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読書ノート652「タンゴステップ」を読んだ

ヘニング・マンケルのヴァランダー警部のシリーズを読破して、さすがに、もうちょっとマンケルは一休みと思っていたが、同シリーズ以外の長編も買い溜めしてしまっていた。
ヴァランダーを読み終えてからしばらくたったこともあり、久しぶりに、その買い溜めしてあった1冊を手に取って読み始めたら、これがもう面白くて、他の読んでた本を押しのけて一気読みしてしまった。
どうして、こういう深くて幅のある作品を書けるのか、本当に驚きだ。
スウェーデンのミステリーといえば、なんといっても「ミレニアム」を書いた(そして、シリーズ途中で亡くなってしまった)スティーグ・ラーソンを思い出すが、二人とも、知の巨人というか、そのスケールの大きさには驚嘆させられるばかりだ。
本書も、単なる殺人犯探しのミステリーというよりは、その背景にあるナチス、現代におけるナチズム復興といった大きなテーマを描きだした歴史もの、社会派サスペンスといった作品になっている。
著者自身が、反戦平和活動に実際に身を投じるほどに活動をしつつ、このような作品で世の中に問題アピールを行える能力をもちあわせていたことに感謝するばかりである。

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