見出し画像

解体の精神を観る場所

古材の森の存在意義について、今年の世界的パンデミックを受けて、あらためて考えたことがあった。

古材の森の主体である油機エンジニアリング株は、油圧機械のレンタルや修理を主業としている。特に取り扱っている機械のほとんどは、解体工事に使われ、一般の家だけでなく、大きなビルなどあらゆるものの解体に携わっていると言っても過言ではない。

今年のパンデミックを受け、私自身、ビル解体など日本が主業としている工事等が、この先、無くなってしまうのではないかと思った。

なぜならば、コロナに代表される未知のウイルスが出てきたのは、地球のホットスポットともいえる熱帯雨林を破壊したことがきっかけということをテレビ番組で見たからである。

これを見たとき、この先、世界は「環境」へとシフトしていくと思った。

そもそも、日本は資源が無いというところからスタートしている。かつて家を建てたり物を生産したりするのも、少ない資源をどう利用するかという事を前提に考えられている。

現在、建物のほとんどが、解体され焼却や粉砕など廃棄されているが、以前はそうではなかった。高度経済成長時に使い捨て文化が日本に蔓延する以前は、古くなったところは取り換えて長く使えるように。また、簡単に解体できて別の場所で組み立てられるように、丁寧に解体した部材は、次に使えるように、というリサイクル精神が根本にあった。

しかし、今では、その殆どが古くなれば壊して、また新しく建てるというスクラップビルドの経済構造である。ほとんどの解体業は、粉砕してリサイクルしているが、以前のように綺麗にバラして部材を再度使うというようなことはほとんどない。

未来の観るためには、過去を観ることが大切である。歴史学とは、未来を考えるための材料として歴史を学ぶ事である。しばしば、ヨットのセールとキールに例えられる。セールが未来であれば、同じ長さのキールが水中には存在している。100年先を観るためには100年前の歴史を見なければならない。

おそらく、解体業界はこれまでのようにスクラップアンドビルドを繰り返していくと思うが、この先の解体の未来を考える場合に、リサイクルを主眼としていた時代の建物を、会社で動態保存している事は、解体の精神を考える上で非常に価値のあることだと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?