平凡な主婦にとって、毒や闇が必要だ。むしろ、平凡であればあるほど、毒や闇が必要なのだ。ちょうど、やじろべいがバランスをとるように……
東電OL殺人事件、私はこの事件をリアルタイムで追っていない。記事を見たら、「ああ、ああ、あったな、こんな事件」という程度の認識しかない。
昨年、東京都の小学校教員が新宿で売春行為をして懲戒免職になるニュースがあった。歌舞伎町の大久保公園で売春待ちをしていたらしい。しかも、逮捕は二回目だった。
なんで、そんなことするんだろうと思って調べてみると,地下アイドルに貢ぐためとかなんとか。なんで、そこまで……と、引っかかる。
そこから派生して、地下アイドルの握手会やら、お金だけじゃなさそうな売春やらと調べて、最終的に、東電OL殺人事件にたどりついた。園子温の「恋の罪」も、ドキドキしながら観た。佐野眞一さんの本も読んだ。
この本の、へーって思ったところ。
例えば、木嶋香苗のことについて
朝日新聞を読んで、リベラルなことを言っているわりに、家庭の中は封建的……うちも、そんな家庭だったなぁ。結局、私が手に職を付けて働きたいって思ったのは、母親みたいになりたくなかったからだし。全部を否定するわけじゃないけど、今でも父と母が作った家族は、自分の居場所じゃないと思っている。
母と娘の難しさ。相性があるって、頭で分かることって大事だと思う。そうやって割り切って、距離をとって、なんとかやっていくのも家族。
東電OLのことについては、男女雇用機会均等法より前に社会に出た世代だった流れで。
見ないふりをする人たちに対して、これでもか!という気持ち……
どこかで、誰かが関わっていればってことあるよね。他の人達の東電OLさんを見ている空気まで伝わってくる。
東電OLが、行くトコまで行ったのって、結局、孤独なんだ。会社でもひとり。売春婦でもひとり。戦う仲間がいたら、人生変わってたんだろう。仲間を作ることができなかった、孤独。
私が闇を追う理由。もしかしたら、闇落ちしている孤独な仲間を見つけるため?孤独じゃないって思うため?
うーん、自分の心の闇を見た本だったな。