手のひらを太陽に

 突然だが、「手のひらを太陽に」という曲がある。やなせたかし先生が作詞をされている童謡であり、慣れ親しんでいる人も多いであろう。私もその1人だ。
 「手のひらを太陽に/すかしてみれば/まっかに流れる/ぼくの血潮」という歌詞があるが、私はこの歌を毎回毎回夜だったり曇天の日に思い出すので「手のひらを太陽にすかし」たことがない。ので本当に血潮が流れているのがみえるのか疑っている。何故か分からないが本当に晴れていて太陽がキラキラ輝いている日には思い出せず夜になって思い出すのだ。これは幼稚園の頃に「手のひらを太陽に」をはじめて歌った日からずっとの事で、25歳になった今もまさか透かしたら本当に血潮が流れてるのかしらと考えているなんて幼稚園生の私は思いもしなかっただろう。
 しかし今日、よく晴れた昼休み信号待ちをしながらふと「手のひらを太陽に」を思い出した。血潮チャンスである。でもチャンスを活かすことはできなかった。今日は晴れていてあたたかったので街には人がたくさんいた。しかも私は仕事着として白衣を着ているのでただでさえ目立つのである。想像してほしい。街なかで白衣を着た人間がおもむろに手のひらを太陽に透かし始める様子を。不審者である。よくみたら待っていた信号の斜向かいに会社の人も居たので本当に透かさなくてよかったのだが、午後ずっとあの時手を透かしていたら、と思いながら仕事をしていた。
 いまは思い出せないがこういう何かタイミングが掴めずにできていないことが他にもある気がする。明日も天気が良いらしいので覚えてたら手のひらを太陽に透かしたい。

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