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SF的小噺「四話 オリュンポス」

 地中海の海上都市国家「オリュンポス」は遺伝子操作とサイボーグ技術で不死となった12人の神の如きサイボーグが統治する国だ。

 彼らはBMIを介して統治AIと接続され、互いに意識を共有していると言われる。

 人が生きられないような環境で活動し、たとえ肉体が失われてもAIに同期された情報から意識も含めて復活することができるとされる。彼らは人間の意識の秘密を知ったのかもしれない。


 今回の会議、私を呼んだのは「太陽の国」だ。12人の超人相手に、トランスレーターが何をできるかわからないが、私もまた彼らの同類だ。少しでも、彼らに近い人間を関与させようというマシンの考えか?

 会議を始めてわかったが、私には彼らの感情や意志のようなものを感じることができる。互いに戦争から生まれた強化人間。どこか共通している部分があるのかもしれない。

 彼らは準惑星「冥王星」に興味を持っており、拠点を作り管理している。ここだけの話、会議は冥王星前線基地からのレポートについてのものだった。太陽系外からなにかが近づいてきているいてきているようなのだ。

 彼らの使う言葉や概念は高度に抽象的で(圧縮されすぎていて)ほとんどのことは理解できなかった。私は、トランスレーターの使う感情・意志をコード化したものをタイムリーに「太陽の国」の外交AIに伝えた。

つづく

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