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SFプロトタイピング

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SFプロトタイピングの提言に沿って、ストーリーを作ってみます。
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#SFプロトタイピング

SFプロトタイピング、バランスのとれた人選と分担が肝になるか?

SFプロトタイピングというアイディアの要点の一つは、発想したものを実際のビジネスに繋げていくところであると考えている。 しかし、同じ人間・同じメンバーが、SF的思考を経営やマーケティングのフレームワークに乗っけていこうとして果たしてうまくいくだろうか? 未来を創造する能力とビジネスベースに乗っけていく才能は別物のような気がする。両立していた人が一体どれだけ存在したのだろうか? これはリーダーとマネジャーが異なる才能が求められることに似る。 目的・目標を創造するのかリー

SF的小噺「六話 B.G.の罪」

 B.G.は、工業国家「サイロン」の前身となる通信デバイスの宇宙工場に多額の出資を行った。  その後、地球上の環境活動家達を組織して、世界規模の環境破壊防止キャンペーンを行った。デバイス生産に伴う廃棄物が地球を人の住めない世界にするということを主張させ、世界中のデバイス工場を操業停止に追い込んだ。自分の投資した工場の製品での寡占化を狙ったのだ。  それだけなら良かったのだが、活動に反対を唱える人たちを迫害しテロ行為に及んだ。そして、それが国家間の紛争に発展するまでになって

SF的小噺「五話 B.G.」

 今日は長期休暇一日目。旧アメリカ合衆国の保護エリアに来た。「除染」が終わり立ち入りできるようになったからだ。  シアトル。旧アメリカ合衆国の都市である。ここには、大戦前の事件を展示した博物館がある。人間が再び過ちを起こさないための戒めのためだ。  博物館奥の一角に「B.G.」と書かれた看板と、一人の人間、いや1台の旧式サイボーグが座っている。腰から上だけのサイボーグだ。  B.G.は大戦前から数百年を生きる元・人間だ。大衆向けのソフトウエアで巨万の富を築いた後も様々に

SF的小噺「四話 オリュンポス」

 地中海の海上都市国家「オリュンポス」は遺伝子操作とサイボーグ技術で不死となった12人の神の如きサイボーグが統治する国だ。  彼らはBMIを介して統治AIと接続され、互いに意識を共有していると言われる。  人が生きられないような環境で活動し、たとえ肉体が失われてもAIに同期された情報から意識も含めて復活することができるとされる。彼らは人間の意識の秘密を知ったのかもしれない。  今回の会議、私を呼んだのは「太陽の国」だ。12人の超人相手に、トランスレーターが何をできるかわ