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<映画と原作> ラーゲリより愛をこめて
どちらを先に観るか、読むか
永遠の課題ですが、両方を体験できないので比較は決してできません。
私はどちらを選ぶかはほぼ偶然、その時の巡り合わせです。
今回は、辺見じゅんさんの原作を先に読みました。
手に取ったきっかけは、いつも聴いているラジオで地元砥部病院の院長先生が
この本について紹介されていたからです。
俳句が心の支えになったこと
実話に基づいていること
また、ウクライナ戦争から改めて見えてきたロシアという国の姿
我々日本人も第二次世界大戦後にシベリア抑留という非人道的な仕打ちを
受けていることなどを思うと、読んでみたいと思いました。
そして映画は観るつもりはありませんでした。
ラーゲリ(収容所)での酷い仕打ちや暴力の描写を映画では見たくないと
思いましたし、終盤にかけて山本幡男はじめラーゲリに収容された方々が気の毒で
涙なしには読めませんでした。
劇場で号泣してしまったら恥ずかしい・・・・
そして、結末を知っていることで、鑑賞に影響すると思いました。
最後まで観る側も希望を持って観ていたいけれど
主人公が亡くなり、帰国できない事実を知りながら観れば
希望を持つべき場面でも、希望を持って観られないのではないかと。
いよいよ上映回数も1日1回となり
観なければ後悔するような気がして劇場へ走りました。
いつか地上波やAmazon primeで観られるとは思いますが、映画は制作者の意図を全て反映した劇場に座ってそれだけに集中して観るべきと思っているので。
原作を読まずに観た場合と比較ができませんが
映画を実際に観て
結末を知っていても、明るい場面では思わず笑顔になりました。
ほぼ原作どおりに描かれているのに、原作で感じた苦しさよりも、爽やかな希望を感じる映画でした。
とはいえ、暗闇のあちこちから、すすり泣く声が聞こえて来ましたので、私は
原作を読むという「予習」をして来たから、逆に爽やかさを感じられたのかと思ったりしました。
私が暮らす愛媛県松山市にはロシア人墓地があります。
ロシア人の捕虜収容所があり、ここで亡くなったロシア人は手厚く葬られていて
今も、地元の中学生たちが定期的に掃除をしています。
かたやラーゲリでは亡くなった日本人は(終戦後なので日本兵ではない)
白樺の根元に掘った穴に放り込まれて埋められたそうです。
ロシア人捕虜と松山の人たちの温かな交流をフィクションではありますが
当時の記録などをもとに書かれた「ソローキンの見た桜」をロシアの人にも観てもらいたいです。
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