その姿は永遠に・・・

ミノリは親友のレイコと
高田馬場のカフェで過ごしている

「へぇー。ミノリってライブハウスで働くんだ」

「働くって言ってもバイトでたまに入るだけなんだけどね」

「ミノリもライブしたりするの?」

「私は出ないよ。バーカウンターでお酒を作るだけ」

「なんだ。ライブに出るなら見に行こうと思ったのに」

「来てよ来てよ!面白いよ!」

「んー。考えとく」

「でさ、今後はSNSとかで告知とかするようになるんだけど
プロフィールやアイコン用に写真が必要なんだ
レイコ。撮ってくれる?」

「それって自撮りとかじゃダメなの?」

「自撮りだとなんかイマイチだし
自分で撮るの面倒なんだよね」

「私、あんまり写真撮らないから、センス無いと思うよ」

「物は試しよ。とりあえず撮って!」

「んー。まぁ、いいけど・・・。」

「じゃあ早速。ここで。ドリンク飲んでる私をよろしく♪」

「あぁ。だからそんな映えるパフェ頼んでいたのねw」

「そうそうw。」

「フレームも使う?猫耳ので良い?」

「うん。それ可愛い!!」

レイコは何枚かの写真を撮った

「ねぇねぇ。どんな感じ?」

「んー。どうだろう?」

「わぁ!よく撮れてるじゃん!」

「そう?それなら良かったけど・・・」

「あれ?」

「何?」

「なんでここに猫耳浮いちゃっているんだろう?」

「え?」

写真を見るとミノリの後ろの方に小さく猫耳のフレームが浮いている

「んー。後ろの人にもピントが合っちゃったのかな?」

「でも、ここ人なんかいないじゃん」

「え?でもここ。うっすら人っぽく見えない?」

「そう?・・・あ。言われてみれば・・・」

「これって・・・まさか・・・心霊写真?」

「止めてよ!私そういうの怖くて嫌いなんだから!」

「でも・・・やっぱりこれ・・・」

「そもそもデジタルに霊って映るの?!」

「貞子はビデオにも映ってたわよ」

「それは作り話でしょ!」

「あ。よく見たらこっちの写真にも写ってる」

「嘘!ここって心霊スポットなの?」

「んー。そう思ってみると・・・
なんかみんなそんな風に見えてくるわね・・・」

「もう!場所変えよう!」

二人はカフェを出て、写真に向きそうな場所を探しに出た


「ここなんてどう?可愛い雑貨屋さん♪」

「じゃあとりあえず入口から撮っていくね」

「どう?」

レイコはいぶかしげな顔をしている

「どうしたの?あれ?これ・・・」

「んー。なんかお店の方からゆがんだ何かが出てる感じがするよね」

「なんで?!こんな可愛い雑貨屋さんなのに!」

「雑貨って民芸品とかもあるじゃない。
もしかしたらその中に霊的な物が・・・」

「次行こう!」


「ここはどう?幼稚園の子供たちが後ろで遊んでいる感じで♪」

「あ。あっちに墓場があるわよ
そういえば幼稚園ってお寺の住職が経営してること多いよね」

「次!」


「もう!なんでこう、どこもかしこも霊がいるの?!」

「考えてみたら人類数十億人。毎日どこかで誰かが死んでいるわけで
それが消えずに積み重なっていったら
人の住んでいるような場所は
あちこちにいるのも仕方がない気がするわね」


「じゃあこの何の変哲もない道路ならどう?周りに人家もないし」

「あ・・・。これ・・・」

「わぁ!かわいい猫♪
って、猫の幽霊?!猫まで映るの?!」

「交通事故で猫が死ぬってことはよくありそうね」

「次ーっ!」


「この公園とかどう?
人が住んでいるわけじゃないし
猫にも犬にも安全そう!」

「それじゃあ撮ってみるね」

「どう?」

「あっ・・・」

「きゃっ!なにこれ?!」

「ちょっとまって。ここ。昔に空襲があった場所だ。ほら」

レイコはスマホの検索ページをミノリに見せた

「空襲って、そんな昔の霊まで映るの?」

「よく『落ち武者の霊』ってあるじゃない。
落ち武者って戦国時代だから400年くらい前までは映るんじゃない?」

「そんな昔のまで映ったら、どこでも誰かは死んでるよ!」


「ここ!ここならどう?河原沿いの野球グラウンド
見晴らしも良いし」

「とりあえず戦禍は無いみたいね
でも河原のそばだから水死の可能性が・・・」

レイコはスマホで確認をした

「なんでプロフィール写真撮るために
戦禍や事故歴を調べなくちゃいけないのよ・・・」

「OK!ここは何にもなさそうよ!」

「良かった!じゃあ撮って撮って!」

何枚か写真を撮ってみる

「どう?どう?!」

「よく撮れてる!。やっとだね!」

「良かったぁ!」

「あれ?」

「何よ!もう!今度は何?!」

「このすごく遠く後ろに・・・」

「あ!なにこれ?!大きな物影??」

「生き物?こんなに大きな??」

「怪獣?!ゴジラとか?!」

「怪獣なんているわけないと思うんだけど」

「幽霊がいるのに、怪獣がいないとも限らないじゃない!
ダイダラボッチみたいな妖怪ならいるかも!」

「んー。それよりむしろ・・・恐竜・・・じゃないかな?」

「恐竜に霊なんてあるの?!」

「そりゃ生き物だからあるんじゃない?
妖怪の可能性よりかは高くない?」

「妖怪の存在と恐竜の幽霊の可能性なんて
どっちもどっち!
そもそも恐竜なんて、いったいいつの話よ」

「白亜紀後期ね」

「白亜紀って・・・いつよ・・・」

「あ、まって!これってティラノサウルスじゃない?!」

「恐竜の種類なんてどうでも良いよ!」

「ティラノサウルスってアメリカの恐竜なのよ!
それが日本にもいたなら、これは歴史的発見よ!」

「恐竜の霊がいること自体が歴史的発見じゃないの?!」

「1996年。福井県でも化石が出た例がある。
ティラノサウルスのアジア起源説が濃厚になってきたわね」

「化石ならともかく幽霊は証拠にならないと思いますけどね!」

「幽霊がいるならばそこを掘り起こせば化石が・・・」

「レイコは考古学者にでもなるつもり?!
それより写真どうするのよ。あんな大きなものまで映るなら
どこで撮れば良いのよ?!」

「逆に見通しの悪いところかな
山の木々が生い茂ったところとか」

「それいいかも!自然の中って雰囲気良いしね!
人もそんなにいないだろうから、霊とかいなさそうだし」


二人は山の中腹に来てみた

「ねぇ。今気づいたんだけど・・・」

「もう・・・言わないで・・・」

「人通りが少ないってことは・・・自殺の名所なんだね」

何枚か撮ってみたが、どれにも霊がバッチリ映っていた

「まだあきらめちゃダメ。もっと奥に行けば」

しばらく歩いていくと見晴らしの良い高台が見えてきた

まずは試しに何枚か撮ってみる

「ねぇ!ここ!大丈夫じゃない?!」

「そうね。何にも映ってないわ。
それに風景も素敵」

「やっといい場所を見つけたわね
ここで何枚か撮っちゃお!」

そう言ってミノリ達は写真を撮っていく

「うん。いい感じ!何も映ってない!」

「映ってないわ!素敵!」

「映ってない!これも映ってない!最高!」

「ミノリ!あんまり端に行くのは危ないわよ!」

「大丈夫よ。ちゃんと柵もあるし♪」

そう言いながらミノリは柵にもたれかかった

すると、その次の瞬間・・・

「あっ!」

柵はボロリと崩れ落ちていった

「ミノリぃー!!」

「きゃーぁぁぁ!!」

・・・。

その日から
また霊の写る場所が
一つ増えた・・・。

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