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奥田亜紀子 『五つ星をつけてよ』

「やっぱり空港がありますから、千葉は」

「いやいや、埼玉は住むところだから。空港が作れるくらい土地が余ってるってことでしょ?」

「あとはディズニーランドもありますしね。」

「あそこは『東京』ディズニーランドって東京がついてるから。」

テレビで埼玉 VS 千葉 という企画をやっていた。それぞれの県の出身者が自分の出身地の良いところ、相手のダメなところをあーでもないこーでもないと議論していた。

自分にとって埼玉は東京から仙台に帰る途中のところで、千葉はサマソニでほぼ1年に1回行くか行かないかというところだ。つまりどちらも特に思い入れはない。

そんなことより、自分の地元の魅力を熱く語れるのはすごいなと思った。

出身は仙台だというと、必ずと言っていいほど

「いいところだよねー」

「住みやすそう」

「それなりに都会なところが良いよね!」

等々ポジティブな反応が多い。

確かに、確かに仙台は良いところだと思うけど、

けど、素直に「そうなんですよ!」と熱い気持ちで言えない部分もある

自分の中で仙台は、負け続けてきた場所だからかと思う。

高校までやった部活も、それほど良い成績で終えることもできず、受験は失敗してなんとか受かった大学に行くため上京。ある程度できると思っていたのに、最後の最後に何もできなかったなーという思いで逃げるように東京に出てきた。人付き合いの面でもみんながみんな良い人じゃないぞ、なんて思ってたりもした。

自分の周りの友達は、大学も仙台の人が多かったし、大学で他県に出たとしても就職で戻ってくる人が多かった気がする。だから仙台はすごく良いところなんだと思う。

でも、すべてを肯定するには青春を過ごしすぎた気もする。

奥田亜紀子 『五つ星をつけてよ』

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「地元が好きな気持ちももちろん嘘じゃないんだけど。なんだろうなあ、ふるさとって。愛着も憎しみも両方ある。たぶん、自分の全部を一瞬でも預けたことのある場所なんだろうな。だから、好きも嫌いも混ざって、とにかく強い気持ちになっていく気がする」

「空に根ざして」の中のあるセリフ。

あぁ、これ。そう。俺の気持ちすべて行ってくれていると思った。俺の感情の置き場所をやっと見つけられた。

読んでいただきありがとうございます。