あなたの知らない世界

バーにお邪魔させていただくことがある。

「大して酒に強くない私のような者が来ちゃってすみません」という気持ちがあるので、バーに行くというよりお邪魔するという言葉を選びたい。行きつけというほど通えていないけれど、顔と名前を店員さんに把握してもらえているお店がある。入店すると「あ！〇〇さーん！」と笑顔で迎えてくださることが実はとても嬉しい。いつもありがとうございます。

基本的にふらりと一人で行って、常連さん達の輪に混ぜてもらっている。はじめましての人から「口をつけるだけでも」とテキーラをすすめられたことがあった。舐めるよりは多めで、一口飲むよりは少なめな量というか、ちゅるりとした量を飲んでみた。おいしさがよくわからないとお伝えしたところ、みなさんから「おいしいから飲んでいるわけではない」、「楽しくなるために飲んでいる」、「盃を交わすみたいなアレだから」、「なんだかんだでコーラが一番おいしい」と教えていただいた。

あまり私が関わることのないお仕事に就いている常連さん達とお話をしたり、テキーラについて学ばせてもらったりする機会があるのはありがたい。そして気も紛れる。苦しいことや不安なことをかき消してくれる。バーを含むさまざまな夜のお店に通う人達も、同じような気持ちでいるのだろうか。

世の中には私の知らない物事、世界がたくさんあって時々恥ずかしくなる。一つずつ恥ずかしさを解消していきたい。来年はショットグラスのテキーラを全量摂取できるようになりたい