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<映画鑑賞>マイ・ニューヨークダイアリー


原作は、ジョアンナ・ラコフの自叙伝「サリンジャーと過ごした日々」(井上里 訳/柏書房)。
サリンジャー担当のベテラン出版エージェントと新人アシスタントの本が生まれる現場での実話です。

日本ではまだ、出版エージェントは少ないようですが
欧米では、有名作家さんもエージェントに頼っているようです。

作家志望のジョアンナでしたが、就職した出版エージェンシーでは
職務のため、執筆を禁じられ、仕方なく受け入れます。

担当となったサリンジャーは隠遁生活をしているため
大量に届く熱烈なファンレターは彼には届けず、定型文の返信を送ってシュレッダーに
かけるのが彼女の仕事でした。
ところが、思いのこもったファンレターに心打たれ、禁じられているにもかかわらず
個人的に返信を書くようになります。

返信を書くうちに、自分の夢を改めて見つめ直し、自分の道を歩き始めます。
彼女を動かしたものは、読者からのファンレターだけでなく
電話でしか話したことのない、サリンジャーからのアドバイスもありました。

毎日書くことが大事だ。わかったね
朝の15分で構わないから執筆の時間を確保すること
電話番で1日を終えるな。君は詩人だ。

印象的だったのは、ジョアンナが特別な日に父親に連れられてきた
マンハッタンの高級ホテル「ウォルドーフ・アストリア・ニューヨーク」で
ケーキを食べる場面です。

周りを見渡すと、書き物をしている年配の女性や文芸雑誌「ザ・ニューヨーカー」を読む男性など
彼女が憧れている世界が広がっています。
バックにはムーンリバーが流れていて、「ティファニーで朝食を」のオードリヘップバーンを彷彿とさせます。
ジョアンナを演じるマーガレット・クアリーは、オードリーと同じくバレリーナ出身です。

帰り際、ホテルの廊下に「ライ麦畑でつかまえて」の初版本が展示されているのを見つけます。
サリンジャーの名前を一躍世界に広めた名作の初版本を前に彼女の胸の高まりが聞こえてきそうです。

上司マーガレットはシガニー・ウィーパー
味のある、素晴らしい演技でした。

作家や出版を目指す人にとっては、とても刺激的な作品だと思います。

2年前の作品がもうAmazon primeで見られるようになったのは
prime day で顧客を増やそうとしているのでしょうか?




今日は、若いタレントさんの早すぎる死のニュースがありました。
私はあまり知らない方ですが、若い人が亡くなることは本当に心が痛みます。

この映画では、若い人ではありませんが、大切な人を亡くした人の辛さも
描かれています。

ラストシーンは素晴らしいサプライズが待っています。

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