謝罪復唱歌「背景」

前回意味不明な短歌を書いてしまったため、背景となる短編小説のようなものを編み出した。
すき- ̗̀ ෆ( ˶'ᵕ'˶)ෆ ̖́-が一つでもついたら続きを書こうと思っている。いつもの如く駆け足で書いているため誤字脱字はご容赦願いたい。

「背景」


曇った景色の中には、いつだって彼の姿があった。会話なら沢山繋いでゆけるのに、お互い楽しい時間を過ごせてるはずなのに。どうして俺は、言えないのだろう。
「君はどう思うんだい」
「すまない。なんの話かもう一度話して貰えるか。」
考え事など普段しないというのに一人自分の世界に入っていたことを恥じて、平静を装い彼の姿が映る珈琲に眼をやる。

「こんなに語ったのに酷いなぁ。私が好む本とはどのような類いなのかについて語ったというのに。」

「君に好きな本があったとは驚きだ。どうせ大して内容も詰まってない中身の薄いライトノベルなんかだろう」
反論してくるだろうと思いながら彼の方を見やると、彼は逆に目を輝かせた。
「そこなんだよ」
「何処のことを言っているのか全くもって分からない。君は言葉が足りなさ過ぎるんだ。そこなんだよと言った背景を聞かせて欲しいんだ。それだから君はいつまで経っても売れない小説を書いているんだよ。」
「今日はいつにも増して辛口じゃないか。まあいい。君は良い所に注目した。そう、私が呼んだのは中身の薄いライトノベル。君はこの前私と好きな本の話が出来たら良いのにと言っただろう。普段本を読まない私が本を読んだ事を聞いて仰天する君の顔を見てみたくてね。つまらない古い本達を読むくらいならいっそライトノベルを読む方がいいと思って君に一つ感想を聞かせようと思ってね。」
「俺が読む本を馬鹿にするな。それに俺は仰天などしないが、まあいい。続けろ。」
「とても感動して泣いてしまったよ。なんとその本の貸出履歴を見ると、君の名があったものだから。」
「俺の名前?お前はその本に感動して涙を流したというのか」
「違うさ。君の名前があるのを見て感動して泣いた。流石だよ。既に大学の図書館の本を半分は読み切っている君はやはり最高だ。」
ろくにその本を読んでいないことが分かり、ため息をつきながら、彼の話すことを右から左へ聞き流した。
「で。何しに会いに来たんだ。ご丁寧にカフェまで予約して、君にしては気が利きすぎる。何かあるんだろう。」
彼は数秒視線を泳がせたあと、何か決心した様に私を見た。
「私と本を書いて欲しいんだ。」

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