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副知事と若手職員が都政の構造改革を語り合った!(後編)

デジタル化に取り組む若手職員と、武市・宮坂両副知事による、オンライン意見交換会。前編に引き続き、ディスカッションの模様をお届けします。

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参加者一覧(五十音順):
金子楓 主任(オリンピック・パラリンピック準備局 総務部 企画計理課)
川原知哉 主任(教育庁 総務部 教育政策課)
佐々木徳朗 主事(下水道局 施設管理部 排水設備課 排水設備担当)
下間梨絵 主任(下水道局 総務部 総務課)
堤佑城 主任(財務局 主計部 財政課)
松澤公俊 主任(下水道局 施設管理部 排水設備課 排水設備担当)
松永圭右 主事(下水道局 施設管理部 排水設備課 排水設備担当)
八木政樹 主任(主税局 徴収部 徴収指導課 収入管理指導班)

※個室から参加している方のみマスクを外しています。

これまでの議論を踏まえ、宮坂副知事から「本当だったらもっと変わるはずだったけれどやりきれていない、といったネガティブ気味の話も、あえて聞いてみたい」との投げかけがありました。

資料共有・作業はオンラインで

副知事の投げかけに対し、下水道局の下間主任からは、資料等のやり取りについて次のような指摘がありました。

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下水道局 下間主任 半年間、デジタルシフトの研修(※)をやって最後に皆で発表用の資料を作ろうという時に、ミーティングなどのやりとり自体はSkypeだったのですが、資料の共有や修正については電子メールでした。4メガバイト以上ある資料を誰かが修正しては添付して、最新版を何度も送り合うという状況で、そのうち、どれが最新なのかバージョン管理も難しくなってしまったので、その点は改善できればいいなと思います。

※都庁のデジタルシフトを推進するリーダーを養成するため今年度から開始した研修。下間主任は、アンケートの実施から集計、分析までを、LINEやデジタルダッシュボードの導入で迅速・効率化するアンケートツールの導入を提案しました。

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オリパラ準備局の金子主任からも、メール文化から抜け切れない現状についての発言が。

オリパラ準備局・金子主任 SkypeもZoomも広がり、オンライン会議はかなり普及したなと思うのですが、データの更新となるとメールでのやりとりが染み付いていて、クラウド上で、共有フォルダでファイルを扱うというのは、なかなか進んでいない。そこが個人的には一番の課題なのかなと思っています。

こうした指摘に対し、宮坂副知事から以下のようなコメントが。

宮坂副知事 2人からも話があったように、ひとつのファイルを複数人が共同作業で改善していくというのが、まだ実現できていないんですよね。メール添付の文化から早めに脱却して、オンラインでコラボレーションできる仕組みを整える必要がある。民間では、ファイル共有以外でも、たとえば組織内専用の「Wiki」(※)なども普及しており、検索しやすい形でノウハウも共有しているので、都庁でもそのようなツールを提供できるよう、頑張ろうと思っています。

※不特定多数のユーザーがアイディアを共有できるよう設計されたウェブサイト

「シン・トセイ」戦略の「未来型オフィス実現プロジェクト」では、業務でのクラウド利用の拡大を進め、2025年度以降には都庁のデジタル環境をクラウド利用メインに移行していくことを目指しています。若手職員の率直な意見に応えるためにも、こうした取組を通じて、都庁内の新しい働き方の定着を図っていくことが急務です。

デジタルの力で誰一人取り残さない

ここで、「宮坂副知事が統括する予定のデジタルサービス局(令和3年4月新設予定)に何を期待したいか。この際なので、ぜひ皆さんの本音をぶつけましょう(笑)」と武市副知事。

デジタルサービス局は、デジタルの活用により都政のQOSを向上させる旗振り役・牽引役として、①都庁各局・区市町村のDX推進を技術面からサポート、②デジタルに関する全庁統括、③デジタル人材の結集と都庁職員の育成の3つの役割を中心に担う予定です。

デジタルサービス局に若手職員は何を期待しているのか。副知事からの提案に、局内でDX推進を担う金子主任は、サポート体制についての要望がありました。

オリパラ準備局・金子主任 現状においては、割とトップダウンに近い形でデジタル化の取組が行われています。今後DXを強力に推進していくにあたっては、各現場において自発的にデジタル化を推進していく必要があります。そこで、デジタル化のノウハウについて、「デジタルサービス局に聞けば何でも分かる」体制になっていると良いと思います。

また、下水道局の佐々木主事と松永主事からは、現場の実態を踏まえ、職員のデジタルに関する知識やスキルの向上を図ることが必要との発言が。

下水道局・佐々木主事 行政手続きのデジタル化について、手続きを取り扱う出先事務所では、必ずしも前向きでない意見もあり、まだ改革が都庁全体には浸透しきれていないと感じました。今後、eラーニングを通じて、全職員を対象としたデジタル人材育成の研修など、スキルアップの機会を設けてほしいです。

下水道局・松永主事 DXを推進する上で、今の業務が変わることへの恐怖が現場の職員にもあります。それを取り除くためにも、デジタル化の知識が必要不可欠ですし、ITベンダーとも対等に話ができるようにならねばと感じています。

こうした声に対し、宮坂副知事が思いを語りました。

宮坂副知事 デジタルが得意な皆さんと、そうでない人とで分断ができてしまうと本末転倒です。苦手な職員もいて当たり前ですが、これまでどおりアナログでやってね、と言うわけにはいきません。誰一人アナログの世界に取り残さず、デジタル化を進めていくことが仕事だと思っています。

「シン・トセイ」戦略では、デジタル専門職向けの高度な研修に加えて、全職員向けにデジタルに関する研修メニューを拡充し、都庁全体のレベルアップの実現に取り組むこととしています。

職員同士がつながるコミュニティーが必要

次に、構造改革を完遂するために、自分自身がどう変わるのか、何をすべきなのかについて、宮坂副知事から問いかけがあり、金子主任から声が上がりました。

オリパラ準備局・金子主任 現状は、意識の高い人が取り組んでいる状況であり、これを全員に浸透させていく必要があります。局のDX推進役である私自身としては、デジタルに関わる知見を蓄えるとともに、各現場のニーズをキャッチし、サポートできるような存在となりたいです。

財務局の堤主任からは、職員同士のコラボレーションに関する意見があり、それを受け、宮坂副知事は、職員間のコミュニティー形成について言及しました。

財務局・堤主任 都政の改革というと、縁遠く感じますが、身近な日常業務から見直していくなど、職員一人ひとりが進められることはあります。そうしたマインドを持つことが大切。そのうえで、部門を超えて他の職員と情報共有できたり、学習できたりする環境の整備が必要だと思います。

宮坂副知事 変化を起こすためにコミュニティー作りは大事。一人だと心が折れてしまうけれど、仲間がいればハードルは乗り越えられます。そんなコミュニティーも作っていく予定です。

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宮坂 学 副知事

“DX Ready”な状態へ

最後に、両副知事から以下のようなコメントがあり、ディスカッションは終了しました。

武市副知事 まだまだデジタル化は発展途上。これから一緒に作り上げていきましょう。自戒を込めて言えば、日々忙しいと、手段と目的が混同してしまうことがあります。例えば、下間主任から話があったアンケートツールの導入でも、データを集計しただけで達成感を持つのではなく、データをどう活用し、QOSの向上につなげていくのかが必要です。最終的な目的を忘れずに、業務に取り組んでほしいと思います。

宮坂副知事 文書作成については、ほぼ全ての職員がデジタルで行っていますが、オンラインでコミュニケーションをとったり、文書を作成したあと、クラウドで共有する等の取組はまだ十分ではありません。
これができた上でDXに進んでいく。民間企業はコロナ禍によって一気にデジタルシフトに舵を切りましたが、行政はまだまだです。都庁は大きな組織だし、不慣れな人もいるため、時間はかかると思いますが、2025年くらいまでに、デジタルで作成した情報を、デジタルで共有・流通させる段階(=“DX Ready”)の状態になっていれば、圧倒的にクオリティの高い行政サービスが実現できるようになるはずです。

短い時間ではありましたが、現場で都政の構造改革を担うプレイヤーである若手職員の生の声を聞き、課題を共有する良い機会となりました。

職員の声を改革の取組に「アジャイル」に反映していくため、今後もこうした部署や立場の垣根を越えたコミュニケーションの実践を通じて、ユーザー目線に立った改革を進めていきます!

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