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読書ノート632「禍根」(上)(下)を読んだ

ご存じ、パトリシア・コーンウェルによる検視官、ケイ・スカーペッタのシリーズ最新作。
同シリーズを追いかけている人は先刻ご承知だが、かつては毎年、クリスマスの時期に新作が発表されていて、年末年始の読書の最大の楽しみのひとつだった。
それが30年近くも続いていたのに、数年前にパタリと止まってしまい、著者が執筆意欲を失ったのか、はたまたコロナ禍で命を落としたのではないかなどと心配させられていたが、突如として5年ぶりに復活。
コロナ禍の数年を反映した形で、物語の設定にも「えっ?!」という変化はあったものの、ともあれシリーズ作品の再登場はファンとしては嬉しい限り。
作品の構成や投場人物の設定などはいつもとどおりであり、これまでの30年の過去作品をすべて引き下げつつの内容となっていて、5年のブランクをまったく感じさせられない完成度になっている。
上下2冊本の長い話なのに、ほんの数日にわたる内容であったり、最後の短い話の中で事件は突然解決されたり、嫉妬、嫌悪、愛憎にまみれた、おどろおどろしい人間関係の複雑なからみなどはいつもどおり。
いつもはある、訳者による解説で5年のブランクや今後の作品についての説明があるのかと期待したが、それがなかったのは残念だった。
こんな、娯楽作品ばかり読んでちゃだめだな・・・。

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