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SFプロトタイピング

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SFプロトタイピングの提言に沿って、ストーリーを作ってみます。
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#SF的小噺

SF的小噺「六話 B.G.の罪」

 B.G.は、工業国家「サイロン」の前身となる通信デバイスの宇宙工場に多額の出資を行った。  その後、地球上の環境活動家達を組織して、世界規模の環境破壊防止キャンペーンを行った。デバイス生産に伴う廃棄物が地球を人の住めない世界にするということを主張させ、世界中のデバイス工場を操業停止に追い込んだ。自分の投資した工場の製品での寡占化を狙ったのだ。  それだけなら良かったのだが、活動に反対を唱える人たちを迫害しテロ行為に及んだ。そして、それが国家間の紛争に発展するまでになって

SF的小噺「三話 太陽の国」

今日はアフリカのサハラ砂漠に建国された「太陽の国」と地中海の海上都市国家「オリュンポス」との会議だ。 「太陽の国」は「サイロン」と同じく機械の国だ。新エネルギー開発用AIが独立を宣言し、建国された。彼らは砂漠の地下深くに、核融合炉を含むありとあらゆるあるエネルギー発生装置を構築し運用している。いまや地球上の人類の使うエネルギーの多くがここから供給されている。 また、彼らは任意の空間をプラズマ化しそれを移動させる技術を持っている。これは、前世紀にアメリカが進めていたUAP研

SF的小噺「一話 トランスレーター」

 私の職業は「トランスレーター」。トランスレーターである私の仕事は、遺伝子操作とサイボーグ技術により拡張・強化されたミラーニューロンを使って、相手の感情・意思を読み取り、AIに対してより適切な翻訳内容をアドバイスをすることである。  前世紀、通訳という仕事があったという。二つまたはそれ以上の言語をマスターし、外国人同士のコミュニケーションをつなぐ大切な仕事だったと聞いている。今では通訳の仕事はリアルタイム翻訳できるAIに置き換えられた。まるで、目の間にいる北アメリカ帝国人が