令和3年度公認会計士試験に22年目標から飛び級で1年合格した学習方法

 こんにちは、コビーといいます。

・自己紹介
 私は現在、同志社大学商学部2回生です。
1回生の8月にTAC梅田校に22年目標の2年Sコースで入学しました。その後、21年目標の方が受ける令和3年度公認会計士試験の短答式試験と論文式試験に合格し、飛び級で1年合格しました。
 後これは余談なのですが、誕生日が12月のため合格時は20歳になっておらず、本年度の最年少合格の年齢である19歳として合格することができました。(笑)
twitterアカウント:@CPAkovy   

・本記事を書く理由
 私はこれまでtwitterの質問箱やツイート、合格体験記等で勉強に関する内容はいくつか書かせていただきましたが、情報がばらばらであったり、しっかりとした具体的な内容をまとめて書くことができていませんでした。そこで本記事によって飛び級で1年合格できた勉強法や学習計画等を詳細にまとめて記すことで、現在飛び級合格を考えている方や、それに関して興味を抱いていただいている方に情報を提供し、参考にしていただきたいと考えたため本記事を書かせていただきます。
 また、特別な説明がない限り、教材や講義はTACを示しています。

.はじめに


 私には公認会計士試験に2020年で合格した姉がおり、姉の教材をたくさん使用することができ、勉強を教えてもらえた環境がありました。また、8月にTACに入学するまでの間に独学で簿記1級を軽く1周程度触れていました。そのため私の公認会計士試験受験には参考にならない部分もあるかもしれませんが、よろしくお願い致します。
 姉は元々18年目標で入りましたが短答式試験に2度不合格の後、19年目標で12月短答に合格しました。しかし19年目標での論文式試験には落ちてしまい、最終的に20年目標の論文式試験で合格しました。そのため教材としてはアクセス短答が18.19.20年目標、短答答練が18.19年目標、テキストは書き込み済みのものが一式揃っていました。1年でそこそこ上位で合格できたのは姉の存在がとても大きかったです。
 もう一点、私は結果的には講義を受けたものもあれば、受けなかったものもあります。後述する内容ではTACのカリキュラムを理解していた方が私の合格までの過程の実態を捉えやすくなるため、ここで軽くTACのカリキュラムの流れを示させていただきます。(2年コースが前提です。非常に汚い字で申し訳ありません)

TACのおおよそのカリキュラム

・財務会計論(計算)
入門Ⅰ:簿記3級レベル
入門Ⅱ:簿記2級レベル
入門は簿記2級レベルがあったため受講していません。
基礎:重要な論点を大体学ぶ(イメージ全体の7割程度)
上級:あまり出ないor難しい論点を学ぶ 

・企業法
基礎:会社法の大体と商法を学ぶ(6割程度)
上級:基礎で学んだ知識が必要な論点や論証例、金商法を学ぶ

・管理会計論
入門:簿記2級レベル
入門は簿記2級レベルがあったため受講していません。
基礎:基礎的な論点を大体学ぶ(6割程度)
上級:基礎で学んだ知識が必要な論点や重要性の低い論点を学ぶ

・財務会計論(理論)
基礎:個々の論点というより基礎概念や総論、後は少しの個々の論点を学ぶ(3割程度)
上級:個々の論点をしっかり学ぶ

・監査論
基礎:軽く監査論の流れを1周する。試験で戦える知識はほとんどなし(2割程度)
上級:しっかりと学習する

.本試験の点数

令和3年短答式試験(2021年5月短答)
74%(Σ340・企業80管理54監査60財務176)
令和3年論文式試験(2021年8月論文)

令和03年 公認会計士試験論文式試験成績通知書

 会計学を分析すると、大体管理の偏差値が52で財務が68でした。私自身基礎期から財務会計をひたすら極めていました。実際に短答論文共に財務の点数がよく、そのおかげで総合も伸びました。

.飛び級合格を目指すメリットとデメリット

 まず簡単に飛び級合格について説明させていただきます。
飛び級合格とは、ある目標年度の人が1つ上の目標年度の試験に合格することです。
 例えば現在23年目標の方が2022年5月短答に合格し(飛び級短答合格)、その3か月後の2022年8月の論文に合格すれば飛び級合格となります。この論文に落ちると元の目標年度に戻り、23年の論文を受験することになります。
 私の場合は元々22年目標でしたが、21年目標が受ける5月短答に合格し、そのまま3か月後の論文式試験に合格しました。
以上が飛び級合格の概要です。

 次に飛び級合格を目指すメリットとデメリットです。
(話の便宜上、23年目標の方が飛び級合格を目指すという前提で書かせていただきます。)
 飛び級合格のためにはまずは2022年5月短答に合格する必要があります。ここで前提として23年目標で5月短答に合格する人の中には2種類存在します。
1つ目は私のようにそもそも5月短答で合格するために先取りで学習し、合格する人(ここではAパターンとします)です。
2つ目は5月短答はお試し受験で、23年目標のカリキュラム通り学習していたものの、ある程度の実力と運要素が絡み合い、合格する人(ここではBパターンとします)です。

・メリット
1.論文の勉強時間をより長く確保できる
 5月短答に合格した場合はABパターン両者とも論文式試験の勉強に専念することができます。本来ならば、12月→8月であると論文の勉強期間は約8ヵ月になります。一方ABパターンですと論文の勉強期間は論文に落ちてしまった場合でも5月→来年の8月までの15.16ヵ月となります。短答式試験と論文式試験の勉強内容に関しては、計算科目の勉強内容は大差がありません。しかし理論科目は〇×から記述へと変化し、勉強方法も大きく異なります。そのため論文式試験の勉強期間でアドバンテージが取れるため、理論科目で短答の時のような地味な勉強をする必要がなくなり論文対策を十分に行えます。また、論文のみの試験科目である租税法や選択科目を長く勉強できることも非常にアドバンテージになります。

2.過年度の教材が手に入る
 そして後述しますが飛び級で短答に合格した場合は、TACでは22年目標の教材と講義をすべていただけます。そのため22年目標の論文に落ちても過年度の教材が手に入るという点でもメリットです。

・デメリット
1.Aパターンのデメリット
Aパターンの人は短答式試験までに短答科目の学習は先取りで学習していたため短答合格後も論文の対策は比較的やりやすくなります。しかしながら、人によっては私を含め4.5月は短答式試験の対策に専念したく、講義を受けないこともあります。そして短答合格後も論文式試験までは基本的に23年目標としての講義は受けないため、論文式試験に落ちた場合のケアが大変になってしまいます。
 そしてAパターンの人は前々から先取りで学習するため、予習に焦点を当てすぎて基礎がおろそかになってしまう危険性もあります。

2.Bパターンのデメリット
 Bパターンの人は短答合格時に当然講義を完全に受け終えていないため、インプットが完全に完了していません。しかし論文までの3か月間は本来の目標年度での講義を受けにくくなるため、知識があいまいな状態で論文式試験に挑むことになります。そのため落ちる可能性も高く、論文後のケアのAパターンの人よりも少ししんどくなります。

3.共通のデメリット
AパターンでもBパターンでも論文式試験を受けることになるため、短答免除期間が短くなってしまいます。短答は合格後3年間論文に落ちても免除されます(つまり論文に3回落ちてしまうと短答からやり直し、所謂3振と呼ばれるものになります)。そのため飛び級で受ける8月の論文に落ちてしまうと3振するまでに論文は2回しか受けられないこととなり、もし来年の元の目標年度でも落ちてしまうと3振にリーチがかかってしまう恐れがあります。

5月短答合格後のもう1つの戦略
 ただ、これまでの話では論文式試験の合格を目標として進めていましたが、主にBパターンの人には、科目合格を狙うという方法もあります。

(関西TACのO先生は科目合格を狙いに行くことはお勧めしていませんが、、、笑)
 私自身O先生に短答後に科目合格を狙うことをについて相談しましたが、
・科目合格できる保証はない
・科目合格を狙わない科目の勉強がおろそかになる
・論文合格を目指した方が落ちた場合でも全体的に勉強を進めることになる       
 ため、次の論文が有利になる
といった理由からお勧めされませんでした。正直私は3か月で論文に合格できるとは当時は到底思っておらず、科目合格を狙うことも考えていました。しかしO先生に相談に行ったおかげで、科目合格を狙うことで論文に合格できる可能性を潰さずに済んだため、感謝しかありません。

 科目合格について説明させていただくと、論文合格の基準は総合偏差値で52をとることです。
(年によって多少の変動はあり、20年は51.8で、21年は51.5で合格でした。52以上あれば基本的に合格は確実です。また、1教科でも偏差値40以下があると足切りといって総合で52以上あっても強制的に不合格となります。)
 そこで、不合格となった場合でも、偏差値が56以上の科目があればその科目に関しては受験を来年以降3年間免除されます(得意教科を受験しなくなるので偏差値を引き上げる科目が減るため、あえて免除を使わない人もいます)。これはある意味、来年の論文で受験科目を減らせるのでとても良いです。

 論文科目は5つあり、会計学(財務+管理)・監査論・企業法・租税法・選択科目です。
世間的には企業・経営もしくは監査・企業の2つの組み合わせで科目免除を狙いに行く戦略が一般的だと思われます。
会計学は財務計算・理論、管理と分量も多く科目合格を狙うのは至難の業です。毎年の会計学の科目合格者も他の科目合格者よりも少なく、正直会計学で56とれるのであれば論文は多分合格できます。
租税法は5月から講義を30コマ弱視聴した後、3か月で極める必要があり、過年度の人の方が租税法の点数は比較的高いので、そういった人たちと戦う必要があり、これも科目合格は難しいです。

ではなぜ企業・経営もしくは監査・企業がおすすめなのか
企業法は短答と論文では全く異なり、論述の書き方が重要視されます。そのため企業法の書き方を学ぶだけであとは条文・趣旨・論証例の暗記だけしかすることがないのでコスパがいいです。
監査論は教材自体の分量が少ないので3ヵ月でも十分間に合います。
経営学は私個人の感想ですが、自頭が大きな要因で、勉強時間に比例して成績は上がりにくいです。そのため少し自頭があり、経営学に時間を割いて多くの教材をこなせば3ヵ月でも偏差値56は見えます。

<企業・経営>
 この組み合わせの理由は論文式試験の日程にあります。企業法と経営学は論文の3日目つまり最終日に実施されます。そのため最終日は多くの人は疲労がたまっているためその最終日にすべてを万全の状態で賭ければチャンスが見えます。逆にこの2科目で科目免除を取れれば来年は最初の2日で試験が終わるので精神的にも楽です。
 ある予備校の有名講師はお試し受験で合格した生徒(Bパターン)にこの組み合わせを進めたそうです。

<監査・企業>
 この組み合わせの理由は科目の不確実性にあります。監査論は正しい答えや採点基準が不明で自分の自信と点数が一致しにくく、安定しにくい傾向があります。
(私自身本試験は55弱はあると思っていましたが実際は52でした。また、論文模試では59もありとても驚きました)
 また、企業法はあれだけの分量をやるにもかかわらず、大門は2個しかなく、たくさん勉強したのにもかかわらず、論ズレの恐れや条文のド忘れなどの危険があるので不安な科目です。
 そのためこの2科目で科目免除が取れれば来年は不確実性の少ない科目で安定して戦うことができます。
 論文に落ちた人でも監査・企業で科目免除をとっている人は度々見かけ、比較的科目免除を取りやすいのかなという印象でした。

.飛び級合格を目指した経緯

 ここでは私がなぜ5月短答を目指し、8月論文で科目合格ではなく、総合での合格を目指したか述べさせていただきます。
5月短答
私は元々5月短答での合格は一切考えていませんでした。ただとりあえず8月にTACに入学して以降は、姉から「基礎期から計算を固めて毎日10時間勉強すれば一発合格は可能だと思う」といわれていたため、ひたすら財務計算をしていました。しかし当時の講義は財務計算が週2だったため毎日何時間も勉強し、簿記1級の知識が軽くあった私にとってカリキュラム通りのペースでは遅かったため、そこで独学で予習をして計算の強化を図ろうとしました。
 そうしていくうちに財務計算の勉強が大方完了して余裕が生まれ、管理の計算は簿記1級の方が範囲が広いので(上級を含めても)、管理の予習も割とすぐに終わりました。そういった中で年明けごろから徐々に財務理論や監査論、そして企業法の上級部分を姉の教材で独学で進めていきました。
 また、様々な科目の過去問や問題を解いているうちに感覚的に自信がつき2.3月頃にはよっぽどやらかさなければ5月短答は合格できると思っていました。極めつけは短答模試でした。詳細は「模試・本試験の結果の分析」で述べますがA判定を取れたため、大きな自信になりました。
 こうした理由から本格的に2月頃から5月短答を目指しました。
8月論文
5月短答は70%越えだったため合格は確信しましたが、論文までの期間は3ヵ月と短く、講義も受けていないものが多く、論文対策は全くしていなかったので受かるとは思っていませんでした。ただO先生などの先生方との相談の上、科目合格ではなく合格を目指すことを決め、できる限りのことはやろうと思いました。
 そうした中でTAC関西圏で張り出される答練のランキング表に名前を載せれたことや6月末の論文模試の結果で合格可能性が高いことが分かったため、不安はとてもありましたが一生懸命合格を目指しました。


.TACの対応

 先述したように私は5月23日の短答式試験が終わってその日に採点して74%だったため、合格は確信しました(当時の予想されていたボーダーは61%前後、実際の合格ラインは62%)。
 次の日にTACの受付に相談すると、特別に新たな会員証を発行していただき、無料で21年目標の教材をいただくことができ、講義もすべて視聴できるようになりました(対面での答練や全国模試も受けられました)。
 私の22年目標の友人が私と同じように5月短答に合格しました。その方の点数は61.2%(後日管理問一の不備により62.2%)でした。その方も私と同様に21年目標の教材講義をいただけたので、ボーダー上だったら予備校の講師や受付にすぐに相談した方が良いです。

ここからは各教科の詳細な勉強法や学習計画についてですが、有料とさせていただきます。

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