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統計検定1級受検を振り返って(中編)

2023年11月に受検した統計検定1級の体験記。2回目の今回は、試験当日のことを振り返っていきます。当日に受検した問題はこちら

1.試験当日~統計数理編~

統計検定は受検会場が全国に数カ所しかなく、各都道府県に設置されているわけではありません。お隣の大阪まで出かけて受検しました。
会場は数百人入れる大学の大教室でした。受検者は案の定、圧倒的に男性優位で、少なくとも90%以上は男性でした。それでも意外に女性が多いな、と思いましたが。
試験時間は統計数理、統計応用とも90分ずつで、前者が午前中、後者が午後から行われます。試験は出題される問題をすべて解くのではなく、5題出題される問題の中から3問を選択する方式です。どんな問題でも解けるごく一部の猛者を除き、殆どの受検者にとって問題のチョイスは重要です。かといって、問題選びに時間をかけ過ぎるわけにもゆきません。そこで、私は過去問の研究から問題選択に関してある戦略を立てていました。
若干の例外はあるものの、統計数理の過去の出題では、概ね取り組みやすい(=点の取れそうな)順に並んでいました。これは、私が教科書の前半に記載されている確率分布や変数変換などの事項を手厚く学習し、後ろの方はあまり勉強出来なかったこともその理由として挙げられると思います。
というわけで、統計数理は、問1から順に解いていく。無理そうならば次の問題に進んでも良いが、問5は捨てて、問1~問4から3題を選択しようと決めていました。
幸い、問1~問3には完答出来るか否かは分からないものの、前半にはすぐに解けそうな問題が並んでいたので、これらを選択しました。そのお陰で、問題選択に時間を浪費することなく、問題を解くことに集中できました。

問1 ポアソン分布の不偏推定量と一致推定量

全部で6つある小問のうち、[5]まで出来ましたが、最後の問題[6]は「漸近相対効率」なる初見の用語がありました。何のことか分からなかったので適当に書いてお茶を濁しましたが、そこまでは出来た、と思いました。

問2 カイ二乗分布と逆関数法

小問[1]のグラフは、どこまで正確さを求めているのかよく分からないのですが、あまり時間をかけずにさっと描きました。2問目の証明問題はちょっとだけ手こずりましたが、それをクリアした後はすんなりと最後まで解けました。「本当にこれでいいのだろうか。何か引っ掛けがあるんじゃないか」と思ったぐらいでした。

問3 指数分布とモーメント母関数

最後まで解けそうにありませんでしたが、前半は難なく解けそうでした。問1と問2である程度貯金出来ているはずだから、半分ぐらい解けたら合格点に達するだろう、とこれも選択しました。
後半の証明問題と格闘しているうちに試験終了となりました。

自分としては問1は7割、問2は9割、問3は5割程度、全体では7割ほど取れたはずなので、合格ラインに達したかな、でも計算ミスや大きな勘違いをしていたら分からないな、という手応えでした。

2.試験当日~統計応用(医薬生物学)編~

昼食休憩後、統計応用の開始。こちらの方も試験前から問題選択に関してある作戦を立てていました。
問1~問4は各分野独自の問題ですが、問5は「共通問題」となっており、どの分野を選択した受検者にも同一の問題が与えられます。過去問を解いていると、「共通問題」は比較的取り組みやすい傾向にあることが分かりました(「共通問題」は、全分野を通じて重要なトピックを題材にした出題になることが、その理由だと思います)。ですので、問5は必ず選択し、問1~4から残りの2問を選ぶ、という方針で挑みました。

問5 モンティ・ホール問題とベイズ統計

最初に取り組んだ共通問題は、有名な「モンティ・ホール問題」をネタにした出題でした。モンティ・ホール問題についてはある程度の予備知識は持っていましたが、その予備知識が役立つ小問は残念ながら1つだけでした。
結局、後半の問題は出来ず、一旦諦めて他の問題に取り組むことにしました。この時は事前に立てた作戦が空振りし、「統計応用の合格は厳しそうだな」と感じました。

問1 クロス集計表とロジスティック回帰モデル

5つの小問から構成されていました。難しそうでしたが、問題文をよく読めば前半は高度な統計学的・数学的知識を要求される問題ではありませんでした。小問[4]は分かりませんでしたが、それ以外の4問は解答しました。

問2 生存時間解析(打ち切りなし)と検出力

生存時間解析は、医薬生物学統計に必須のツールで統計検定でも頻出ですので、それなりに対策してきました。どちらかと言えば数理統計寄りの出題でその対策が役立ったわけではありませんが、一応最後まで解くことが出来ました。

問5 モンティ・ホール問題とベイズ統計再び

残った時間で出来なかった問5の後半を考えました。結局、小問[3]は最後まで出来なかったものの、小問[4]は残り10分ほどで何とか答えを出すことが出来ました。しかし、終了1分前に計算ミスをしていることに気付き、「終了です」のコールを聞きながら、書き殴って何とか修正しました。


統計応用が終わった時は「全体で5割強ぐらいかな」という感触でした。合格の目安は6割と言われていますが、ボーダーラインが下がればもしかしたら合格出来るのでは、という感触でした。
しかし、今回は特に統計応用分野の方が準備不足で、まだまだ確実に合格出来る実力はついていない、と認識していました。ですので「思ったよりも出来たし、現時点の自分の実力は十分に出せた」と、ある程度の達成感を感じながら帰途に着きました。

(続く)

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