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刀鍛冶から聞いた秘伝の言葉

2017年7月、古材の森講座の企画で、糸島市在住の刀鍛冶 瀬戸吉廣さんをお招きして講座を開催した。私は、高校生の頃に刀鍛冶に憧れていて、かなりの資料を集めて研究したが、本物の刀鍛冶に会うのは初めてで、実際に鍛錬の様子を見るのも初めてだった。

実際にお会いして様々な事をお話した中で、特に印象深かった話がある。

刀の鍛錬は、鉄を火で赤めて何度も折り返して鍛え、鉄の中に含まれる不純物を叩き出していく作業である。火床の中で鉄が沸く(十分に熱せられる)のを見計らい、金槌で叩いて伸ばし、叩いては伸ばしを繰り返していく。

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この時に大事なことは、「絶対に焦ってはならない事」この作業をきちんとしていないと、最後に焼き入れをして、研ぎをかけたときに傷が出て、製品としての価値が0となってしまう。今まで数か月かけて作ってきた時間が、すべて無駄になってしまう。だから、鉄が十分に熱せられているか、きちんと折り返しが出来ているかを焦らずに行う事こそ、極意だと言われていたのが特に印象に残っている。

これは、作刀に限らず、すべてに通じる事だと思う。人間関係でもそうだ、細かい部分もきちんと向き合って話をし、ひとつひとつ解決していかないと、最終的に良い関係や組織はできない。できたと思っても、どこかで傷が出てくると思う。これが、刀鍛冶に聞いた秘伝である。

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