「ドライブ・マイ・カー」を説明したくない。※ネタバレあります

冬の乾燥のせいか、毎日少しの刺激で鼻血が出てしまう今日この頃。無職期間が延びたので柿ピーとカカオ78%チョコレートをつまみながら心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくる。大学生以上に本当に何もしていない怠惰怠惰の生活に、何とかハリ艶をもたせようと、3時間の映画を観に行きました。鼻血対策でタオル持って行ったよね。

タイトルにある通り、この映画を説明すること、言葉にするのは何だかとっても嫌なので、私が特に感じたことだけをあくまで記録としてここに書き留めておく。「ドライブ・マイ・カー」って、きっとそういう映画。みんな自分で観て感じ取ってほしい。

原作が村上春樹と聞いていたので、彼の文章を美味しく飲み込めるほどの文学精神を持ち合わせていない私は3時間というのもあって少々身構えていた。でも実際観てみたら、なんて心地の良い時間だったんだろう。画が良い。役者がいい。音楽が良い。最高の3拍子。映画にしてくれてありがとう。それからどうして人(日本人だけ?)はこんなにも「失って初めて向き合って」ばかりなんだろう。いい加減みんな相手が死ぬ前に言いたいこと言っといてよ。別れる前に大事にしといてよ。もしかしてそれって思ってるより難しかったりするんかな。

そんなふうに思う私でもこの映画に惚れたのは、向き合い方とか、なんかムカつくアイツが実は結構大事なこと言っててさらにムカついたりとか、そういう「上手く言葉にできないですけど、『細かすぎて伝わらない』を大事に」しちゃう、せざるを得ない気持ち、わかるなあ…とか、とにかく物語の描き方がすごく素敵だったから。言葉と言葉の隙間にある何かが触れそうで触れない感じが、空気みたいで綺麗すぎない。脚本や演出のあの感じもめちゃくちゃ共感した。いやあんなすごい演出家や脚本家に自分がなれるとかそうじゃないけど…。映画作ったり、演劇してた時のことを思い出したりした。夫婦のベッドシーンの2人のすれ違いなんて、そりゃ二人ともそんな顔になるわ(って2回目観た時に思ってうううううってなった)(なんやかんや目撃した後わざと鍵開けてったやろ)(その体位でするからヤツメウナギの話とかされるんやん)(いやでも高槻君を選ぶ気持ちは全くわからん)(旦那以外のイケメンやったら誰でもよかったんかな)。

何より私が胸を打たれたのは、最後主人公とドライバーの2人が事実をありのまま受け止めること。特に、渡利。どの時の渡利もいいけど、この時の渡利が今までの渡利のあの感じからのこの感じで、とてつもない。

そして最後の最後ですが、観た方、みなさんあれはどう思いましたでしょうか。私は「おお~…。」と思いました。渡利の口角が少しだけ上がっていたのが嬉しかったです。

まあでも、失う前からできる範囲で相手や自分と向き合って生きていこうな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?