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鍼灸の役割は体の羅"針"盤

鍼灸師2年目。ちょうど約1年前の5月から、毎週土曜日はとある鍼灸治療院にいます。昨年同じタイミングで常連さんのご紹介で通い始めたとある男性の方がいらっしゃいました。その患者さんと歩んだ1年間。印象的な、そして忘れずにいたい先生の一言のお話。

※補足:まだまだ新米の私は1年目は助手として治療に入らせていただく立場で、ここでいう「先生」は、私が師事している鍼灸師の先生、主な治療はこの先生が、私は先生の助手で治療に入らせて頂いています。

昨年、私が治療院でお世話になるようになってから初めて来られた、初診(初回の治療)の患者さんだったと思います。どんな症状でお悩みなのか、毎回治療をしながら変化や治療方針を先生と他の助手仲間たちとあーだこーだ言いながら、2週間に1回定期的に通われる患者さんと、少しずつ打ち解けながら治療を重ねてきた1年間。

ちょうど昨日治療に来られていた中でお話を伺っていると、主訴として1番気になっていた症状が最近とてもよくなってきたとのこと。確かにいつもより顔色もよくちょっといい雰囲気を感じていました。(ちなみに、最初に来られていた時の1番のお悩みは2-3ヶ月で徐々に改善、その後もある症状だけはなかなか変化が出ず、元々病院にも通われていて検査や服薬を継続するも、体の器質的な原因は見当たらない症状でした。)

「先生のおかげ」ではなくて。

「改善してきたんだって!?よかったじゃん~」と治療をしながら話す先生に男性が、「先生のおかg」と言いかけた瞬間、すかさず先生は

「いや、治したのはあなた自身の体だから。俺は何もしてないからね~」

と一言。

え、でも…とモゴモゴしかける男性に先生は

「鍼灸は、ちょっと体に”方向づけ”するだけだから。治そうとする力は、あなたの体の力ですよ。」

・定期的に通い続けたあなたの努力
・ハードな治療に耐えたあなた努力
・色々あーだこーだ言った生活指導に向き合おうとしたあなたの努力
だとしっかりお伝えしたのです。

そう、本来人の体はちゃんと回復するように、自分で自分の体を治す治癒力を持っている。仕事や日々のストレス、過労、事故や怪我で崩れてしまった体のバランスを、整うスピードをあげる、整いやすくするお手伝いができるだけ。折れたり切ったりしたら縫う、腫瘍ができていたら取る、ということは外科医ならできるけど、あくまでも人の体を治すのはその人の体であって、私たちはサポーター。

元々中医学(東洋医学)は、その人の体の中のバランスを整え、体本来の持っている力("元気")を賦活するための治療。鍼もお灸もマッサージも、魔法じゃない。体が回復するのに時間がかかっている、迷子になっている、回復の仕方が分からなくなっているところを、こっちだよと照らしてあげるような治療が鍼灸なんだなと、先生と男性のやりとりを聞いて改めて腑に落ちました。

道に迷ったときの”羅針盤”。体にとっての羅針盤。あー「はり」の文字入ってるし!という自分なりのこじつけで解釈。

行き先を決めたら地図を見るように、道に迷ったら人に聞いたりするように、こっちでよかったっけ?と思ったら羅針盤を見るように、疲れた時や悩んだ時、「ここに行きたい(これをやりたい)」と思った時に、コンディションを整えるための羅針盤となれるような鍼灸師でありたい。しょっちゅうは使わないけど、いつもそっと持ち歩いていて必要な時に力を借りる、そんな羅針盤のような存在になれたらと思います。

鍼灸院に通う=体に向き合う時間

「2週間に1回通って、定期的に体調や生活習慣を振り返ることで、定点観測になっていて、それがいいなと思っています。」
「あーね、体と向き合う時間になってたんやね~自分と向き合う時間を取ることは大事だよね~」
という男性と先生の会話も。

あ~~~まさにそれ!!それを大事にしたいの!と心の中で絶叫。

うちの治療院ではそりゃもうしつこいぐらいに毎回、主訴(その時一番気になっている症状、困っていること)だけではなくて、食事や睡眠、お仕事のことなど生活も詳しくお尋ねしています。※それが中医学の治療に必要だから/お尋ねするボリュームは人それぞれですが毎回少なくとも10~15分は治療の前にまずはお話を聞かせて頂く時間にしている。

自分では毎日の習慣なので気が付かない、それが当たり前だと思っていることもたくさんある無意識の日常生活。それを定期的に尋ねられることで、自分でも自分の体や行動、習慣を意識するようになります。それが、自分の体と向き合う時間に、自分自身と向き合う時間にもなっていく。だからこそ、自分の調子いい/悪いに気が付くようになっていくし、「これを変えてみようかな」になっていく。(だから #BODYDIALOGUE を大事にしたい。)

問われて初めて考える、気づく。向き合うからこそ気が付く。それってキャリアと一緒だなと感じています。

きっかけやサポートをしてくれる、伴走してくれる第三者の存在が、キャリアも深めてくれるし、日々のコンディションとパフォーマンスを高めてくれる。
自分だけではどうしようもないこともあるから、きっかけとして、調子を掴むためのペースランナーとして、鍼灸師をはじめてとした治療家やトレーナーを使ってほしいし、私自身は自分の大切な人、大好きな人たちにカラダとキャリアの羅針盤として使ってもらえる人でありたい。
改めてそう心に誓った1日でした。

(私個人として、ね。鍼灸師1本で仕事をしているわけではなく、「キャリア」もまだ仕事にはできていないけれど、“カラダとキャリア"は私個人のテーマとして、一生をかけて少しずつ力をつけていきたいこと。)

#鍼灸 #BODYDIALOGUE #私の仕事

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