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love letter from K. Season3「食べること」3. なにもしない ー前編ー

オランダつながりで

読みたかった本をこの休みで読もうと思い買いました。山本直子さんが書かれている「週末は、Niksen.」。前回、オランダ旅行の事を書いたのですが、あのラディカルな感覚をもう一度思い出したくなり読んでみることに。

「何もしない」ことをオランダ語では「Niksen(ニクセン)」と言います。何もせず、何も生み出さないこと。 義務感や生産性から自分を解放して、ボーッとすること。

この言葉が「ニューヨークタイムズ」で紹介されると、たちまち欧米のメディアが取り上げるようになったそうです。北欧好きの方ならご存知のデンマークの「ヒュッゲ」(ほっこり楽しい時間)やスウェーデンの「ラーゴン」(何事もほどほどに)といった北欧のライフスタイルのように、オランダ発のリラックス法として注目されはじめているよう。

スラスラと読みやすく、とてもわかりやすい内容なので是非手に取って頂きたいのですが、読みながら感じたのは「これは、今まさに必要な感覚なのかもしれない」ということ。

ニクセンとは、本当に何もしない時間のことではなくて、お風呂に入ったり、ゴロゴロしたり、庭でコーヒーを飲んだりするのもニクセンになるそう。要は自分が抱えている目の前の問題を脇に置いて心を浮遊させる。頭の中を空っぽにする時間を作ることのようです。庭の手入れをしたり、身体を動かしながらでもニクセンはできるらしいです。

典型的なニクセンの例は、窓の外を眺めること。
仕事の合間に、窓の外を2,3分覗いてみましょう。これだけで、自律神経が整うのだそうです。
同僚が「何をボーッとしているの?」と聞いてきたら「ニクセンしているんです!」と答えましょう(笑)。

「何もしない」時間というのは、脳にとっては休息ではなく「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる整理整頓の時間のようです。何かひとつのことに集中しているときよりも広範囲に渡って脳を活性化させているのだとか。ボーッとすることで脳内の処理能力に余裕が生まれ、突然良いアイデアが浮かんだりします。なので少し行き詰まったり、疲れたな・・・と感じた時は、迷わずニクセンを試みましょう。

本の内容は、より具体的にそしてもっと精神的な側面でもどんどん面白く切り込んでいきます。社会の目を気にしないで、自分軸でいいんだと自信をつけられていきます。世界幸福度5位のオランダが教えてくれる「なにもしない」事の本当の意味とは?

僕は3年間オランダに住んでいましたが、当時を振り返るとニクセンに出会ったなんて気づきもしませんでした。今思い出すと、平日休日問わず、地元のカフェでは誰かが必ず外でビールを飲みながらボーッとしている。「あの人は、いつ働いているんだろうか?」と思う光景が確かに沢山あったような・・・。あれはニクセンタイムだったんですね、きっと(笑)。

ステイニクセン

日本の一般的な感覚として、週末は家族でお出かけするのが普通。土日を家でダラダラ過ごしているとなんか時間を無駄にしたような気持ちが沸いてしまう。アニメなどで休日にお父さんが家でゴロゴロしていると奥さんに叱られるなんていうシーンがありました。これって何でなんだろうと昔からちょっと不思議に思っていました。

ですが今は、逆に外に出かけられない状況。
それに加え「不要不急」「自粛」「ステイホーム」とネガティブな言葉で抑圧され、僕達の精神的なストレスは増すばかり。家でできる事はもう一通りやり尽くしましたし。政治家の皆さんには、「不要不急の外出はお控えください。」ではなく「休日は是非家でニクセンする時間を取ってみてください。」と言って少しでも国民をポジティブな気持ちにさせて欲しいものです。 ステイホームではなく、ステイニクセン。 是非この数週間で一度試してみてはどうでしょうか?

後編へつづく

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和田 健司
オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。


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