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『トランス・アクティヴィスト since 1997(オートエスノグラフィックな何か 3)』

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1997年から、パートナーと共にトランス・アクティビストしてたなんて話、したことなかった。私たちは貧困系のアクティビスト・スカラーだった。2000年くらいには東京ウーマンズ・ウィークエンドのオルガナイザーしてトランスインクルーシブやってた。ウーマンズ・ウィークエンドは、レズビアンオンリーのダイク・ウィークエンドから分離独立したイベント。その当時のレズビアン&ゲイパレードでは、日がな1日プラス対応テントに座ってた。よくわかってなかったけど、やばいやつが来た時に、直感的な咄嗟の判断で、体をはってでも全力阻止するに違いない、というメンバーが集められてたって、今は思う。でも、日がな一日ボーッとして、ゲイらしいお兄さんと仲良くなって、おしゃべりしたりしていた。

私はトランス・セクシュアル・メンのパートナーだったので、レズビアンなのは禁止だった。同様に、トランス・セクシュアル・ウーマンも、かつてはレズビアンなのは禁止だった。ツーシートしかない車に乗せられて一緒にドライブしながら、二人でレズビアン・アイデンティティについて語り合ったりして、あべこべだった。

テレビの取材が来て、私はキッチンで料理しているところを撮らせてと言われて拒絶し、せめてりんご剥いてと言われても、頑なに拒絶した。一度も料理したことのないキッチンに向かってるところを、その彼女は撮らせてて、それを後から知って、ほんとうにごめんと謝った。もちろん求めていたのはSRSの早期実現。けれど、それに加えて、大島要件からの手術要件の削除。

シンポジウムで要件の解説をする大島さんに、親子室から意見して「法律家になってから言え」と言われて、その行為を一生許さないと思った。本当に今でも許してない。永遠に許しません。

もちろん最初にしたのは議員参り。福島瑞穂に陳情に行った。大学院に進学した私は、彼女のところか保坂展人のところに毎週通えと言われた。当時のアクティヴィスト・スカラーは、みんな、どっちかに通って、手伝いながら、なんとか自分たちの運動のためにコマを進めようとしていたと思う。後から他に選挙に出る人がいても、私は生活のために働いてたし、早くから講義もしてたし、アホみたいに論文書いてたし、警察の強姦魔捜査に協力させられて振り切れちゃってたし、あんまり手伝えなくて、ほんとに申し訳なかった。

修論のためにインタビュー調査を始めても、インタビュイーに、なんでトランスメンのパートナーになったのか聞かれて「私にとっては男だから」と、答えてたけど、微妙。。。ジェンダー・ノンコンフィーミングで、メンズのチノパンを腰で履いてるが、髪も目もくりくりで、可愛かったからである。私はエスニックなワンピースやマイクロミニは着れたけど、パンツはメンズしか履けなくて、よく同じメンズの綿パンを履いてた。他にも、お揃いのサングラスとか、お揃いの黒の吉田カバンとか、お揃いのメンズの香水とか使ってた。肝の座らない彼に「男だって言いながらビビるんじゃねーよ」という態度をとってて、あべこべだった。でも、ほとんど毎日私がご飯を作って、遅くまで図書館に居ると帰ってこいと言われるし、耐えられなくなって、別れた。

この頃には、レズビアンのスペースにもあらかた行ってたし、みんな駆け出しの学生だったLGBT関係の研究者と集って、イベントに出て、動くゲイとレズビアンの会の事務所にも行き、フライングステージも欠かさず見に行き、なんだけど、私は自分のことは全く話さないので、他の人にどういう風に思われてたかは全くわからないし、私にはそんなことは、別にどうでもよかった。

日本のゲイスタディーズが始まった時は、大学生だった。学会のシンポジウムの後、飲み会に参加して、「当事者」か聞かれた。私が「パートナーがトランスだ」と言うと、「当事者でないならトランスジェンダー研究をする資格はない」と言われた。それからずっと、ほとんどついこの間まで、何をやっても「当事者の気持ちがわからない」と言われ続けた。

私の出世は早かった。一見とんとん拍子のように見えて、しかし、本当は凄まじい目に合続けていたけれど、言えなかった。それでも職を得ていることで「権力者だから自分たちの気持ちがわからない」と言われ続けた。そうは言わなかった人も「あいつは金持ちだ」と私のもとから去った。私が貧困からのしあがって、生きようと必死で散財してほとんど貯金がなくても、見た目からはわからない。

私がクイアスタディーズと距離を取っているのも、一つの理由だろうけれど、もちろん私には、そうする確固とした理由がある。そんな話を次は書きたいと思う。

タイトルは『(仮)江原由美子vsジュディス・バトラー』



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