母は、「娘は何一つ苦労の無い日々を送ってきたからこんなに明るい」と見られることに執着していました。自分一人で育てた娘が幸せに見えることが、とても大事なことだったのでしょう。それがわかっていましたので、私はそう見えるように努力していました。貧乏なんてしたことないし、DVなんて見たこともないし……とね。
そのおかげで、私のことを「苦労知らず」と思っている人ばかりです。ただ残念なことに、〝『おくさまは18歳』で抜擢されたぽっと出のかわい子ちゃんアイドル〟と思い込んでいる人が圧倒的に多くて、それ以前とそれ以降に積みあげてきた芸歴は、まるで無いもののようにされてしまいます。
私生活はどうでもいいのですが、芸歴は大切な足跡ですので、無かったことにされるのは困ります。モンスター視聴率を毎週マークした主演作品は、私の大切な代表作の一つではありますが、そればかりが人々の記憶に残ってしまうことは、かなりヘビーな問題です。その上、その番組のタイトルに「18歳」という年齢が入ってしまっているので、ますます被害が大きいのです。
何か自分自身の肝心なところを、人から誤解や曲解されたままで時を重ねてきた違和感は、ずっと感じています。
真実よりも面白そうな嘘の方がビジネスになる世界で、不愉快にも、散々弄ばれてきて、その度に転んじゃ起き上がって、よくぞこの歳まで歩き続けてきたものです。もう、へとへとだぁ〜。
でもね、実は素晴らしい出会いもたくさんたくさんありました。
それが私の力になり、笑顔の源になっているんです。