【短編小説】『ネコのぼうけん』
「ねぇ、パパ。このあと、ネコさんはどうなるの?」
布団の中で、とろんとした目をこちらに向けて、息子の怜央がそう尋ねる。いつもは、「きっと、友だちに会えたんじゃないかな。」と答えるが、なぜかその日は「どうしたんだろうね。」としか答えられなかった。
胸の上を一定のリズムで叩かれて、それ以上尋ねることなく怜央が眠りについたのに、自分は手は止めたものの、そのまま体勢を変えられず、薄暗い光の中、息を吐く。
絵本作家を夢見ていた妻、柚葉は、怜央を身ごもった時から、手作りで絵本を作り