体重計

体重を気にする方は多いと思う。
勿論、まぐらんも・・・。
太り過ぎや痩せ過ぎの方だけでなく医師から進言されたり健康維持の為に体重管理をしている方もいらっしゃるのだろう。
そして体重を管理するのに不可欠なのはやはり体重計という事になる。
そんな体重計に纏わる話を書いてみようと思う。
 
栃木県にお住いの角田さんは介護職で働く３４歳の独身女性。
最近、とても辛い事がありそのせいかどんどん痩せていき体力も気力もボロボロになってしまった。
仕事中に倒れた彼女は栄養失調と眩暈という診断を下され生活改善をきつく言い聞かされた。
毎日しっかりと栄養を摂り体重を計って元の健康な状態に戻るように、と。
確かに鏡を見る度に以前とは違う自分の姿に愕然とした。
あんなに元気はつらつだった自分が骨ばかりが目立つようになりありえないくらいに老けて見えた。
このままではダメだ！
そう思った彼女は一念発起して体重を増やし健康な身体に戻ろうと決心した。
ホームセンターに行って出来るだけ安い体重計を買ってきて毎日朝夕に体重を計る事を日課にした。
そして毎日3食をしっかり食べて規則正しい生活を徹底した。
しかしやはり長く食べない生活が続いていたからなのか何かを食べてもすぐに吐き出してしまう。
しかも何かに圧し掛かられているように体がだるくて重く感じた。
うまく生活を改善できなかった彼女はいっこうに体重増加出来ないまま再び病院へ行く日が来た。
全く痩せた状態を改善出来ていなかった彼女は医師から厳しく叱責される事になった。
このまま痩せ続けたら命にも拘われますよ！と。
そう言われて最初は単なる医師による脅しかとも思ったがよく考えてみると彼女自身にも身に覚えがあった。
とにかく身体に力が入らなかったし何事にも集中できなかった。
しかも精神的に不安定になりこのまま消えてしまいたいと考える事さえもあった。
彼女自身もこのままでは本当に死んでしまうのではないか？と焦りを隠せなかった。
だから彼女は心が疲弊し体のリズムが狂ってきた原因の事を思い出していた。
大切にし可愛がっていた愛猫を自分の不注意で死なせてしまった。
何物にも代えがたい程愛していた愛猫を自分の配慮が足らないばかりに寿命を全うさせてあげられなかった。
それを考え出すとまた涙が止めどなく溢れてきた。
自分をきっと恨んでいるだろう・・・。
私には健康に生きる資格など無い・・・。
そんな事ばかりが頭に浮かんでは消えていった。
そんな事ばかりを考えて部屋に籠る日々が続いた。
そんなある日の午後、ボーっと窓の外を眺めていると亡くなった愛猫の声が聴こえたという。
その声は彼女がいつも不安だったり怖かったりした時に、いつも傍から離れないようにくっ付いてくれて慰めるように鳴く声と同じだった。
その時、彼女は気付いたという。
あんなに良い子が私を恨んだりするはずがない・・・。
それこそあの子に対する侮辱になる・・・。
あの子は私の笑い顔が好きだったはず・・・。
だったらもっと私自身が元気になって幸せにならなくてどうする？と。
それから彼女は運動と併せて食事療法をする事にした。
そしてこれはその初期段階での不思議な現象。
ある朝、体重計に乗ると昨晩より５キロ体重が増えていた。
一瞬、喜んだ彼女だがすぐにそんな事などありえないと思い直した。
確かに以前よりは食べられるようになってはいたが相変わらず自分の体がガリガリに痩せているのは分かっていた。
それなのに体重だけが増えるはずはなかった。
しかし何度計り直しても体重計は昨晩より５キロ多い数値を表示していた。
そしてそれからも体重計は予想体重より常に５キロ多く表示するのが当たり前になっていた。
少しだけ激やせが改善された頃、いつもの病院へ行く事になったがやはり病院の体重計でも５キロほど多い数値が表示された。
それほど見た目が変わっていない彼女が数値上はかなりの改善を表している事に医師はいぶかしんだがそれでも数値上の５キロプラスは絶対的なもので医師から叱責される事も無かった。
そしてその帰り道、愛猫のお墓に立ち寄った時、彼女はまた愛猫の鳴き声を聞いて全てを理解したそうだ。
亡くなった愛猫が自分を元気づける為に体重計に一緒に乗ってくれているんだ・・・。
医師からこれ以上怒られないように病院にまで付いてきて・・・。
それに気付いた時、彼女は人目もはばからず大声で泣いてしまった。
愛猫の死ぬ間際の体重はちょうど５キロだった。
だとしたらあの子が死んでからもずっと傍に居てくれている。
私が悲しまないように・・・。
私が怒られないように・・・と。
本当に優しい子だった。
そして自分の不甲斐なさが悔しくてしょうがなかった。
そんな事があってから彼女は拒食を脱出し今では元気な姿に戻れたという。
そしてもう別のペットを飼うつもりはないのだという。
今でも愛猫がずっとそばに居てくれるのがわかるから・・・。
 
PS
まぐらんさん？
朝マックで爆食いしてる場合じゃありませんよ？（笑）