見出し画像

統計検定1級受検を振り返って(後編)

長々と綴ってきた「統計検定1級」体験記。その最終回です。


1.いよいよ結果発表

試験翌日に公式ホームページで略解が発表されましたが、全く見ませんでした。略解を見て自己採点しても、どれ位点数がもらえるか分からず、合否を予想することはほぼ不可能。それなら、結果は発表当日のお楽しみにしておこうと考えました。
12月18日月曜日、勤務の合間にX(旧Twitter)を眺めていると、合否結果が発表されたらしいことが分かりました。しかし、すぐには見ないで、帰宅してから結果を確認することにしました。

そして帰宅後、自宅でPCを開いて確認。

まず、「統計数理」から結果を確認すると、自分の受験番号がありました。あまり期待しないで成績優秀者の方も確認してみたところ、評価Sではなかったものの、評価Aが与えられていました。
「統計数理」の結果ファイルをダウンロードしてから、受験票に記された自分の受験番号と合格者の受験番号一覧を何度も確認しました。

そして、「統計応用」の結果を見にいきました。こちらも合格しており、さらに優秀成績賞(評価A)までもらいました。統計応用は「上手くいけばギリギリ合格しているかな」という程度の感触だったので、まさか優秀成績者に選ばれるとは思いませんでした。

後日、郵送されてきた優秀成績賞

2.合格確認後、ようやく自己採点

合格発表の翌日、公式サイトからダウンロードしていた略解ファイルを開き、答え合わせしました。試験から1カ月ぐらい経っていたので、自分の記述した答案の記憶が曖昧になっていましたが、採点結果は概ね以下の通りでした。

統計数理
問1 [1]〇 [2]〇 [3]〇 [4]○ [5]? [6]✕
問2 [1]○? [2]○ [3]〇 [4]○
問3 [1]〇 [2]〇 [3]〇 [4]✕ [5]✕

問1[5]「一致推定量である」を示すところは、公式発表の略解ではチェビシェフの不等式を用いて証明されていましたが、分散の極限値が0になることを示すだけでもOKかも知れません(https://bellcurve.jp/statistics/blog/16168.html参照)。私は後者の方法で解答しました。
問1[6]「漸近相対効率」は全く知らなかったので適当に書いてみましたが、惜しい答えでした(分散の比の極限値、というところまでは合っていたが、分子と分母を逆にしてしまった)。
問2[1]カイ2乗分布のグラフはアバウトに描いたので、どのくらい点がもらえているか分かりません。

「統計数理の優秀成績賞(評価A)のボーダーラインは80~85%」とか言われてるようですが、私はそんなに出来てないと思います。

統計応用(医薬生物学)
問1 [1]〇 [2]〇 [3]〇 [4]✕ [5]○
問2 [1]〇 [2]〇 [3]〇 [4]○ [5]?
問5 [1]? [2]〇 [3]✕ [4]○

終了直後は「5割強ぐらいの出来」と思いましたが、自己採点結果からはもう少し取れてそうです。
問2 [5]一応答えを書きましたが、正解かどうか分かりません(何と書いたか記憶にない)。

3.統計検定受検する方へ

私が初めての統計検定1級受検で合格、しかも優秀成績賞までもらえたのは幸運としか言いようがありませんが、もちろん運だけで勝ち取れたわけではありません。今回の体験を通じて、私が統計検定1級攻略に成功した要因と思うことを書いていきます。

やはり数学力が大事

統計検定1級攻略には言うまでもなく、数学の知識が必要です。高校数学の内容だけでは不十分で、少なくとも大学初年度に学ぶ微分積分学、線形代数学の知識までは必須と考えます。
私は数学検定1級を継続的に受検し、今までに6回合格している「数学オタク」です。もちろん、この経験が今回の統計検定攻略に大いに役立ちました。そんな私でさえ、微分積分で困ることは殆どなかったものの、線形代数の習熟度はまだまだ足りないな、と感じました(特に多変量解析では、線形代数が大活躍する)。
数学の実力はいくらあっても困ることはありません。

過去問中心の学習

「現代数理統計学の基礎」などの教科書にじっくり取り組む時間が無くなってしまい、いわば苦肉の策であった「過去問中心」の学習でしたが、結果的にはこれが奏功しました。
「統計検定」問題作成スタッフはよほど優秀なのでしょうか、良質な問題が揃っている、と定評があります。私は問題のクオリティを論じるほど統計学に明るくありませんが、それでも「過去問演習を通じて統計学の知識・理解を深めることが出来た」と実感しています。

「広く浅く」より「範囲を絞って深く」学習

統計検定準1級や1級の出題範囲はかなり広いので、試験範囲を網羅的に学習するのは大変です。しかも1級は論述式試験で、統計学の手法や公式を使いこなせるだけでなく、その背後にある理論まで理解していることが求められます。しかし、1級の試験は出題された問題をすべて解くのではなく、5題のうち3題を選択する形式です。あんまりよく分かっていないトピックは捨て、得意なトピックに絞って学習するのもアリだと思います。

4.終わりに

軽いノリで書き始めた体験記でしたが、前中後編合わせて7000字超の長文となってしまいました。
これらの記事通り実践したら統計検定1級合格に近付くでしょうか。残念ながらそうではないと思います。本記事に書いたことは、あくまで一個人の成功体験に過ぎません。私は統計検定の他にも様々な検定試験に挑戦してきており、それらの経験を通じて、自分がどのような学習方法が合っているのかをよく分かっています。今回の統計検定受検に際しても、色々な方の体験記を拝見しましたが、決して真似したわけではありません。自分なりに取捨選択し、自分なりのスタイルで学習してきました。皆さんも是非、自分自身の学習スタイルを見付けて下さい。本記事が少しでもその手助けになれば幸いです。
最後になりましたが、超長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(完)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?