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麻のマルチクロス、シルクのワンピース【エッセイ】

昔、というのはたぶん、いつでも簡単に新幹線や飛行機でどこにでもいけるようになる前の時代。そのお話の彼は、恋人を置いて田舎から東京へと旅立ちました。彼女の想いも虚しく、彼は都会に染まり、別れを告げるのです。彼女は最後に涙を拭くため、木綿のハンカチーフをねだりましたとさ。

というのがかの名曲「木綿のハンカチーフ」です。1993年、太田裕美さんが歌ったこの曲は、今でも大変人気です。現在もたくさんのアーティストがカバーしておられます。可愛らしいメロディと、よくある男女のすれ違い、切なくも潔い歌詞は誰しもが魅了されま…せんでした。

すみません、素敵な曲に対して偉そうに…。本当すみません。この私、平成に生まれ、令和を生きる25歳女。5年近く共に過ごしてきた彼と遠距離になります。彼が旅立つのは東は東でも埼玉で、私が残るのも京都です。すっぴんの自分も化粧をした自分も好きだし、草に寝転ぶ彼は見たことありません。彼は少々インドアなので、たまには都会の絵の具も触ってみるのもいいかと思います。どちらかというと、自分磨きをできる時間が増えるので、私が少々肌艶良くなっても浮気を疑わないで欲しいです。

何より、私は会いに行きます。待ってたって帰ってくるような人ではありませんし、私はたくさん遊びに行きたいので。木綿のハンカチーフの彼女は、(そんなに昔でもなかったけども)田舎ですから、東京なんてそう簡単に行ける場所ではなかったのでしょう。
でも私は違います。京都から新幹線でピャッと2時間半。夜まで働いて、夜行バスに乗れば寝て起きたら東京です。ごはんの作り置きを真空パック冷凍して持っていくのもアリかと考えています。そんなマメなことできるかは怪しいですが。

体力とフットワークの軽さ、そして愛なら自信があります。麻ぐらい頑丈で広々なマインドです。涙拭くハンカチなんぞ要らん。たまにしか会えないのなら、その分オシャレして行ってやろうじゃないか。シルクのワンピースとかで(いやシルクは高いな)。

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