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ニンジャスレイヤーTRPG:シナリオ案『新埼玉妖怪譚 渾崎のろくろ首』

1.始めに

 このシナリオは「ニンジャスレイヤーTRPG」第2版の基本ルールブック環境に対応したシナリオである。『成長の壁』突破前の『一般市民モータルPC(回避難易度+2)』3人での挑戦を想定している。想定される所要時間は2時間半~3時間半程度。

NM向け記号解説
:「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
のような「:」から太字の文章が続く形になっている文は、シナリオの進行に合わせてNMが読み上げる文であることを意味する。「:」の前に発言者の名前や、読み上げるにあたっての条件が書かれていることもある。通常の太さの説明文の中に、太字の「セリフ」が挿入されることもあり、その場合は前後の文章を見てその「セリフ」を、いつ、だれが発するべきなのか判断すること。

「イヤーッ!」(命中判定)「グワーッ!」
のように、内部に判定や条件が書かれた()で文章が区切られている場合、判定が成功するか、シチュエーションが条件に合致していないと、それに続く文章は読み上げられない。

<DKKが最も高いキャラクター>の前に、赤黒い影が現れた。
といった「条件」が<>で囲まれている箇所が出現した場合は、そこにその条件に適合するキャラクターの名前を入れる。

※NMの情報:この部屋にはニンジャスレイヤーが潜んでいる。
のように『※NMの情報』から始まる文が枠に覆われている場合その枠内の情報はPLに開示することが想定されていない情報であることを意味する。

 これらの文にはNMの判断により、自由に修正を加えて構わないが、重要な情報が失われないように注意すること。

2.募集用テンプレート

第2版セッション:新埼玉妖怪譚 渾崎のろくろ首
シナリオの方向性:『PC次第』
日時:
想定時間:2時間半~3時間半程度。
募集人数:3人
募集条件:『一般市民モータルPC(回避難易度+2)』
危険度:★★★(分の悪い状況を楽しみたい人向け)
開催場所:
その他:マップとキャラシートにGoogleスプレッドシートの使用を想定。
参加表明:
備考:このシナリオから生還したモータルPCは『アンセレクテッド・リザレクション判定』を
行ってもよい。この判定は成功数が+1されるためニンジャ化に失敗することはない。
これは誕生したPCを継続PCとして使用しやすくするための措置である。

概要:PCたちは白髪の若者『与次郎(ヨジロ)』から『通り魔に襲われ死んだはずの姉
「灯火(トウカ)」が映った写真をネットワーク上で確認したので真相に近づくため
彼女の居場所を調査してほしい』と言う奇妙な依頼を受ける。しかしその写真はネットワーク上で
都市伝説『渾崎のろくろ首』その人の写真として流通しているものであり……?

※NMの情報:以下の一幕はセッション開始前やメンバー募集時に貼ることで「雰囲気づくり」に役立てられるオープニング用のものである。

:飯店で勤務する少年『大熊猫』は無数のオカモチ・ドローンを遠隔制御し宅配業務を行っていた。

:そのうちの一機が和風な一軒家へと到着したのを確認した彼は、顧客とのやり取りのためオカモチ・ドローンへ精神を投射する。

大熊猫:『配達です。影鶴=サンはいますか?』

???:「アー......今立て込んでいるので障子戸の前に置いてください」障子の奥から女性の声。

:大熊猫は説明の出来ぬ違和感を感じる。

:センサーに届く強い油の匂い。

:大熊猫は首を傾げながらも障子戸の前に出前を置く。

大熊猫:『置きました』大熊猫はそれだけ言ってドローンに次の目的地を設定しようとした。しかしその時、飯店の上司から声がかかる。

:大熊猫は安全のためドローンを空中で静止させた上で上司の指示を受け、ドローンの操作へと戻った。この間1分。

:しかしこの1分の遅れ故に彼は見てしまったのだ。

:障子戸から異様に首の長い白髪の女性が現れ配達物を持っていくのを。

大熊猫:(ウワッ!?出た!?)

:大熊猫は息を呑み、オカモチ・ドローンを飛び去らせた......

:ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

???:「......まただわ。引っ越しの準備が必要ね」

???:長い首を持った白髪の美女は飛び去るオカモチ・ドローンを見ながら憂鬱そうに呟いた。

:【新埼玉妖怪譚 渾崎のろくろ首】

ろくろ首ヘッダー2

3.導入

:今回の依頼主『油目 与次郎(アブラメ・ヨジロ)』は人探しを手伝ってくれる人を雑誌、新聞、ネットなどの広告で募っている。その内容は大まかに言って以下のようなものだ。

・自身の「人探し」を手伝ってほしい。この「人探し」は彼の家族に関わるものだが、事情が複雑であるため詳細は対面で伝える。
・前金で【万札:24】が保証されている。
・成功時は最低でも追加の【万札:24】が支払われる。成果次第ではさらなるボーナスがある。
・居場所は既に「渾崎のどこか」まで絞り込めている。PCたちはこの情報をもとに彼が指定した部屋へと集まることになる。それぞれの動機は信念によるものでも単なる小遣い稼ぎでもよい。​

PCたちはこの情報をもとに彼が指定した部屋へと集まることになる。それぞれの動機は信念によるものでも単なる小遣い稼ぎでもよい。​

※NMの情報:ここでNMはそれぞれのPCがどのような動機で依頼を受けたのか決めるための時間を設けること。尚「事前に上の文章を提示しておきセッション開始までに動機を決めてもらう」形にしてもよい。

:指定された部屋には既にあなた達と同じく人探しの依頼を受けてやってきた者たちが集まっていた。依頼主はあと数分後に来る予定だ。

:これから同じ依頼を受けるもの同士、依頼主が来るまでにアイサツや自己紹介をしておくとよいだろう。

※NMの情報:ここでNMは自己紹介の時間を設ける。続き物のキャンペイ軍でプレイしている場合などは最初から依頼主が部屋で待っていることにして自己紹介の時間を省略してもよい。

:扉を開き神経質そうな白髪の若者が現れた。身なりは整っているが、その瞳からはどこか危険な匂いも感じられる。

◆ヨジロ(種別:モータル/重サイバネ)アイコン:与
カラテ     3  体力    4
ニューロン   3  精神力   4
ワザマエ    4  脚力    2
ジツ      0  万札    -

近接/射撃/機先/電脳 3/4/4/5
回避/精密/側転/発動 4/4/-/-

◇装備や特記事項
 『▶︎生体LAN端子LV1』『▶クロームハートLv1』
 『◉疾駆』『◉◉憎悪:???』
  備考:ヨジロの【万札】はシナリオ報酬に内包されるため省略されている。

 ※重サイバネモータルのため『回避判定』の難易度が+1される。
  『NRS判定』はPCと同様に発生する。

ヨジロ:「ドーモ、油目 与次郎(アブラメ・ヨジロ)です。今回は集まっていただきありがとうございます」

ヨジロ:「では依頼の話に移らせていただきますね」

ヨジロ:「今回、通り魔に襲われ死んだはずの姉『灯火(トウカ)』の姿が渾崎で撮影された写真に映っているのを確認しまして。真相に近づくため彼女の居場所を調査してもらいたいんです」

ヨジロ:「とはいえ姉と再会したいというわけではありません」

ヨジロ:「......僕は首が折れた姉の死体を確かに確認しているんです」

ヨジロ:「姉の死体は霊安室から突然姿を消したと聞きました。理由は分かりません。サイバネ目当てのアウトローによる犯行という可能性もありますし、何らかのカルトの仕業という可能性もあるでしょう。通り魔本人が証拠を消しに戻ってきた可能性もあります。ですが死んだことは絶対に間違いありません」

ヨジロ:「ですので姉が渾崎で暮らしているという話が本当なら、何者かが姉に成り代わっているということになります」

ヨジロ:「そしてこれは噂についての噂、根拠のない話にすぎないのですが......」

ヨジロ:「今渾崎にいるとされる『姉』に成り代わった何者かには奇妙な話がついて回っているようなのです、私が『渾崎に姉がいる』という噂を知ったのもこの話がIRCネットワーク上で広まっていたからでして」

ヨジロ:「『渾崎のろくろ首』なる都市伝説はご存じですか?」

:ここで『ニューロン:U-HARD』での『知識判定』に成功したPCは『渾崎のろくろ首』について知っていてよい。この判定に成功したPCは『即応ダイス』を2個得る。【6,6】で成功した場合は得られる『即応ダイス』が2個から3個になる。

有効な知識スキルと増加ダイス:NMはこれに囚われず柔軟に状況判断してもよい。

最も適した知識スキル(+2):『オカルト』『IRCネットワーク』
次に適した知識スキル(+1):『現代的アート』『ストリートの流儀』

※備考:該当するスキルを複数持つ場合これらの補正は重複する。

ヨジロ:『渾崎のろくろ首』とはここ半年ほどIRCネットワーク上でまことしやかに語られている都市伝説だ。この都市伝説で語られるろくろ首は白髪の美女で、夜中または感情が昂った際に首が長く伸びるのだという。

ヨジロ:「これが姉の写真、そしてこれがIRCネットワークにアップされた『渾崎のろくろ首』の写真です」

:彼が提示した写真には異様に首が長いこと以外は、ほくろの位置まで彼の姉と瓜二つの女性が映っている。画質は荒く合成写真かどうかはよくわからない。

ヨジロ:「私は姉を慕っていました。ですから姉がこのような形で貶められるのは絶対に許せません」

ヨジロ:「誰が何の目的でこんなことをしているのかは知りませんが、居場所を突き止め報いを受けさせてやりたいのです」

ヨジロ:「事前にお伝えした前金です。これでどうか助力をお願いします」そう言うと彼は【万札:24】を君たちに差し出した。

ヨジロ/依頼を受けた場合:「ありがとうございます。何か質問はありますか?」

※NMの情報:ヨジロの姉、灯火を殺害した通り魔は犯行直後にニンジャと化した灯火のカトンで焼かれ個人の判別ができない状態で死亡した。これにより事件は『未解決』のまま終わっている。

ヨジロ:「あなたたちが調査している間、私の方でも可能な限りの調査はしてみます。お互い気を付けて行きましょう」

4.ヨージンボ

ヨージンボを雇う:【万札:12】を消費することでヨージンボを雇える。傭兵の選択肢は『火蛇』『タク・ヤマヒロ』『タカギ・ガンドー』である。2人同時に雇うことはできない。またヨージンボは護衛に集中する必要があるため『調査判定』『知識判定』『交渉判定』には参加しない。

各ヨージンボの事情

火蛇:ヤクザ組織〈老頭〉の末端構成員としてヨージンボの仕事を回された。友人の大熊猫が目撃した『渾崎のろくろ首』への個人的な興味あり。ニンジャに対しては噂程度の情報しか知らない。

ヤマヒロ:オヤブンを務めていたキルエレファント・ヤクザクランが壊滅したためフリーランス・ヤクザとしてヨージンボの仕事を受けていた。ある程度ニンジャについての知識も持つ。

タカギ・ガンドー:探偵としてたまたまネオサイタマに来ていた。本来の目的は別にあるが生活費を稼ぐため今回のような小口の依頼も受けている。ある程度ニンジャについての知識も持つ。

◆火蛇 (種別:モータル)初期装備:LAN直結型ハンドガン アイコン:火
カラテ    4    体力   4
ニューロン  3    精神力  3
ワザマエ   3    脚力   3/N
ジツ     -    万札   5

攻撃/射撃/機先/電脳  4/5/4/5
回避/精密/側転/発動  5/5/2/-

 ※モータルのため、火蛇の行う『回避判定』は難易度が+1される。
  『NRS判定』はPCと同様に発生する。

◇装備や特記事項
 『▶︎サイバネアイLV1』『▶︎生体LAN端子LV1』『▶︎ヒキャクLV1』
 『LAN直結型ハンドガン』『赤熱ワイヤーウイップ(連続側転ダイス-1反映済み)』
 『◉連続側転』『◉挑発』『◉知識:ストリートの流儀』『◉知識:ファッション』

赤熱ワイヤーウィップ「MF-33」:『鞭状近接テック武器』
『基礎ダメージ1』『火炎ダメージ1』『攻撃難:HARD』『リーチ+1』『側転難+1』
『連続攻撃上限1』集中状態『●戦闘スタイル:赤熱切断』『●戦闘スタイル:精密攻撃』

集中状態『●戦闘スタイル:赤熱切断』:連続攻撃上限1。『装甲貫通1』を得る。

『サツバツ!』発生条件が【6,5】となる。戦闘中1回限りの使用。
使用するとこの武器は戦闘終了まで火炎+1ダメージを失う。

◆タク・ヤマヒロ (種別:モータル)初期装備:チャカガン アイコン:ヤ
カラテ    4  体力   8
ニューロン  4  精神力  5
ワザマエ   4  脚力   2
ジツ     -  万札   5

攻撃/射撃/機先/電脳  4/4/4/4
回避/精密/側転/発動  4/-/-/-

 ※モータルのため、ヤマヒロの行う『回避判定』は難易度が+1される。
  『NRS判定』はPCと同様に発生する。

◇装備や特記事項
 『チャカガン』『ドスダガー(カタナとみなす)』『トロ粉末』

 **アーマー・オブ・キルエレファント*
  キルエレファント・ヤクザクランに代々伝わる当世具足の武者鎧甲冑一式。
  普段は事務所に飾られているが、何らかののっぴきならない事態に遭遇した場合、これを着用して戦う。
  この防具は鎧一式であり、4つの防具部位全てを埋める。
  【体力】+4、【精神力】+1、戦闘中最初に受けた『サツバツ!』の部位破壊効果を無視。

◆タカギ・ガンドー(種別:モータル)初期装備:**49マグナム×2** アイコン:ガ
カラテ     5  体力    6
ニューロン   3  精神力   3
ワザマエ    4  脚力    3
ジツ      0  万札    5

近接/射撃/機先/電脳 5/6/4/5
回避/精密/側転/発動 5/6/-/-

◇装備や特記事項
 『◉戦闘スタイル:ピストルカラテ』『◉アドレナリン・ブースト』
 『**49マグナム×2**』『▶サイバネアイLv1』『▷強化頭蓋(【体力】+1)』『▶生体LAN端子Lv1』

 ※モータルのため、ガンドーの行う『回避判定』は難易度が+1される。
  『NRS判定』はPCと同様に発生する。

 『**49マグナム×2**』:『銃器』『二挺拳銃』『ダメージ2』『連射2』『射撃難易度:HARD』

 『◉戦闘スタイル:ピストルカラテ』:『二挺拳銃』装備時に『素手』扱いで
 使用可能。この攻撃は【ワザマエ】で判定し『攻撃難易度+1』『連続攻撃+1』となる。
 加えて出目【6】成功時に『痛打+1』を得る。

※NMの情報:ヨージンボの選択が終わったら「一通りヨージンボに状況を説明し終えた後」という体で以下のような台詞を出し話を先に進めるとよい。

火蛇:「ああ、あの話か......俺のダチも巻き込まれたみたいで気になってんだよな」

火蛇:「分かった、できる限りのことはやってやる」

ヤマヒロ:「俺を雇えたお前らは実際運がいいぜ」

ヤマヒロ:「俺のカラテは二十段に近い、大船に乗った気で頼りな」

ガンドー:「......なるほど、死んだ姉がろくろ首にね。酷く悪趣味な悪戯もあったもんだ」

ガンドー:「事情は分かった。手を貸そう」

5.調査

:ここで代表者1人が『ニューロン:HARD』または『ワザマエ:HARD』での『調査判定』に挑戦できる。

有効な知識スキルと増加ダイス:NMはこれに囚われず柔軟に状況判断してもよい。

最も適した知識スキル(+2):『オカルト』『IRCネットワーク』『セキュリティ』『公僕の流儀』
次に適した知識スキル(+1):『ストリートの流儀』『ハッカーの流儀』『サイバネティクス』

※備考:該当するスキルを複数持つ場合これらの補正は重複する。

:成功した場合『渾崎のろくろ首』を見たという遠隔宅配員の少年『大熊猫』のことを知ることができることができる。

:彼に連絡し『ワザマエ:HARD』での『交渉判定』に成功した場合は彼の職場兼自宅である飯店で彼と会い『渾崎のろくろ首』の情報を聞き出すことができる。『火蛇』がいる場合この交渉判定は自動成功する。

有効な交渉/知識スキルと増加ダイス:NMはこれに囚われず柔軟に状況判断してもよい。

最も適した交渉スキル(+2):『理路整然』『超然』『共感』『鼓舞』
次に適した交渉スキル(+1):『威圧』『欺き』『駆け引き』
最も適した知識スキル(+2):『ストリートの流儀』『ハッカーの流儀』『テックガジェット』
次に適した知識スキル(+1):『ヤクザの流儀』『公僕の流儀』『ビークル』『オカルト』

大熊猫:「こんにちは」パンダ型のツナギフリースを羽織った童顔の少年があなたたちを出迎える。

◆大熊猫   (種別:モータル)
カラテ    1  体力   1
ニューロン  6  精神力  6
ワザマエ   3  脚力   2/-
ジツ     -  万札   5
攻撃/射撃/機先/電脳  1/3/8/10
回避/精密/側転/発動  6/-/-/-

◇装備や特記事項
 ▶︎生体LAN端子LV2、タカハシ・マスターツールキット
『◉◉アヴァター・ドローン』『◉知識:テックガジェット』『◉知識:ビークル』

※NMの情報:『◉◉アヴァター・ドローン』のデータは以下記事を参照。

大熊猫:「それで、僕が見た妖怪みたいなのについての話が聞きたいんだったよね」

大熊猫:「......うん、カメラ越しだけど確かに見たよ。影鶴=サンの家にドローンで配達に行った時だった」

大熊猫:「あの首はサイバネってわけでもなさそうだったな。映像は残してあるけど良ければ見る?」

:ここで彼の映像を見たPCには『軽度ショック(EASY)』扱いの『NRS判定』が発生するが次以降の『NRS判定』時に『NRS発狂表』の出目が-1されるようになる。

映像を見た場合:ではショウジ戸を開き現れた異様に首の長い女性が出前を手に取ったのち、カメラの方を向いてため息をつく姿が確認できます。

※NMの情報:ここでNMはPCたちがリアクションを行うための時間を設ける。

大熊猫:「必要なら撮影した家の座標も送っとこうか?」

大熊猫/火蛇がいた場合:「気を付けてね。火蛇」

:大熊猫から家の座標を教えてもらうことに成功した場合は、スムーズに問題の家にたどり着くことができPC全員の【精神力】が+1される。

:大熊猫から家の座標を教えてもらうことに失敗した場合も、時間はかかるものの『渾崎のろくろ首』の居場所を見つけることには成功する。

6.影鶴の家

:あなたたちは渾崎のろくろ首を追う中で和風の一軒家へとたどり着いた。時刻は夕暮れ時だ。

:あなたたちが家に近づくと障子戸が開かれ、あなたたちの目の前に提示された写真そのままの女性が姿を現す。首の長さは常人と同程度だ。障子戸の奥にはいくつかのフロシキ包みが置かれていた。

:彼女はあなたたちをじっと見つめている。

:その後に、アイサツをした。

シャドウクレイン:「ドーモ、影鶴です」

シャドウクレイン:「引っ越しの準備で散らかっていますがどうかお気になさらず」

シャドウクレイン:「さて、見ない顔ですが、何の御用でしょうか?」

※NMの情報:ここでNMはある程度会話のための時間を設ける。頃合いを見て彼女の首を伸ばし話を進めること。

:その時、太陽が地平線の下へと沈んでいった。

:彼女の首がするすると天へと伸びていく。

◆シャドウクレイン(種別:ニンジャ)初期装備:バイオ武器Lv1
カラテ     6  体力    6
ニューロン   8  精神力  12
ワザマエ    6  脚力    4/E
ジツ      4  万札   12

近接/射撃/機先/電脳 6/6/8/9
回避/精密/側転/発動 8/6/6/12

◇装備や特記事項
 『生体LAN端子』『ZBRアドレナリン注射器』
 『◉◉グレーター級ソウルの力』『☆◉◉ロクビの系譜』『◉常人の三倍の脚力』
 『☆カナシバリ・ジツ』『★ロクビ・カトン・ジツ』
 『遭遇時NRS:重度(HARD)』
  備考:シャドウクレインはPCニンジャと同様のルールで【DKK】を獲得する。

 『☆◉◉ロクビの系譜』:『バイオ武器Lv1』と『バイオ武器』装備時にのみ有効な『リーチ+2』
 『●戦闘スタイル:拘束攻撃』を得るが『バイオ武器』での攻撃時に隣接していない敵からも
 『カウンターカラテ』を受けるようになり自身への『カウンターカラテ』にサツバツ!の
 『出目2:頭部破壊』の効果が加わる。ダメージが0のワザにこの効果は適用されない。
  攻撃者はあえて頭部破壊を行わないことを宣言してもよい。 

 『●拘束攻撃』:『バイオ武器』装備時にのみ使用可能。
 この攻撃時に痛打とサツバツは発生しない。『脱出判定:U-HARD』

 『★ロクビ・カトン・ジツ』:『リーチ+2』で攻撃可能な1マスを
  自身のいるマスとみなし『☆カトン・ジツLv2』を使用可能となる。
  使用タイミング、コスト、発動難易度は通常の『☆カトン・ジツ』と同様。

 【6,6,6】:『☆カトン・ジツLv3』となる。

:NRSに耐えたモータルは以下のボーナスを得る。
・『シャドウクレイン』に対する『交渉判定ダイス+3』
・このシナリオでの『アンセレクテッド・レザレクション判定ダイス+3』

※NMの情報:ここでシャドウクレインはPCたちを家に招き対話を行おうとする。

シャドウクレイン:「そうですね。立ち話もなんですし、屋内で話しましょうか。こちらへドーゾ」

:そう言うと影鶴は障子戸の奥へと消えた。

:室内では影鶴が正座して待っています。

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※上のウキヨエはよっし=サンに提供していただきました。

シャドウクレイン:「あなた達に依頼をしたのは弟の与次郎ですね?」

シャドウクレイン:「弟は今の私を姉に化けた怪物か何かだと思っているようですが私は正真正銘、姉の灯火です」

シャドウクレイン:「私は霊安室でこのような姿になって目覚めてから、弟に居場所が露見することのないよう、各地を転々としてきたのです」

シャドウクレイン:「ですが、いかにニンジャとはいえいつまで私の居場所を隠し通せるか分かりません。現にあなたたちは弟の依頼で私の居場所を突き止めこうして話をしています」

シャドウクレイン:「直接話して事情を分かってもらうことができれば、このように隠れる必要はないのですが」

シャドウクレイン:「弟は少々......私に対して邪な欲望を抱いているようでして。できれば会いたくないのです。向こうが『姉に化けた怪物』として取り合わない可能性も大いにあるでしょう」

シャドウクレイン:「......これは初めてジツを振るい、私を殺した通り魔を焼殺した時に確信したことなのですが」

シャドウクレイン:「弟が私を『姉に化けた怪物』として扱えば......私は彼も殺してしまうでしょう。目撃者がいればその人の命も危ないと思います」

シャドウクレイン:「ですので貴方たちに頼みがあります。私を追うことを止めるように弟を言いくるめてくれませんか?」

シャドウクレイン:「私が本物の灯火であること、そしてもう弟とは会いたくないと考えていることを伝え、それを納得してもらうのが一番よいでしょうが実際は難しいでしょう」

シャドウクレイン:「ですので『あくまで他人の空似であり彼の姉とは無関係である』と伝えるなど虚偽の情報を織り交ぜても構いません」

シャドウクレイン:「私のことを諦めず暴れるようであれば傷つけても大丈夫です」

シャドウクレイン:「もし説得していただけたなら弟より多くのカネを私がお支払いしましょう」

シャドウクレイン/元に戻れないのか聞いた場合:「私もこの呪われた躰から逃れようと様々なことを試してきました。ですがどのような策を試みても夜中になれば私の意志とは関係なく首が伸びますし、油を呑まねば躰が渇いて仕方ないのです」

7.選択

:この場面における主な選択肢は以下の通り。

:シャドウクレインを受け入れるようヨジロを説得する。
:説得が困難であることを伝える。
:ヨジロの依頼の完遂を優先し帰還や彼との連絡を行う。

※NMの情報:ヨジロを言いくるめることに同意する:この選択肢を選ぶ場合シャドウクレインの説得は必要ない。『ヨジロにシャドウクレインを受け入れるよう説得する』選択肢を選んだ場合はその場でPCたちとは別に調査を行っていたヨジロが玄関前に姿を現す。

※NMの情報:言いくるめが困難であることを伝える:『シャドウクレイン』に対する『交渉:U-HARD』が必要。成功した場合シャドウクレインは引っ越しと居場所の隠蔽を手伝うことを条件にこれを受け入れる。失敗した場合は改めて別の選択肢を選ぶこと。この手伝いには数日かかりその間にPC全員で『シノギ判定』による【万札】獲得が行える。これはシャドウクレインから報酬として支払われるのかもしれないし手伝っている最中の個人的な収入かもしれない。その処理を終えた後で引っ越し先の家に『ヨジロ』が現れる。その後の処理は基本的に『ヨジロを言いくるめることに同意する』と同様である。

有効な交渉/知識スキルと増加ダイス:NMはこれに囚われず柔軟に状況判断してもよい。

最も適した交渉スキル(+2):『超然』『駆け引き』『理路整然』『共感』
次に適した交渉スキル(+1):『欺き』『誘惑』『卑屈』『鼓舞』
最も適した知識スキル(+2):『ストリートの流儀』『公僕の流儀』『セキュリティ』『宗教』
次に適した知識スキル(+1):『カチグミエリア』『IRCネットワーク』『古代ニンジャ文明』

※NMの情報:シャドウクレインと戦う/ヨジロの依頼の完遂を優先し帰還する:その場で『シャドウクレイン』と戦闘が始まる。『傭兵』を雇っている状態で積極的に戦闘を行おうとした場合は『傭兵』が一旦止めに入る。その場で戦闘になった場合の初期配置マスは以下の通り。

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8.襲撃と説得

※NMの情報:『ヨジロを言いくるめることに同意する』選択肢または『言いくるめが困難であることを伝える』選択肢を選んだ場合はこのシチュエーションでヨジロとの戦闘が発生する。​

:その時。

:影鶴の表情が突如険しくなる。

シャドウクレイン:「......」

シャドウクレイン:「どうも、弟がすぐそこに来ているようです」

シャドウクレイン:「私のいる部屋に足を踏み入れる前に片を付けてきていただければ、あなたたちの命は保証しましょう」

シャドウクレイン:「もし弟の顔を私が目にすることがあれば、分かっていますね?」

シャドウクレイン:「弟の顔を見たくないだけであればこちらから去ることもできますが、私が去れば弟が私の部屋に足を踏み入れることになりますし、そちらも気持ちのいいものではありません」

シャドウクレイン:「ですので、今の私にはあなたたちが頼りです。よろしくお願いします」

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◆ヨジロ(種別:モータル/重サイバネ)初期装備:バール アイコン:与
カラテ     3  体力    4
ニューロン   3  精神力   4
ワザマエ    4  脚力    2
ジツ      0  万札    -

近接/射撃/機先/電脳 3/4/4/6
回避/精密/側転/発動 4/4/-/-

◇装備や特記事項
 『▶︎生体LAN端子LV1』『▶クロームハートLv1』
 『◉疾駆』『◉◉憎悪:シャドウクレイン』
 『ジャンク・チャカガン』『バール』
  備考:ヨジロは攻撃者が『ミネウチ』を宣言しない限り【体力】が0になった時点で死亡する。
     ヨジロの【万札】はシナリオ報酬に内包されるため省略されている。
  
 ※重サイバネモータルのため『回避判定』の難易度が+1される。
  『NRS判定』はPCと同様に発生する。

 『ジャンク・チャカガン』:『銃器』『ダメージ1』『回避:EASY』

 『バール』:『粗悪近接武器』『●戦闘スタイル:スマッシュ』でのみ『近接攻撃』可能。

  『●戦闘スタイル:スマッシュ』:『攻撃難易度:HARD』、『回避難易度:EASY』、
  『基本ダメージ2』となる。このスタイル使用時は、カウンターカラテに対して回避不能となる。

※NMの情報:ヨジロは基本的にシャドウクレインのいる部屋を目指して移動する。

:バールを構えた与次郎が目を血走らせこちらを見ていた。

ヨジロ:「おや、あなた達も来ていたんですか」

ヨジロ:「姉を騙るクソ野郎はいましたか?在宅ならこちらで対処したいのですが」

:与次郎がシャドウクレインの部屋に入った場合、彼女の怒りが限界に達する。ニンジャ性を剥き出しにした彼女は彼を殺した後マップ上にいるモータルを皆殺しにしようとするだろう。またPC陣営のモータルはこのルールで敵対したシャドウクレインに対し『交渉:U-HARD』を行うことで彼女へ回避不能の『精神力ダメージ2』を与えることができる。尚PCたちが前の章で『シャドウクレインの逃走を手伝う』ことに成功していた場合、彼女は邪魔をされない限りPCたちを攻撃しようとはしない。彼女を止めるための交渉判定で有効なスキルは以下の通り。

有効な交渉/知識スキルと増加ダイス:NMはこれに囚われず柔軟に状況判断してもよい。

最も適した交渉スキル(+2):『共感』『超然』『卑屈』『理路整然』
次に適した交渉スキル(+1):『駆け引き』『誘惑』『鼓舞』
最も適した知識スキル(+2):『ストリートの流儀』『公僕の流儀』
次に適した知識スキル(+1):『宗教』『IRCネットワーク』

戦闘描写案

ヨジロ/バール:「どうして邪魔をするんですか!?そこを通してください!」与次郎がバールを振り上げる!

シャドウクレイン/拘束攻撃:影鶴の首がするすると伸び<対象>に迫る。

シャドウクレイン/ロクビ・カトン・ジツ:「カーッ!」影鶴の口から炎が噴き出す!

シャドウクレイン/カナシバリ・ジツ:影鶴の首が<対象のうち1人>の目の前まで伸びその瞳が妖しく光る。

ヨジロ:「お前は、何者だ。何故、僕の愛する姉さんに」

シャドウクレイン:「......よく言う」

シャドウクレイン:「もう限界、終わりにしましょう」

シャドウクレイン:「私はニンジャ。シャドウクレイン」

交渉

:ヨジロを気絶させた場合は代表者1人が『ワザマエ:HARD』での『交渉判定』に挑戦できる。これに成功した場合、彼はシャドウクレインの追跡を諦める。

有効な交渉/知識スキルと増加ダイス:NMはこれに囚われず柔軟に状況判断してもよい。

最も適した交渉スキル(+2):『威圧』『欺き』『超然』『駆け引き』
次に適した交渉スキル(+1):『理路整然』『共感』
最も適した知識スキル(+2):『公僕の流儀』『ヤクザの流儀』『宗教』『古代ニンジャ文明』
次に適した知識スキル(+1):『IRCネットワーク』『犯罪』『オカルト』

:交渉判定に失敗した場合はシャドウクレインが現れヨジロをカイシャクしようとする。これを止めようとした場合は基本的に彼女との戦闘が開始する。

9.結末と報酬

 『襲撃と説得』の処理もしくは『シャドウクレインとの戦闘』が終わり、その後のロールプレイを済ませた時点でこのシナリオは終了である。成功度の基準と得られる報酬は以下の通り。

A+:シャドウクレインの気絶または死亡を確認した:【万札】プール+48
  全員の【名声】が+4される。

A:ヨジロの説得に成功した:【万札】プール+36
  全員の【名声】が+2される。

B:シャドウクレインの情報をヨジロに渡し帰還した/シャドウクレインと敵対せずヨジロを気絶または死亡させた:【万札】プール+24
  全員の【名声】が+1される。

D:ヨジロに敗北した/ヨジロともシャドウクレインとも敵対し逃走した:【万札】プール+0
  【名声】は変動なし。

余暇日数:4日

:このシナリオから生還したモータルPCは『アンセレクテッド・リザレクション判定』を
行ってもよい。この判定は成功数が+1されるためニンジャ化に失敗することはない。
これは誕生したPCを継続PCとして使用しやすくするための措置である。

セッション用Googleスプレッドシート

おまけ.ニンジャ名鑑と簡易ロールプレイガイド

◆忍◆ニンジャ名鑑#XXXX【シャドウクレイン】◆卓◆
ロクビ・ニンジャクランの高位ソウルを宿した若い女性。夜間や感情が昂った際に本人の意思とは無関係に首が伸びる。意識的に首を伸ばすこともでき、その長い首による拘束はニンジャのイクサにおいても油断ならぬ脅威となる。

一人称:「私」敵対:「あなた」味方:「あなた」

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参考資料:「ソウルワイヤード」ダイハードテイルズ

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