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統計検定1級受検を振り返って(前編)

2023年11月19日、統計検定(1級)を受検しました。そこで、受検に至った経緯やその準備(統計学の勉強)、試験当日のこと等について振り返ってみたいと思います。
統計検定を目指している方、受検を検討している方はお時間があれば、お読みいただければ幸いです。


1. 統計検定を目指したきっかけ

このnoteでは、趣味で作成した数学検定1級の模擬試験を中心に投稿していますが、私の本職は病院勤務の医師で、数学や統計学が専門というわけではありません。受験の時は算数・数学は得意科目で得点源としていましたが、大学入学以降は数学とは縁遠い生活を送っていました。

数学を再び学ぶようになったきっかけは色々ありますが、仕事が落ち着いて余裕が出来たことが大きいでしょうか。以前は新しい仕事を覚え、それをこなしていくことでいっぱいでしたが、スキルが上がり、経験を積むことによって同じ業務でも短時間でこなせるようになった。そのおかげで生じた余暇に何かに取り組んでみよう、と思ったことの一つが数学でした。
2018年に数学検定1級に合格した後は他のことに熱中してましたが、数学の学習も継続していました。そして、2021年7月から現在まで、数学検定1級を継続的に受検しています。統計検定なるものがあることはその頃に知りました。

私が統計検定チャレンジを考えたのは2022年の12月頃です。X(当時Twitter)のタイムラインに「統計検定1級合格」を報告するツイートが流れてきました。検索をかけてみると様々な方がブログで統計検定受検の体験記を執筆されており、それらを拝見して自分も「頑張ったら合格できるかも」と思いました。もちろん、統計検定1級はかなりの難関資格で、「ちょっと頑張った」ぐらいで取得出来るわけではありませんが、1年間あれば何とかなるだろう、と考えたのでした。

要するに統計検定挑戦を決めたきっかけは、統計学の知識を仕事に役立てよう、とか、資格を取得してキャリアアップや転職を目指そう、とかいった高尚な動機ではなく、100%趣味です。統計学の知識を身にけたからといってキャリアアップにはまず繋がりませんし、転職しようという野心もありません。

2. 2級レベルはあっさりクリア

調べてみると、統計検定は2級=大学基礎レベル、1級=大学専門レベル、準1級は両者の中間ぐらいであることが分かりました。私は既に数検1級を取得しているので、大学基礎レベルの2級はいけるだろう、挑戦するなら準1級からかな、と考えました。

まず力試しに2級の過去問をやってみました。最初に2021年の過去問をやってみるとちょうど6割、ギリギリ合格ラインでした。「2級でも結構難しいなあ」と思いましたが、他の年度をやってみるともう少し点が取れ(後で知ったのですが、2021年の統計検定2級の問題は飛び抜けて難しいようです)、入手した過去問を一通りやり終わる頃には、8~9割正解出来るようになりました。

3. しかし、準1級の勉強は茨の道

2級は受けるまでもないだろう、と考え、2023年11月に1級を受けるところから逆算して5月ぐらいに準1級を受けてみよう、というつもりで勉強開始しました。2級用には特に参考書は準備しませんでしたが、準1級対策として、公式テキストを購入しました。

最初のうちは順調でしたが、巷間伝えられる通り、このテキストはとにかく難解。何度も挫折しては再挑戦、の繰り返しでなかなか先へ進むことが出来ませんでした。
当初の予定通りには準1級範囲を終えることが出来ず、結局準1級対策は途中で打ち切り、準1級受験も断念。7月頃から1級の勉強を開始することにしました。

4. 見切り発車で1級対策をスタート

1級の対策用に2冊の書籍を購入しました。

前者は統計検定1級の公式テキスト、後者も統計検定対策用として名高い教科書で、改めて紹介するまでもないでしょう。しかし、仕事がまあまあ忙しかったことや自分のモチベーションが上がらなかったこともあり、勉強が進まないままタイムリミットが迫ってきました。
2023年は受検を見送ろうかとも考えましたが、合格出来なくても一回受検を経験しておけば、何かしら得るものがあって次につながるだろう、と半ば記念受検のつもりで申し込みました。

受検を出願する時点で、統計数理の対策は比較的進んでいたものの、統計応用の対策は全くでしたので、応用分野はどれを選択するかで少し迷いました。統計検定1級は「統計数理」と「統計応用」からなり、両方に合格すると「1級」に認定されます。「統計応用」には「人文科学」「社会科学」「理工学」「医薬生物学」の4分野があり、出願時に1分野を選択します。自分の専門分野で勝負するのなら「医薬生物学」ですが、ここは少し迷いました。「理工学」が統計数理と出題内容が被るので対策し易い、と言われており、それも検討しましたが、「理工学」の過去問を眺めてもあまり出来そうに無かったし、「医薬生物学」の過去問は、「生存分析」と「検査精度(感度・特異度など)」に関連したトピックが頻出で、そこに絞っての対策なら短期間で出来るのでは、と考え、「医薬生物学」で申し込みました。

出願した時点で試験本番まで40日余り。もう教科書を使って網羅的に学習していては間に合わない時期になっていました。ですので、せっかく1級用にテキストを購入しましたが、それらは殆ど活用せず、過去問を中心に据えて学習しました。

過去問と自作答案

分からない問題は、教科書やネット上のサイトを参照して解く、という作業を繰り返し、分からないところを潰していきました。しかし、時間が無いとは言っても公式を丸暗記することは避け、少々時間をかけても「理解する」「公式は自分で導出する」ことに努めました。試験本番までに概ね統計数理は2周、統計応用(医薬生物学のみ)は1周やりました。すべての過去問を解ける、とまではゆかないものの、1セット5問中、統計数理は3~4問、統計応用は2~3問解けるようになり、統計数理は「大きな計算ミスをしなければ何とかなるかも」、統計応用は「順当にいけば不合格だが、上手くいったらワンチャンあるかも」、ぐらいの自己評価の状態で試験本番を迎えました。ただし、時間を測っての問題演習は全く出来てませんでしたので、もたついてたら何も書けないうちに時間終了してしまう、という可能性もあるな、と考えていました。

(続く)

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