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灼熱地獄の巻(マサラ地獄生存日誌)~後編

前編で、自分の教職員アパートメントのうち一部屋だけを独房状態にすることによって、多少の騒音対策、全面的な汚染対策と灼熱対策を完了したかに見えた改造計画。
その後、もう少しだけマサラスパイシーなハプニングがありました。もう少し、と言いましても、日本では「あり得ないレベル」のスパイシーさではあります。

アマゾンで注文したダイキン製エアコンが届き、アマゾンで指定された設置業者とやりとりをしました。マサラ地獄あるあるな身勝手延期を3回ほど繰り返されましたが、そこは僕も慣れたもんで、日本ではクレームを入れたくなるほどの不躾無礼であっても、マサラ地獄では菩薩のような顔をして受け流せるほどに、僕のストレス弾力性&閾値はガバガバに緩く設定してあります。

日常茶飯事の無断アポ破り。約束時間を過ぎたあとにこちらから連絡をいれると「やっぱ明日にしてくだSir」。明らかに問題が発生しているのに「ノーイッシューSir」&「ワタシは知りませんSir」。「俺ちゃん頑張ったけど、部品が足らずに今日はインポッシブルSir」などなどで、毎回怒っていては身が持ちません。菩薩顔で華麗にスルーがマルです。

そんで、ようやく数日後の遅い時間にエアコン設置ブラザーが二人組でやってきました。もともと室外機一体型のエアコンがあった場所から、エアコンをごっそり引き抜き、その外部空間にダイキンの室外機を設置しようと計画をしていたんですけれども、なんと1センチだけ高さが足らないというではありませんか。

これは、エアコン設置ブラザーのミスではなく、物理的にどうにもなりません。

そんで、彼らが考えたのがかなり遠い部屋の奥にあるベランダに室外機を設置してパイプをつなげようというもの。
しかし、10メートル近いパイプが必要になり、材料工事費あわせて追加で3万円かかるとのこと。エアコン本体が7万円ほどでしたので、さすがにちょっと高いなと僕は悩んでおりました。

そんな折に僕自身ひらめいたのが、室内に室外機を設置したらどうなるんだ、というマッドなアイディア()。

この教職員アパートメント、もともと単身で住むには広すぎる間取りなものですから、キッチン・ダイニングのスペースがまるまる余っています。冷房は僕の部屋だけに機能すればよいので、完全にキッチン・ダイニングという空間を「外部」と割り切って捨ててしまえばよいんではないかという、マッドが考えが降臨してきました。

このアイディアをエアコン設置ブラザーに伝えると。「いけますよ。暑いけど。」という回答。彼らは設置すること以外の想像力を持ち合わせません。んで、僕は、じゃぁもうそれでいいや、キッチンが60度とかになったら大変だけど50度程度なら、まぁやってみよう、と。

ばばーん。
室内に室外機が設置されました。技術的に設置してしまったというだけの話で、この後どうなるかというQOLが考えられていない仕様にドキドキします。

こういう窮地にたったときに、インド人に対して「ジュガール(Jugaad)精神だね」というと、自尊心をくすぐられるらしく、にこやかになってくれます。

ちなみにこの「ジュガール」、創意工夫で現実問題を克服する的な意味で、組織論的な観点からもビジネス用語としてつかわれるのですが、言い切ってしまえば、単にソリューション一点突破で他の問題点に蓋をして乗り切ってしまう、というだけの話だと僕は考えています。
まぁ、なんとなくインド(国家)の台頭とともに、「ジュガール」が米欧文化圏でも意識高い系のワードになっただけです。チャイナのちょっと前の「グァンシー(関係)」のような、米欧で取り上げられたくなるバズワード的な感じもあります。
そんなわけで、なにか乗り切ったときに「いやぁジュガールやねぇ」と言うと、インド人的には自国文化・自国精神を持ち上げられたような感覚で、ポジティブにとらえてくれるのですよね。

今回の設置で最大の問題は、まったくのホスピタリティ概念が欠如しているブラザーたちでありました。突然、レンガ風の建材にドリルで穴をあけだしたものですから、あらゆる場所にレンガ(アスベスト含んでたら怖い・・・)の粉塵がとびちって、数日たったいまでも、拭いても拭いても粉塵が存在しています。

後先考えず粉塵まみれにしてるのに、俺様は仕事してやったぜ、とドヤ顔されましても。

日本のように完璧に周囲に養生シートを配置してくれなんていわないから、せめて一言声をかけてくれれば、新聞紙やらタオルやらを周囲にかけたのに。ダメジュガールですよ。
大気汚染地獄対策のためでもある新エアコン設置で呼吸器を再度痛めてしまうとは。

電気ドリルは、もちろんコンセントプラグ無しで、電線を分割して穴に突っ込むスタイル。インド技士らのデフォルトです。

というわけで、今僕がnoteを書いている隣の部屋ではおそらく50度を超えることになっているわけですが、この部屋だけは快適です(粉塵がまだありますが)。

ポッドキャスト配信でも語りましたけれども、粉塵がどれだけ呼吸器系に影響するのかは、ちょいとまだわかりません。

その後、もともと室外機一体型エアコンのあった場所が大通り側にポッカリと穴があいてしまったものですから、そこは大学内の建築マスターが手直ししてくれることになりました。

ブラザーというよりマスター級です。
ちゃっちゃと線を書き入れて、木の板を切断。電気ドリルでネジ止めしていきます。

ちなみに、紹介し忘れてましたが弊学内の設備としてジムはとても快適です。IIMはさすがインテリ層しかいない環境なので、利用者マナーも良く、多少マシンは少ないものの学外のゴールドジムよりはるかに良いです

あまり利用者もいなくて、まるでホームジムのような。

まだまだ、マサラ地獄対策には時間とコストがかかりそうですが、プロレタリアート魂で突き抜けていきたいと思います。

あのヘッポコ設置ブラザー、表示ディスプレイ設置ミスってね? ちっ最後まで

告知:こんなのもやってますので、チャイナやインドについて興味のある方は、勉強会にもぜひご参加ください。

そりでは、また。

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