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秋古馬三冠~ゼンノロブロイとオペラオー~


秋古馬三冠、まだ2頭しか誕生していない。古馬で最も難しい三冠と言えるだろう。達成したのはゼンノロブロイとテイエムオペラオーの二頭しかいない。三冠馬に関しては8頭もいるのに対して、秋古馬三冠は2頭しかいないのはなぜなのだろうか。
まず秋古馬三冠を達成したときにお金が貰えるシステムが出来たのが2000年であること、古馬や油の乗った3歳馬と対戦しなければならないこと、同時期に凱旋門賞やマイルチャンピオンシップなどのレースがあることにより馬が分散することなどが言える。さらにコース自体も中山と東京の2種類しかなく、小回り・右回りのコースでコーナリングが要求される中山と、左周りのコースで直線が長い東京というコースの違いといった難しさもある。さらにこれまた難しい要件となるのが3ヶ月の間にG1級の戦いを3戦しなければならないという厳しい条件もあり、多くの馬はジャパンカップと有馬だけだったり、去年のアーモンドアイのように天秋とジャパンカップのようなローテーションであったり、あるいは去年のフィエールマンやクロノジェネシスのように天秋から有馬のようなローテーションを組んだりする。ちなみに秋古馬全戦参戦したキセキは全戦馬券外ときびしい結果になった。(とはいえ彼も頑張っているのだが…)
そんな秋古馬三冠の熾烈なスケジュールと対戦相手を見れば、1勝出来るだけでもかなりの名馬なのにそれを3連勝するのはそうとうヤバい馬と言えるだろう。今回はそんな馬について解説していこうと思う。
まずはテイエムオペラオーだ。テイエムオペラオーは天皇賞秋ではメジロマックイーンやトウカイテイオーすら敵わなかった『一番人気の馬は天皇賞秋で負ける』というジンクスをはねのけた馬だ。このジンクスはニッポーテイオー以来12年間続いた。そんなジンクスをはねのけた時点でオペラオーの秋古馬三冠は当確のようなものだったのかもしれない。ちなみにオペラオーの単勝オッズは年間無敗にもかかわらず、2.4倍。オペラオーの主戦和田が東京未勝利だったことも影響したのだろうか。それにしても舐めすぎなオッズであった。
次戦のジャパンカップには、3歳牡馬で二冠馬のエアシャカール、ダービー馬アグネスフライト、そしてステイゴールドなどがおり、待ち受けるは後に世界的名種牡馬ガリレオに芝で唯一勝つことになるファンタスティックライトが立ち塞がった。がここも難なく快勝。
そしてラストの有馬記念。テイエムオペラオーは馬群に包囲網をしかれ絶体絶命のピンチを迎えることになる。しかしテイエムオペラオーは馬群をモーセのように切り裂き一着にハナ差で勝った。日本で一番実力差を見せつけるハナ差であった。
次にゼンノロブロイである。ゼンノロブロイがG1で一着になったのはこのレースしかないし、それ以降はパッとしない成績で善戦が続いた。しかしながら、3ヶ月で秋古馬3回勝つというレースはそう出来るものではない。
天皇賞秋はダンスインザムードやアドマイヤグルーヴ、そしてテレグノシスやヒシミラクル、ツルマルボーイといったG1馬に勝ち、上がり最速で難なく勝利を得た。
ジャパンカップは、ディープインパクトを破ったハーツクライや、海外の実力馬を差し置いて難なく3馬身差の圧勝。上がりはまたも最速でサンデー産駒のキレを存分に発揮した。
そして有馬記念では、好位追走であの脅威の逃げ馬タップダンスシチーをマークして、直線に入ると最後はかわして堂々の秋古馬三冠達成を成し遂げた。
ちなみにコースレコードでの勝利であり、タイムは2:29.5のレコードタイムである。そしてこのタイムは2021年8月現在破られていない。すごいレコードであることは確かだろう。
このように見るとテイエムオペラオーもゼンノロブロイもすごい名馬であることは確かである。事実無敵に思われたキタサンブラックも春古馬三冠も秋古馬三冠もあとちょっとのところで逃してしまった。それぐらい古馬での三冠はレベルも上がるのでかなり難しい。強い馬は確かに強いが、勝ち続けられるほど甘くはないのが競馬である。
とあるユーザーはゼンノロブロイやテイエムオペラオーが地味だ、あまり強くないという言論が目立つがそれは大いなる間違いと勘違いをしている。G1勝っただけでもその馬は十分な名馬だと言えるし、直近の例を見ても『勝ち続ける』のは難しいものなのだ。秋古馬三冠は他の名馬と比べると確かに地味かもしれない。でも勝者であり続けることは地味ではないし、それは誇り高き栄光なのではと私は思う。

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