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SUNNY CAR WASH解散にあたって

SUNNY CAR WASHが解散した。
私の青春の一つだったと思う。
高校一年生の時の未確認フェスティバルで出会い、ずっと私の高校生活の側にいた。
何回もライブに行ったし、拳を上げた。
そんなSUNNY CAR WASHが遂に解散してしまった。

私が大学生になり、コロナ禍も重なり、この3年、SUNNY CAR WASHのライブには全く行けていなかった。ドラムの畝狹怜汰、通称うねくんが脱退してしまったこともあり、私は正直なところ「このままなんとなく私の中で凍結されていくのかな」と感じていた。

私は好きな音楽、好きなバンドを凍結してしまう悪癖がある。まるでシーラカンスのように、ずっと変わらずにいてほしいと思ってしまうと、自身の中で琥珀に閉じ込めるみたいにその音楽を止めてしまう。自分の一番好きな瞬間で止めてしまうのだ。世論として、変化を受け入れろ。変わっていくことは進化なのだ。変化を愛せなければファンではない。こう考える人が多いのであろう。自分でもこれが良い考え方だとは思っていないが、正直放っておいてほしい。私がどう音楽を楽しもうと私の勝手だ。

そんな最中、2021年3月に活動再開のライブのお知らせがあった。下北沢のライブハウスだったが、私はウキウキでチケット争奪戦に身を投げた。が、結果としてチケットを手に入れることはできなかった。そもそも東京都の要請により、下北沢でライブが開催されることもなかったのだ。新型コロナウイルスには幾度となく大切なものを奪われてきたが、これもそのうちの一つだ。やるせないな。

その後も何度か都内でライブは開催されたが、暇な大学生の癖して予定が合わず、うねくんが脱退して、うねくんではない人がドラムを叩いているSUNNY CAR WASHを直接見る機会は最後まで与えられなかった。ある意味幸せかも。
最後に生でSUNNY CAR WASHの演奏を浴びたのは、2019年に愛すべき千葉LOOKで行われた、愛すべき錯乱前戦との企画だった。

というわけで、2021年12月28日に開催された、SUNNY CAR WASHのはじめての解散ライブは、私のSUNNY CAR WASHの3年ぶりのライブという非常に大きなイベントと等号で結ばれることとなったのだ。

実感を持たないまま、会場に着く。
らしくない可愛らしい装飾にビックリする。
ステージが高すぎてビックリする。
SOL二代目校長の遠山が出てくる。
彼は「華麗なる圧倒」という言葉でこれから始まるはじめてのラストライブを表現した。もう泣きそう。

メンバーが出てきてライブが始まる。
そこではじめてらしくない装飾の意味を悟る。
今回のライブはSUNNY CAR WASHのレクイエムなんだ。SUNNY CAR WASHという多くの人の青春になったバンドの終わりが小さくて真っ暗なライブハウスであってはいけないんだ。葬儀の会場でお花を飾るように、故人に化粧をするように、彼らは「終わり」を美しく見せるためにこの装飾をしたんだ。

事実は分からないし、全て私の想像でしかない。しかし一度そう思ってしまうとそうとしか思えなくなり、前半はずっとはらはらと涙が流れていた。

大好きなムーンスキップ、大好きな放課後、彼らの持つ全ての楽曲を演奏したのではないだろうか。
放課後のタイトルが分からず、「お父さん殺しちゃう歌!」と呼んでいたことも懐かしい。

本編最後はティーンエイジブルースだった。
ここで私の脳裏にフラッシュバックする、ティーンエイジブルースのMV。あのMVのラストシーンは、アダムとハネダゴウ、うねくんがそれぞれの楽器をMV中に出てくる女の子に預け、去ってしまうというもの。公開当初は、あのラストシーンにどういう意味があるのだろうかと散々友人と話し合ったものだが、今回この曲をあのタイミングで聴いて、スッと納得することができた。

まだ上手く言語化できないけれど、このティーンエイジブルースは、「終わりの歌」だったんだろうな。一日の終わり、友情の終わり、ロストバゲージ、そして10代の終わり、バンドの終わり。最後まで最高だよSUNNY CAR WASH。

未確認フェスティバルもここ2年開催されず、新木場studio coastも無くなるし、TSUTAYA O-WESTもSpotifyに名前が変わるし、仲良しだった錯乱前戦も活動休止になっちゃうし、遠山は校長じゃなくなったし、SUNNY CAR WASHは解散しちゃうし。いろんな物事がどんどん移り変わっていく様子を見ていると諸行無常を感じる。バンドは生き物とはよく言ったもので、数年、下手すれば半年見ないだけですぐ変わってしまう。

忖度されていないアンコール、絶叫するアダム、微動だにせず黙々とベースを弾くハネダゴウ、動きが大きく力強いうねくんのベース。暗い中、それぞれの楽しみ方をして拳を挙げる客、狭いステージ、凛と冷えた、アツい空気、緩いスモークの匂いが好きだった。

自分の好きなSUNNY CAR WASHは当時のままそこにいた訳ではなかったけれど、アダムの声は少し変わってしまったけれど、それでもSUNNY CAR WASHのライブに行けて良かった。
ラストライブを開催してくれてありがとう。
なあなあなままにしないできちんと終わらせてくれてありがとう。
今まで私の青春に居てくれてありがとう。
大好きでした、ありがとう。


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