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Webライターが知っておきたい著作権について:2017年作成

2017年に当時就業していた会社で作成したWebライター向けの著作権案内です。簡易版になります。(公開許可はもらっています)
記事執筆用マニュアルとKW出しマニュアル、構成作成マニュアル、キーワード出しマニュアルは別にあるため、こちらは著作権についてだけのマニュアルです。

当時も「他のサイトでいい記事があった!コピペして納品しよう!」というライターさんがいました…。今はAIが書いた記事かどうかもチェックしなきゃいけないし…あの頃は(今に比べたら)記事チェックは楽な時代だった…かもしれない。

著作権について知らなければならない理由

自分自身と他人の権利を守るため

ライターとして活躍したいと願っているのなら、必ず知っておかなければならないことの1つに著作権があります。

記事執筆にあたって、他人の文章を「引用」したり、他サイトからの画像を「挿入」したりするシーンが発生するからです。
この時に「著作権」に対する意識がないばかりに、他人の権利を侵害し果てには裁判沙汰になってしまうケースがあるのです。

また、自分の書いた記事や撮影した画像が、他者に無断で使用されたときに、著作権について知っていれば適切な対応を取ることができます。

記事に限らず何かをアウトプットして世に出す場合に必ず知っておかなければならないのが著作権なのです。

「著作権について」で学ぶこと

弊社でアウトプットする場合に必要な著作権についての知識

とはいえ、著作権の全てについて書き出すとハードカバー一冊分の分量になってしまいます。
ですので、このマニュアルでは、弊社でアウトプットをしていただくにあたって利用頻度が高いものに絞ってお話をします。

著作権とは何か

作者が自分のアウトプットをコントロールする権利

まず、著作権とは「作者が自分のアウトプットをコントロールする権利」のことです。

「アウトプット」とは、
・文章(歌詞なども含まれる)
・音楽
・写真
・絵画
・ソフトウェア

などのことです。
「作者」とは、これらのアウトプットを作った人のことです。

また「コントロールする権利」というのは、販売や掲示、改変などについての権利を持っているのが作者であるということです。

日本の著作権法の定義について

アウトプット、作者について日本の著作権法ではこのように定義されています。

まず、アウトプットは「著作物」と表現されており、定義はこのようになっています。

“著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。”
(引用:著作権法第二条第一項

作者については「著作者」と表現され、定義はこのようになっています。

“著作者 著作物を創作する者をいう。”
(引用:著作権法第二条第二項

他人の著作物の取り扱い方2つ

「引用」・「転載」

文章に根拠を持たせるために、他人の著作物(本や他メディアの記事など)を自分の文章に挿入する場合があります。

その際に用いる手法に「引用」と「転載」があります。

1、引用:原著者の許諾なしで文章を掲載する

基本的に、他の誰かが書いた文章や図、イラストについては、それを書いた人の許可を得なければ、自分の文章に挿入することができません。

ですが、「引用」を利用することで、元々の文章を書いた人の許可を得なくても、自分の文章に他人の文章を挿入することが可能です。
引用とは、著作権法によってこのように定められています。

“公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。”
(引用:著作権法第三二条第一項

つまり、引用できるのは次の3つ全てを満たすものである必要があるということです。

1、公正な慣行に合致するもの
2、報道、批評、研究その他の引用の目的があるもの
3、正当な範囲内で行われるもの

それぞれについてお話しします。

1、公正な慣行に合致するもの

「公正な慣行に合致する」とは、

⑴自分の文章と引用した文章との区別がつくこと
⑵引用した文章の「出典=原著者名」が明記されていること

のことです。

2、報道、批評、研究その他の引用の目的があるもの

これはそのままです…。
3、正当な範囲内で行われるもの

「正当な範囲内で行われるもの」とは、「文章全体を通してみて、自分の文章の方が引用した文章よりも多いこと」のことです。

例えば、全体の文章が3000文字だったとして、2500文字が引用した文章であり、自分のオリジナル文章が500文字しかなかった場合は、正当な範囲内とはみなされないでしょう。

目安として、記事全体の文字量の20%程度が引用の限界と覚えておいてください。

2、転載:原著者の許諾が必要

「引用」は原著者の許諾なしで、文章を挿入することでした。
これからお話しする「転載」は、他人の文章を「引用」の範囲内を超えて挿入したい場合に利用する手法です。

引用との違いは下表のようになります。

「無断引用」=「盗用」

「コピペ記事」はNGです

コピペ記事問題について、聞いたことがない人はいないと思うのですが、念のためにお話をしておきます…。

コピペ記事は、著作権侵害です。

なぜ著作権侵害にあたるかというと、元になる記事をほぼそのまま持ってきているにも関わらず、出典を明記せず、あたかも自分自身が全て書いているように見せているからです。

著作権侵害を行うと、ライターとしての信頼を失うだけでなく、原著者はもちろん、納品した企業にも迷惑をかけ、最悪の場合、著作権使用料や慰謝料の支払いを裁判によって訴えられることになります。

著作物にあたらない文章について

事実を述べただけのものはあたらない

他人が書いた文章は、基本的には著作権法によって保護されていると考えてください。
しかし、著作物にあたらない文章が存在することも覚えておいて損はないでしょう。

著作物にあたらない文章とは「誰が書いても同じ表現になるもの」です。
例えば、新聞やニュースの報道、レシピサイトのレシピのようなものです。

ただし、事実だけを述べた文章のように見えても、その事実に対する評価や意見などが掲載されている場合は、著作権法に保護される文章とみなされる可能性が高いです。

ですので、基本的には「誰かの何かを文章に挿入する場合は、出典を明記する」を意識してください。

参考文献など

・公益社団法人著作権情報センター

 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html
 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime8.html

・著作権法

 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

・書籍

クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)
楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

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