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【Bリーグ】チームスタッツで振り返る21~22シーズン 熊本ヴォルターズ編

積極補強で3シーズンぶりのPOに返り咲く

シーズン成績

元々B2プレーオフの常連で、あと一歩のところでB1昇格を逃していたイメージも強い熊本でしたが、ここ2シーズンは勝率を大きく下げ、プレーオフ進出すら逃すというチーム状況でした。そんな中、新シーズンに向けて大幅補強を実施。B1でもエース級の成績を残していたLJ・ピーク選手と、ジョーダン・ハミルトン選手を獲得し、外国籍の強化に成功します。日本人選手については、石川選手の退団はあったものの、広島から古野選手を獲得し、コアメンバーは継続。「今シーズンこそはB1昇格を」という運営の気持ちが伝わってくるオフでした。

前評判通り開幕節を連勝で飾った熊本ですが、その後順調に勝ち星を重ねたかというとそうではなく、ちょこちょこと試合を落とす場面が序盤は目立ちます。というのも、ハミルトン選手が負傷で離脱。その後も故障者が断続的に発生し、なかなかフルメンバーが揃わないシーズンを送ることになります。しかし流石に地力の高さを見せ、プレーオフ圏内はしっかりと確保。西地区首位こそ香川に譲ったものの、地区2位で3シーズンぶりのB2プレーオフ進出を決めます。

PO初戦の相手は同地区の西宮。持ち前の攻撃力で初戦を白星で飾ると、2戦目はダブルオーバータイムの死闘を制し、2連勝で準決勝に進出。あと2勝でB1進出というところに来ます。続く準決勝の相手は、熊本と同じく積極補強で戦力を大幅アップさせ東地区を制したFE名古屋。アウェイの地で必死に戦うものの、相手のオフェンス力の前に屈し、またしてもB1昇格を逃す形となってしまいました。さらに追い討ちをかけるように、3位決定戦はコロナにより不戦敗。久々のPO進出に喜びも多いシーズンでしたが、悔しさの残るシーズンの締めくくりとなりました。

ベーシックスタッツ

各種チームスタッツは下記の通り。前年の数値と、リーグ内での順位も記載しています。なんとなく強みと弱みがわかるように、絵文字で装飾してみました。

ベーシックスタッツ

破壊力抜群のオフェンス力

昨シーズンからの比較で見ると、オフェンスもディフェンスも大幅改善しており、華やかな並びになっています。特にオフェンスの破壊力が抜群で、平均得点が1位であることを筆頭に、FG成功数、試投数、成功率がリーグ1位。成功率の高いシュートをリーグで1番放ち、そして沈めるという、アンストッパブルなオフェンススタイルが浮かび上がってきます。

数少ない数字を下げている項目が、フリースロー関連の数字。ただ正直、他の項目の上げを踏まえると全く無風といった状況ではあるのですが。今シーズンはチーム全体でフリースローが低調で、成功率8割にとどいている選手が一人もいませんでした。

リバウンドも大幅改善

メンバー的にリバウンドに強みがある印象はなかったのですが、スタッツ的に見ると、オフェンスリバウンドもディフェンスリバウンドも大きく改善しています。スタッツを引っ張ったのは、ジョーダン・ハミルトン選手と、ベンジャミン・ローソン選手。他、SFやガードポジションの選手達も平均リバウンド数は悪くなく、全員で積極的にリバウンドを取りに行っていたようです。


アドバンスドスタッツ

小難しいことは私も分からないのですが、アドバンスドスタッツを見るとより特徴が見えてくるらしいです。一応補足説明を簡単に書いていますが、詳細は各自で調べてもらえると嬉しいです。

アドバンスドスタッツ

圧巻のファストブレーク&ポイントインザペイント

こちらもオフェンス関連のスタッツの良さが目立ちますが、中でも圧巻なのはファストブレークポイントと、ペイント内での得点。

ファストブレークポイントの17.9という数字ですが、2位の佐賀(15.7)に2点以上付ける独走状態。単純比較はできないものの、B1で1位だった滋賀もその数字は15.4と、その数字の際立ちっぷりがわかるかと思います。ピーク選手を筆頭に、早いトランジションからのオフェンスが熊本の特徴の一つとなっていました。

またインサイドのオフェンス力もリーグ随一。ペイント内での得点の44.1は、2位の愛媛の40.6に大きく差を空けており、B1で1位だった琉球(42.4)よりも上です。

速攻でも得点を決められるし、ハーフコートオフェンスでもポストアップやドライブで得点を決められるという隙のないオフェンスが展開されていました。

崩壊していたディフェンスが改善

元々オフェンス自体は昨シーズンも悪くなかった熊本。下位に沈んだ要因は、そのディフェンスの崩壊にありました。それが今シーズン、ディフェンススタッツも改善。ディフェンスレーティングが昨シーズンはリーグ下位だったのが、今シーズンは一気にリーグ3位にまでジャンプアップしています。失点パターンを見ても、ファストブレークからの失点を除いて概ね数字は改善しており、全体的なディフェンス力の底上げが見て取れます。

レーティングの伸びだけで言えば、ディフェンスもオフェンスと同じぐらい伸びており、オフェンスとディフェンス両面での改善があったからこその好成績であったと言えそうです。


得点王の退団で何が変わるか

これだけの補強をしながらB1昇格を逃した熊本。オフシーズンの動向に注目が集まっていましたが、B2得点王を獲得したピーク選手、そして帰化枠のサンバ選手の退団が発表。またピーク選手と2枚看板であったハミルトン選手も自由交渉リストへ掲示され、去就不明と、なかなか厳しいニュースが続いています。

しかしただ手をこまねいて選手が出ていくのを見ているわけではありません。ピーク選手を引き止められないなら、得点2位の選手を獲得すればいいじゃない…というやりとりがあったかは定かではありませんが、B2でピーク選手に次ぐ得点力を誇ったウッドベリー選手を獲得。またローソン選手の契約継続も勝ち取り、外国籍は残り1枠次第ですがどうにかなりそうです。

日本人選手はあまりサプライズ的な補強は現時点ではなく、外国籍を中心にどれだけサポートメンバーを集められるかが、戦力維持のポイントとなりそうです。


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