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ストルガツキー著「ストーカー」の世界

ストルガツキー著「ストーカー」の個人的感想、また本作に関する映画などのよもやま話など、まとめました。あらすじから下の部分はネタバレを含んでいますのでご注意ください。

・あらすじ

地球に来訪し地球人と接触することなく去っていった異星の超文明が地球に残したのは何が起こるかだれにも予測できない謎の地帯<ゾーン>だった。ゾーンの謎を探るべく、国際地球外文化研究所が設立され、その管理と研究が始められた。

だが警戒厳重なゾーンに不法侵入し、異星文明が残していった奇妙な遺物を命がけで持ちだす者たち、ストーカーが現われた。そのストーカーの一人、レドリック・シュハルトが案内するゾーンの実体とは。異星の超文明が来訪したその目的とは何か。


というロシアのSF小説です。(上記はwikiから抜粋)

そう、あのロシア!
ロシアと言えばドストエフスキーやトルストイなど、読みにくい、難しい、などのイメージがある。ロシア文学でおなじみの「キャラクターの名前とあだ名が全然違う」という現象は本著でも出てくる。
主要キャラであるリチャード・ヌーナンのあだ名は「ディック」。
しかし本書では優しくカッコ書きでディック(リチャード)と記載されている。あだ名と本名が違い過ぎて、なんか突然出てきたけどコイツ誰だろう?いつから居た?と、確認のために前のページに戻ったり、前後の文脈から推理する、という手間が省けます。

科学・物理学系の専門用語も序盤にちょこっと出てくるだけなので、ググりながら読む必要もない。ただ、この序盤の数ページがちょっと小難しく、とっつきにくさを感じる。

私の場合は、知人が本書をモチーフに書いた小説【Effectorz】を先に読んでいたので、それに助けられ、苦もなく物語の世界観に没入することができた。
以下にリンクを貼っておきますので、SF好きな方は是非ご一読ください。

【Effectorz】序章・瓦礫の楽土(1/3)

この作品がなかったら、きっとストーカーは読まなかったかも知れないな。

さてここからはネタバレを含みます。
未読の方はご注意ください。

・<ゾーン>とは何だったのか?

私はこの小説を、当初はエンタメだと思って読んでいたので、読み進めていくうちにゾーンが科学的に説明され、数々の謎もやがて解き明かされるだろうと思っていた。
ゾーン内に出てくる現象のうち、ほんのいくつか<蚊の禿>などは、科学的に説明される描写があったが、ほとんどの現象は説明されぬまま物語は終わった。
でも、それでも面白いんだ。
何も明かされないけど面白い。

てか、蚊のハゲってすごいネーミングw

異星人とのファーストコンタクトもなかった。
そもそも異星人は登場しない。
なんなら、ゾーンは本当に異星人が作ったものなのかどうかも怪しい。いや、もしかしたら、分からないのは私だけで、理系の読者はゾーンが何だったのか分かっているのかもしれない。
近いうちに再読しよう。

・特筆すべきはモンキー

以下は本文からの引用。
モンキーの登場シーンです。

<モンキー>はすやすやとよく眠っていた。跳ねのけた毛布が床に落ちかかっており、パジャマがまくれあがっていた。全身がまる見えだった
----中略----
温かそうな金色の毛におおわれている背中を撫でた。その絹のように柔らかくて長い体毛には、いつも驚く。

え??
金色の毛?
まさか見た目が猿?

まあ…それは良しとしよう。良くないけど。ストーカーの子供は奇形が多いって記載されてるし。奇形っていうレベルではなく、人間が猿を産んだとしか言いようがないんだけど。
でもいちばん驚いたのは主人公よりも読者よりも、嫁のグータだろうな。
まさか自分が産んだ子供が猿とは…
出始めの頃のモンキーはとても良い子なので、見た目で差別しないでほしい。
でもいちばん気になったのは、見た目が猿の子供にモンキーという名で呼びかける両親。

・ストーカーの無謀っぷり

勇猛と無謀は違う。みたいな格言があったっけ。
本作で登場するストーカーたちは、危険極まりないゾーンに入って、天性の勘と経験で危険を回避して、お宝をゲットして帰ってくる。予測不能な危険を勘で切り抜けようとするので、もちろんほとんどのストーカーが死ぬ。

物語の中盤で、最近では人間がゾーンに入るようなことはせず、ロボットに入らせる時代が来たという説明があるので、やはり人間が勘でゾーンに入るのは無謀だと思っているわけだ。

無謀な挑戦に賭けるしかない人間の生き様が本作のテーマのひとつになっているし、その無謀っぷりが臨場感を煽り物語を盛り上げていく。

・レッドの決断

レッドは何だかんだ言いながら、いつだって自分の周囲の人間を全力で助けてきた。
金色の玉を目前にした禿鷹の息子アーサーを、レッドは本当に見殺しにしたのだろうか?
<肉挽き器>のためにわざとアーサーを生かしておいたのだろうか?
これも再読しないと分からない。
近いうちに再読しよう。

というわけで再読しなければ分からないことがたくさんあることに気づいた。
そして久々の長文で、自分の文章力の劣化にも気づいた。書かないでいると劣化するのか、もしくはTwitterの呪いか…

次週は「ストーカーのイラスト(ファンアート)」お楽しみに!
本当はこの記事に載せたかったけど、気力の問題で次週になりました。

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