【連作短編】一つの願いを叶える者 第十二話 自分のことがよく分かってないよね。
第十二話 自分のことがよく分かってないよね。
「貴方は選ばれました。貴方の願いを一つ叶えましょう。」
そう言って、現れる白い服、白い肌、中性的な面立ち。
彼、彼女は、誰かの前に決まり文句を吐いて現れ、相手の願いを一つ叶えてくれると言う。
都市伝説のような、怪しい話。
そもそも、願いを叶えたら、その叶ったことすら忘れてしまうと言うのだから、その話が広まっていることすらおかしい。だが、救いのない今の世界には、好意的に受け取られ、広まった。
いや、実際に見た事のある人は、ただ