなのかと想像したり、熊野三山の伝説で八咫烏がよく上がっていてシンデレラウィングを連想したりしていた。高垣楓のパーソナリティのあらゆることが和歌山に繋がっているように思えて、それだけで旅をした甲斐があったと確信できた。

熊野那智大社

熊野那智大社

 大門坂を抜けた後も結構な階段があって足腰に追撃を喰らいながら更に進んでいくと大社に到着。朱色の鳥居が迎えてくれた。
 青空と自然に囲まれた朱色の大社はとてもいい景色でした。爽やかな空気は都会の喧騒とは全くかけ離れていて清々しい気分を味わえた。ここまで一時間以上かけて歩いたお陰もあったと思う。

熊野那智大社にいた八咫烏

 大社の中には八咫烏さんがいました。道中も那智黒石と呼ばれる真っ黒な石で作られた八咫烏が売られていたり、八咫烏との深い関係性が見受けられた。
 帰りは大門坂をまた降りてみて、その後バスで那智駅へ戻った。

熊野本宮大社

 二日目の午前に熊野那智大社を訪れた私はその日の午後に熊野本宮大社へ向かった。那智駅からバスを乗り継いで数時間すると到着する。こっちはどう考えても徒歩で行ける距離にはなかった。完全に山々に囲まれた奥地にあるイメージで、それは正に熊野神社の総本山に相応しい立地だなと思った。

熊野本宮大社

 熊野本宮大社は神社でよく見られる朱色は全くなく威厳のある樹木の色彩で構えている。大社の大きさや複数ある拝殿から貫禄を感じ、静謐な雰囲気が漂っていた。
 大社のすぐ傍には大きな道路があり建物も連なっているのだが少し道路を外れると熊野川や森といった大自然が待ち構えており、かつて熊野本宮大社が鎮座していた大斎原も大社から少し離れた自然の中に佇んでいる。大斎原にはとても大きな鳥居があり圧倒されてしまう。

大斎原の鳥居

熊野速玉大社

 熊野那智大社および熊野本宮大社を訪れたのが二日目。そして三日目最終日は拠点である新宮駅周辺から熊野速玉大社へ向かった。徒歩でおよそ20分で着く人々の住まう街中にある大社である。

熊野速玉大社

 街中に大社があるというのに第一の鳥居を通ると周囲の環境が変わったような気がした。他の二つの大社と比べてもひっそりとした佇まいをしていて穏やかな時間が過ごせる場所であった。

神倉神社

 二日目に熊野本宮神社から拠点付近に戻ってきたときに寄った神社。熊野三山ではないものの熊野三山に関する神社である。
 学校などもある住宅街の傍にあるこの神社、第一の鳥居をくぐると近くに住宅街があるとは思えない自然が迎えてくれる。そして非常にきつい石の階段をひたすら登ることとなる。午前中は熊野那智大社まで一時間歩いて午後は熊野本宮大社付近を練り歩いての階段だったので本当に息切れと足の疲労で中々に時間がかかった。
 石段を抜けると神倉神社と言えばコレと言える巨大な岩が目に入る。岩垣の上に建てられた拝殿とその隣に鎮座している巨大な岩のインパクトがすごい。体を休めながらぼんやり眺めているとどこからか部活動に勤しむ声が聞こえた。不思議な感覚だった。

神倉神社

他に行ったところ

 他にもいろいろ巡ったりしたのでその際の写真を列挙。

新宮城跡

 新宮城跡は一日目に新宮に到着したときに時間があったので行ってみた場所。新宮駅から徒歩10分くらい。熊野速玉大社へ向かう道の途中にある。城跡であり石垣が残っているくらいで自然溢れる公園となっている。

阿須賀神社

 阿須賀神社は三日目の最終日に熊野速玉神社を訪れた後に向かった神社。熊野速玉神社から徒歩30分くらいのところにある。この神社には歴史民俗資料館がありこの地の歴史的なあれやこれやを眺めることもできる。

  新宮駅は海沿いにあるので海へ行くこともできる。阿須賀神社に寄った後帰るまでに時間が空いていたので適当に歩いて行ってみた。

さいごに

 4月末に突発的に計画して5/1から5/3に行ってきた旅の記録を雑多にまとめた。
 この旅は新幹線とホテルと大門坂へ行くという最低限の目標だけ決めて行った旅行だったけど、結果として熊野三山を巡ることができたし満足のいく旅行だったと思う。
 スマホの充電器を忘れるポンコツを発揮したけど何とかなったわ。


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