調剤薬局事務、ただ嘆く。

ただの嘆きなので読んでも憂鬱になるだけです。
最初に謝っておきます、すみません。

でもこの気持ち、吐き出さずにはいられない。

今まで自分の職業をくっきりはっきりネット上で述べた事は無いのですが、私の職業は調剤薬局の医療事務です。
職歴としては四捨五入すると20年弱ですが、医療事務という仕事は一般的に医療業界カースト制度で言いますと最下層の分類なので、万年平社員です。

この職業、大昔は専門性を求められてそれなりに稼げる職業でしたが、某大手の資格商法の餌食になったあたりから風向きがおかしくなり、今では高給の医師や薬剤師の黒子のごとく、影で安月給で働かせる"コストカット要員"としての側面が高くなってきました。

調剤薬局の医療事務に関しては、もう薬剤師の黒子どころか代替員となってる所も。どうなってんだ薬事法。

なのでこの業界にこれから入ろうと思っている方を見かけたら、背後にこっそり回りつつ小声で「ヤメトケ」と呟きたくなるお年頃です。

そして今回のコロナウイルス。
もちろん調剤薬局は規制対象外なので、バリバリ営業中!
毎日コロナに怯えながら電車に乗って出勤し仕事してます。
他業種で休業を強いられている職種の方から見れば、ある意味羨ましい状況なのかもしれません。店は営業できてますから。

しかし、コロナ不況の波はひたひたと、確実に調剤薬局にも訪れています。

今まで色々あったけど、今回は全然違う。
こいつはヤバいぞ。

私は今までこの業界にいながら、SARSも新型インフルエンザもリーマンショックも東日本大震災も経験してきました。

SARSや新型インフルエンザの時にはやはり今と同じようにマスクと消毒液の長期欠品が発生しました。SARSの時は総合病院の医療事務だったんですが、医事課10人いる部署に配られたN95マスクはたったの2枚。どうしろと。

なのに受付窓口には突然
「海外旅行から戻ってきたら発熱して、SARSかもしれないんですけどー」
という患者さんが現れる。
電話してから病院行けってあれだけ保健所でもテレビでも言ってるでしょうがっ💢
と怒り心頭で怒りたくても怒れない。

でも期間としては限定的。ほどなくしてマスクや消毒液の在庫は復活しましたし、逆に大量にマスクや消毒液の在庫を抱えすぎて困り果てた業者の話も見聞きしました。

そして調剤薬局業界は不況に強い。
リーマンショックでも患者さんが顕著に減ることはありませんでした。
人間不況で経済状況が苦しくても、健康や命に関わる医薬品にかけるお金はなかなか減らせないものですし…。

東日本大震災の時は、
『震災の影響で薬が無くなる』
というデマが流れたせいで関東近郊の調剤薬局は大盛況になり、
(確かに震災の影響で製薬工場が被災して全く製造出来なくなった薬はありましたが、それはごくわずかの品目で、大体の薬は発注すれば多少遅くなってもきちんと入荷する状況でした。デマ怖いな…そりゃデマ流して儲けようとする奴いるよな…)
電車が止まったので、遠方に住んでいる従業員は会社が借り上げたウィークリーマンションに泊まりながらの勤務。混みすぎて壮絶な店内。営業時間中にぶち当たる計画停電でパソコンが使えないので紙類に全て手書き。
当時所属していた調剤薬局は2011年3月に創業以来最高額の売り上げを叩き出したのですが、それも社員にかなりの負担を強いた結果です。素直に喜べませんでした。

というわけで、あらゆる天変地異に強かった調剤薬局業界。
しかし今回は違う。

近年厚労省はコンビニの数より多い調剤薬局をなんとか減らしたくて、度重なる点数改正で薬局の利益をどんどん減らしていく方向にシフトしています。
よく「高い薬売ってんだから相当儲かってるんだろ?」と直接イヤミのように言ってくる患者さんがいますが、もうそんな時代は一昔前に終わってます。
高い薬は納入価も高い。利益などなかなか出ないのです。

じゃあ調剤薬局は何処で利益を出しているのか。
それは処方箋1枚を受け付ける度に貰える調剤基本料(←これすらなんだかんだ制限かけて減らされ続けてる…)。
つまり薬局で1日何枚処方箋の受付ができるか。これが売り上げを大きく左右します。

現在、コロナの影響で患者さんが通院を控えたり、通院頻度が1ヶ月に一度だったのを3ヶ月に一度に変え、処方日数を長期にしてもらったりしています。
感染リスクを考えたらもちろんその方がいいに決まってます。
大賛成です。stay home。

しかしそれで、調剤薬局の売り上げは大きく減ることになりました。
処方箋受付枚数が激減したからです。
大手の調剤薬局チェーンならまだ資金力があって持ちこたえられるかもしれませんが、中小の薬局はこれが大きなダメージに。
このままだと売り上げの激減に耐えられず潰れる調剤薬局も出てくるでしょう。下手すると末端コストカット要員である私たち医療事務の立場だって危うくなる可能性も…。

毎日コロナの恐怖に怯えながら勤務し、派遣は切られ、処方箋枚数が減ってるんだから少ない人数でも大丈夫だろうと従業員を他店舗移動で減らされ、カツカツの人員でなんとか店舗をまわす日々。

そして調剤薬局は、診断のつかないコロナ感染疑いの患者さんと直接やりとりする可能性があるのに、政府からの衛生材料の配布も一番最後の後回し。
自分達で卸業者にかけあって、なんとかマスクや消毒液を準備するしかありません。
患者さんから「マスクは無いのか、消毒液は無いのか」と聞かれますが、用意することができません。従業員を守るため、その分を確保するので精一杯なのです。

そして追い討ちをかけるように、弊社は今年コロナの影響で売り上げ激減のため、全従業員昇給ゼロとなりました。
…もう1ミリもモチベーションが上がらない。

今収入ゼロで困窮されている方に比べたらまだマシなのだ。
働いてお金もらえてるんだから…。
と自分に言い聞かせてみても。

感染リスクに怯えながら、安い給料で働かされ、患者からのクレームで精神的に疲弊し、そんな状況で会社から更に給料減らされるかもしれない、もしかしたら会社無くなるかもな…という漠然とした不安。

ただもうひたすら疲れました。

それでも働かなきゃならんのです。
全ては生活のため。それだけ。
これが今の末端調剤薬局事務員の現状です。

蛇足ですが今の楽しみは
「政府から10万円貰ったら何に使うか」
と考えてる時。
先行き不安だけど、経済回すために貯金せずに使おうと思っています。
冗談抜きでいつ死ぬかわからん世の中になってきたし。

真夜中に推しのBlu-rayBOX予約サイトをポチって、ちょっとストレス解消しました。

皆様、小さい幸せを少しずつ見つけながら、
なんとかこの状況を乗りきって生きましょう。

私らもう充分頑張ってる。
今は家の中で、嵐が過ぎ去るのを待つだけだ。