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現代アート経済学II 脱石油・AI・仮想通貨時代のアート 宮津 大輔 (著) #塚本本棚

1グラム7000万、アートは最も持ち運びがしやすい部類の資産ですね

今日は「現代アート経済学II 脱石油・AI・仮想通貨時代のアート( https://amzn.to/31Y4iOm )」宮津 大輔 (著) #塚本本棚

日本有数のコレクターの一人である宮津氏の新刊です。

中国の好景気によって生まれた富豪たちによるアート市場の活況、アメリカの一つの州の財政難すら払しょく可能なその資産価値、息をのむ資産規模数千億円~の超富裕層たちのアートに対する狂騒の様子など、現在のアート界の動きについて知ることが出来ます。

お金は刷ることが出来ますが、ダヴィンチの絵画はもう増えません。天井知らずに値が上がるのも頷けますが、”高いものほどよく上がる”アートの世界では、僕みたいな庶民に手の届く”勝ち確”アートなどありません。

アートに関しては、その価格形成のプロセスのゆがみにより、プライマリーのプライスが安く、画家がそれほど裕福になれないというのが非常に問題だなぁと思います。

これが株式会社ならIPO直後の売買益がかなり強力なので一気に初期の株主は報われるのですが、アート業界はそうではありません。

まずアートは寝かせてなんぼなので、徐々に評価されてプライマリーでも高値を付けられるようになるのはかなり先で、アーティストが裕福になるのは数十年後という感じ(草間さんも、村上さんもそんな感じ)。

常に自分の内面や美術史への問いかけが必要で、かなりのハードゲームだなぁと感じます。

買う側としては、利益が出やすいものは超高額で買えず、無名のものはギャンブルで、投資商品としてのアートを見た時には、”資産数百億以上の資産家のポートフォリオの片隅にあるべきもの”のように最近は感じます。

【本を読んで考えた・メモ】
・若いアーティストのプライマリーを買うという行為は、”IPO直後のよくわからないスタートアップの株を20年持つ覚悟で買う”行為に等しい。流動性もないし、デューデリも難しいのがアートのプライマリーマーケットではないか

・2018年頃に主に執筆されており、ビットコインに関しての見解は今読むとやや楽観的かなと思う。2020年4月出版の本だが、コロナも織り込んでおらず、出版までに絵画の著作権の関係で苦労があったのかななどと感じた


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