小山ふじ

1985年生まれ

小山ふじ

1985年生まれ

最近の記事

ゆくえ

終電の迫るころ 横断歩道を にぎやかに 駆け抜ける若者たち 彼は 両脇の二人に抱えられるようにして 声をあげ 笑っている 顎を夜空に向けてはしゃぎながら 右手にはかたく 白杖が握られている いつもは慎重に 踏みしめているだろう スニーカーの底 今はなんと軽やかなことか 杖の先は 都会の生温かい夜闇を 切りひらくように しろく 踊る あぶなっかしい 心もとない けれどそのしなやかな一筋の 今はなんと自由なことか 誰だって どこへだって 行ける 誰のゆる

    • 虫の知らせはこなかった

      さくらももこさんが亡くなった。 ちびまる子ちゃんもコジコジもいいけれど、なによりエッセイを好んで読んでいた。 「装丁」ということばを知ったのも、さくらももこさんの『あのころ』がきっかけだった(担当されているのは、祖父江慎さんです)。 ガウディに憧れたのも、さくらさんの受け売りだった。 『あのころ』から始まるシリーズ三部作が発売されたのは、小学校高学年のころ。 「おもしろい!」と、いたく感動したものの、わたしには勧める友だちもいなくて、読み終わったあとに担任の先生に貸し

      • 無課金で(ネット生活を)プレイする part1

        noteのマイページのヘッダーと、ロゴを設定してみた。 ヘッダーの写真は写真AC様(https://www.photo-ac.com/)から。 ロゴはhatchful様(https://hatchful.shopify.com/)で。 (※法人名ではないので、サイト名に敬称をつけるのは不自然かもしれないけれど、私がしうる感謝と敬意を最大限に込めて、そうします。) どちらも無料で素材をダウンロードすることができる。 便利だし、hatchful様のロゴに関しては、ツイートでも

        • 手っ取り早くWEBマーケティング勉強したくて、登録してみた! 簡単な設問もあって、やる気でる! https://ferret-plus.com/

          書きたいなら、話したいのなら

          10年ほど前に、とある大学の文学部を卒業した。 わたしは、文学が世界一贅沢な学問だと思っている。 (お気を悪くされた他学部の皆さま、ぐっとこらえて、良かったら続きを読んでやってください) 文学部の永遠のテーマは、「人としていかに生きるか」を探求することである。 ただし、その問いの答えは、偉大な先人たちが出し尽くしてしまっていて、若輩者がひいひい言って辿りついたところには、大抵だれかの旗が立っている。 そうとわかっていても、足跡だらけの山を登りながら、「思想×時代性」の掛け算

          書きたいなら、話したいのなら

          らしからぬ美学

          とあるマッサージ店から、いつもと趣きの異なるメルマガが届いた。 タイトルはこうだ。 ”【注意!】お祭りで賑やかな日があります!” 要は、「お囃子なんかがお店の中まで聞こえてくるので、いつものように静かではないですが、それでも良ければ来てくださいね」というお知らせなのだった。 へえぇ、と唸ってしまった。 メルマガといえば、「キャンペーン中!」「〇〇日までの期間限定!」といったふれ込みで、お客を呼び寄せるものだと思っていたから。 たしかに、波の音のBGMに包まれてうとう

          らしからぬ美学

          自分のことばで飛び起きる

          ついつい、ぐうたらしてしまう。 ごはんを食べたあとの皿洗いや、洗濯物を干す作業。 ぐうたらというか、「ちょっと今は気分じゃないな」とか「5分だけ横になってから始めよう」という自分の内側の声に素直なのだ。 素直なのはいいとして、「ちょっと今」が「ちょっと」の範疇に収まったためしはないし、「5分だけ」もそうだ。 先延ばしにしても、結局自分がやるまでそのままなので、最近は、自分にひと声かけて重い腰を上げることにしている。 皿洗いの場合:「明日の朝も当たり前に水が出ると思うなよ

          自分のことばで飛び起きる

          ナポリタンの醤油

          人一倍、食べることが好きなくせに、ひとり暮らしをするまで、ろくに料理をしたことがなかった。 たしか社会人3年目くらいの頃に家を出、はじめて自炊らしい自炊をして作ったものはパスタ。ケチャップさえあればそれなりの味になりそうな、ナポリタンに挑戦してみた。 意気揚々と麺を茹で、ピーマンだのソーセージだのを炒め、半端に舌の肥えた料理初心者がやりがちな、自己流エッセンス(このときはホールトマトやコンソメを投入…よせばいいのに)も加える。 だが見た目も味も、舌が記憶しているあの味に

          ナポリタンの醤油